お年寄りはお尻を中心に脚を回転して乗り込む
お年寄りと子供1人の4人家族が1台のクルマに乗って家族でおでかけをした際、大抵前列は夫婦、後列にお年寄りと子供が乗ることになるのではないでしょうか。足腰が弱っているお年寄りにとって、クルマの乗り降りは結構な重労働。では後列に座ることの多いご年配の方に優しいクルマとはどのようなものでしょうか?
筆者の両親もそうでしたが、足腰の弱ったお年寄りの方は、健常者とは異なる動きでクルマに乗り込みます。具体的には先に着座し、お尻を中心に脚を回転して乗り込むのです。この方が腰を一層かがめて乗り込まなくてよいですし、何より早く座ることができます。あとはお尻を軸にゆっくりと脚を回転させてクルマに入れます。ちなみに出る時は脚から出すのは健常者と一緒です。
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脚の回転を妨げない形状のシートが好評
お尻を軸に太ももを上げて回転させますので、シートの形が重要になります。まずホールディングを高めるためにセミバケットのように、サイドサポート(お尻が左右にズレないように座面の両端を立ち上げたもの)が高い形状のシートは好ましくありません。また背もたれを寝かせたような形状のシートも乗降時に苦痛を伴うようです。一度座ってしまえば快適なのですけれど……。
ではどのようなシートがよいのでしょう。具体的には背もたれがそれほど倒れておらず、座面があまり傾斜していない上に、ホイール側に向かって大きな弧を描いた形状のもの。このタイプのシートが最も脚を上げる量が少なく、また脚を上げる際に体を「くの字」にすることもなく好評でした。
サイドシルが太い&高いクルマもお年寄りには辛い
このように脚を上げる量は少ない方が好まれるのですが、近年はサイドシル(ドアを開けた時の敷居部分)を太く、位置も高いクルマが増えてきました。これは衝突安全性ゆえの対策なのですが、このサイドシルを跨ぐこともお年寄りには辛かったりします。両親をセダンやハッチバックの後席に乗せる時に、辛そうにしている姿を何度も目にしました。
車高の高いSUVは、屈まなくて済む場合が多いものの、最低地上高の兼ね合いで、大柄の父は問題なかったものの、小柄な母は着座するのに苦労していました。言うまでもありませんが2ドアのスポーツカーは論外。ですがオープンカーは屋根を開けた状態での乗降は好評でした。
お年寄りの優しいのはパワースライドドアの軽ハイトワゴン!
ドアの開口部は広ければ広いほどラクなのは言うまでもありません。パワースライドドアの方が乗降はしやすいですし、介助する方もラクです。
これらの観点から総合してクルマを見ていくと、パワースライドドアの軽ハイト&スーパーハイトワゴンがベストという結論に。ミニバンはドアから椅子までの距離があるのと、段差で転びそうになったりする場合があります。事実、軽ハイトワゴンに両親を乗せた時、乗降がラクだと喜んでいましたし、介助する側もラクでした。
クルマは買ってから予想もしない使い方をする場合が多いもの。気に入ったクルマに乗るのはもちろんですが、ご年配の方と同居されていらっしゃいましたら、後席にも目を配ってみてはいかがでしょう。
レポート:栗原 祥光
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みんなのコメント
スライドドアが開いた所にシートがないから、先に腰を下ろす事が出来ません。
購入を考えている人は、実際に乗り降りしてみてからの方が良いですよ。