日産のキャラバンに追加された「MYROOM」は、さまざまなアイディアがつまった1台だった! 実車を見た今尾直樹がレポートする。
右肩上がりで増えているキャンピングカー
トヨタ・ランドクルーザーに新シリーズ登場か!?──GQ新着カー
日産キャラバンに車中泊の裾野を広げようという新しい仕様が登場した。10月11日に発表された「MYROOM」がそれだ。
自然のなかに「部屋ごと出かける」、あるいは「部屋にタイヤがついている」というのがコンセプトで、ウッディな化粧板を内装にふんだんに用い、シートやベッドの生地におしゃれなヘリンボーン柄を採用。前席の後ろ以降のフロアをフローリング風にし、木目調のサイドパネルを装着するなどにより、クルマっぽさを極力排除して、日産いわく「シンプルでミニマルなデザイナーズホテルのような洗練された趣を実現している」。なかなかオシャレで、いまどきの私の部屋っぽく仕立てている、というのは筆者の感想です。
それにしても、このようなカスタム化は小さな工房の仕事だと私的には思っていたけれど、そうではないらしい。日産のマーケティング担当者によると、近年横ばい状態の国内の自動車市場にあって、キャンピングカーの保有台数は2012年の8万1000台から昨2022年の14万5000台へと、右肩上がりで増えている(日産自動車調べ)。
とりわけ、トヨタ「ハイエース」とかキャラバンのようなキャブオーバーの商業バンにベッドを装備した、いわゆるライトキャンパー、ネットで検索するとライトな気分で使えるキャンピングカーの意らしいのですけれど、気軽に車中泊ができる仕様が人気という。日産でも関連会社のオーテックジャパンが仕立てたキャラバンの「マルチベッド」という仕様を2020年に発売しており、現在もカタログモデルとして継続している。つまるところ、車中泊車のマーケットは自動車メーカーも無視できないほど大きくなっているのだ。
同マーケティング担当者によると、車中泊の愛好家は3つのタイプに大別できるという。その1はキャンプ好きで、テント泊もするけれど、自慢のギヤをたくさん載せるためにキャブオーバーに乗るひと。その2は内装にこだわって、自分でキャブオーバーを改造するひと。その3は旅好きが高じて車中泊をするひと。このタイプは、キャンプ場よりも道の駅や車中泊が許されている駐車場に泊り、ギア満載というよりは最小限の装備で楽しんでいるという。
キャラバンMYROOMのターゲットは、3番目のタイプで、顧客像はアクティブ派ではなくてのんびり派。脱力することで活力を得る。予定はあまり詰め込まない。モノに対してはシンプル派で多くを持たない。ブランドへの興味は弱い。キャンピングカーで出かけるときはパートナーと。ペット同伴も多い。このタイプのひとは、ポスト・ファミリー、子育てが終わった世代で、仲がよいことが特徴というのがマーケティング担当者の分析だ。思い当たる方はいらっしゃるでしょうか?
注目の2 in 1シートそんなキャラバンMYROOMのイチオシの装備は、後席の2 in 1シートである。仕組みは簡単。進行方向の向きに座る「走行モード」のシートクッション(座面)を左下をヒンジにして起こすと、後ろ向きに座る「ソファーモード」のシートバック(背もたれ)になり、走行モード時の背もたれを前方に倒すと、ソファーモード時の座面になる。こういうのを考えるひとはすごいですね。座面と背もたれは、業界初の、表と裏で硬さの異なるクッションパッド構造を採用する。走行モード時はほどよい硬さで乗車姿勢を安定させ、ソファーモード時はソフトな座り心地を提供する。
車中泊用のベッドは、「折りたたみベッド」と「MYROOM跳ね上げベッド」のふたつのタイプから選べる。どちらもヘリンボーン柄の生地を使っているけれど、前者は前述したキャラバンマルチベッドからの流用で、その意味では実績がある。2分割になっているから、自由なアレンジができる。後者の跳ね上げベッドは使わないときは荷室サイドに立てかけてあって、ワンアクションで展開することができる。のんびり&シンプル派向きなのはこちらかもしれない。
外観ではグリルや前後バンパー、ドアハンドル、ドアミラー、スチールホイールをブラックで統一している。ボディ色には専用色のサンドベージュ/ホワイトの2トーンほか、4色がある。ディーラーオプションのステッカーもある。
ベースはキャラバンの4ナンバーの最上級モデル、GRANDプレミアムGXで、ロングボディの標準幅、標準ルーフの5人乗り。それ以外のボディは選べない。パワートレインは2.0リッターのガソリンと2.5リッターのディーゼルがある。トランスミッションは7速AT。RWD(後輪駆動)と4WDがある。
発売は2024年夏だけれど、その前に「キャラバン MYROOM Launch edition」が販売される。ウッドブラインド、スポット照明付き木目調ルーフパネル、車内カーテン、ルーフサイド間接照明などを標準装備する期間限定の特別仕様車である。架装期間が必要なので、納車は1月末からになる。
価格はガソリン、2WD、折りたたみベッドの595万8700円から、ディーゼル、4WD、跳ね上げベッドの714万100円まで。
キャラバンの生産は九州の日産車体。それを京都にある日産車体の子会社のオートワークス京都に運び、京都の家具屋のサプライヤーでつくってもらった内装パーツを架装する。2024年以降は年間1000台の販売を見込む。
日産が開いた事前取材会のおり、車中泊がこんなに流行るのはニッポンがビンボーになっているからでしょうか? と、開発担当者の方に質問したら、横におられた別のメディアの方が鼻で笑った。
「だって、ふつうに旅館に泊まったほうが安いということもありますからね」
そりゃそうである。わざわざ維持費のかかるクルマを購入して車中泊をするぐらないら、鉄道やレンタカーを使ってふつうに旅館やホテルに泊まったほうがコストパフォーマンスは良いだろう。
車中泊ブームはきっと、のんびり&シンプル、自由を愛するひとが増えているのだ。だからこそ、600万円近い特別なキャラバンMYROOMが開発されたのかもしれない。
文・今尾直樹 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
発表5日で受注停止! 瞬時に5万台のバックオーダーを抱えたスズキ新型「ジムニーノマド」はいつ買える? じつは“意外や早く受注再開”されるかもしれない その理由とは
日産復活のカギはやっぱり[新型マーチ]!? ヤリスやフィットを超えるコンパクトカー誕生なるか!? 2025年度に発売確定!
トヨタ新「ハイエース」発売! “GRパーツ仕様”も発表! タフ感すごい「最強ゴツ顔」が激カッコイイ! 大人気のTRDエアロが「GRブランド」化して新登場!
“予約殺到”で5万台のバックオーダーを抱えたスズキ新型「ジムニーノマド」が発表5日で受注停止! ネットではどんな反響が集まっている?
怖すぎ!? 高さ4m「巨大つらら」発生でクレーン車が出動 国道の「ループ橋」で緊急除去作業へ SNSでは「作業ありがとうございます」感謝の声も
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
高速道路を「トラック横並び完全封鎖」で渋滞…むかつく風景が日常茶飯事な「意外な理由」とは? 逆に嫌がらせしたら「免許返納」レベル! 思わぬ「うっかり交通違反」にも注意
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
日産復活のカギはやっぱり[新型マーチ]!? ヤリスやフィットを超えるコンパクトカー誕生なるか!? 2025年度に発売確定!
インテグラなのにおっさんセダン! マークXなのにFF!! 名前は「名車」中身は「迷車」なクルマ4選
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?