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【試乗】ID.4は、電気自動車であってもフォルクスワーゲンらしさに変わりはなかった

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【試乗】ID.4は、電気自動車であってもフォルクスワーゲンらしさに変わりはなかった

フォルクスワーゲンのBEV(バッテリー電気自動車)「ID.」シリーズ日本導入最初のモデル「ID.4」に短時間の市街地走行だが試乗する機会を得た。そこであらためて感じられたのは、BEVでも共通する「フォルクスワーゲン」らしさだった。

満を持して?日本に再上陸したフォルクスワーゲンのEV
思えば、フォルクスワーゲンが市販の電気自動車(以下、EV)として「e-ゴルフ」を日本に導入したのは2017年のことだった。その2年前にも「e-up!」とともに日本導入を検討したのだが、日本の充電インフラとの相性がいまひとつで見送られていた。

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当時試乗した印象として、e-ゴルフは、その名のとおりゴルフ(7代目)がベースだけのことはあり出来の良いクルマだった。それでも、インターネットによる期間限定販売など、フォルクスワーゲンとしては次のステップに向けたパイロット的なモデルだった。

それから5年。EV専用のアーキテクチャーを採用した「ID.」シリーズの第2弾となる「ID.4」が、満を持して?日本導入を果たした。ちなみに「ID.」とは、「アイデンティティ(個性)」や「インテリジェント(知的)デザイン」などを意味しているという。

比較的コンサバな外観だが、内装は少し近未来的
試乗車は、ローンチエディションの上級グレード「プロ」。サイズは、エンジン車のSUVであるティグアンとほぼ同じくらい。だが、ホイールベースは100mm近く長く、いわゆるSUV的にカッチリしたスタイルのティグアンに対して、クーペSUV風の流れるようなボディラインやエンジンのない低いノーズによるシルエットは、機能美を感じさせるもの。それでも、EVだからと変にラジカルでなく、親しみの持てるデザインはフォルクスワーゲンらしい。

とはいえ、インテリアはちょっと近未来的。ドアを開けるとセンターダッシュのインフォメーションディスプレイが目を引くが、ステアリングホイールの向こうにあるメーターパネルはコンパクトなディスプレイ。その右側にシフトのセレクターがある。物理的スイッチ類のないインターフェースは、シンプルで扱いやすい。

ブラック/ブラウンの2トーン配色は、なかなかオシャレ。ステアリングホイールとメーターパネルは連動して動くから、ドライビングポジションは決めやすく、メーターも見やすい。リアシートにも座ってみたが、フロアはほぼフラットでヘッド&フットスペースともタップリ。ラゲッジスペースはパワーテールゲート付きで、フラット&スクエアだからRVとしての使い勝手は十分に高そうだ。

きわめて高い静粛性。乗り味は、やっぱりフォルクスワーゲン
パワーユニットは、今回試乗した「プロ」もエントリーグレードの「ライト」も共通で、204psと310Nmを発生するモーターで後輪を駆動するRWDだ。両車はバッテリー容量と装備などで差別化されている。なお、今回は市街地での30分ほどの試乗だったので、ADAS(運転支援システム)や高速安定性、それにコーナリングなどに関しては語れないことをおことわりしておく。

ドライブモードはセンターダッシュのスイッチで、エコ/コンフォート/パワー/インディビデュアル(自分で設定可能)に切り替えられ、デフォルトはコンフォート。アクセルペダルをエンジン車と同じ感覚で踏み込んでも、EVによくあるような初期ゲインは強くなく、普通にスッと静かに発進する。これはパワーモードでも同じ。もちろん、ベタ踏みすればエコモードでもEVらしい?ダッシュを見せるが、街中を流して走る限りはコンフォートでも十分以上に速い。

ドライブモードを切り替えるとパワーの出方やステアリングのアシスト力が変わるが、足まわりの設定は変わらない。とはいえ、全般的に乗り心地は良く、EV専用アーキテクチャーによるガッチリした剛性の高さも感じさせる。全長4.6m足らず、全幅も1.85mというサイズは、少し交通量の増え出した師走の都会を走りまわるにも持て余すことはなく、アクセルペダルを踏んだだけスッと出て、ハンドルを切ればスイッと車線変更もでき、しかも静か。そう、この静粛性はエンジン車だったら2クラス以上も上のレベルにある。

短時間だが、乗っているうちに「これ、ゴルフじゃないよね?」と感じた。つまり、ID.4の乗り味は言葉にはしにくいのだが、ゴルフやポロに代表されるような、フォルクスワーゲンらしい扱いやすさや親しみやすさを感じさせるものだった。もっとも、これはメルセデスやアウディのEVに乗っても感じられたこと。ドイツのメーカーは、エンジン車からEVに乗り換える既存のオーナーのためにも、そのアイデンティティである乗り味を踏襲しているように思えてならない。

将来的には、フォルクスワーゲンはゴルフもEVにしてしまうのかなと思うと、ちょっと寂しい気もするが、まあこれも時代の流れなのだろう。

販売好調につき2023年モデルの販売を前倒し
なお、フォルクスワーゲン ジャパンでは、ID.4 ローンチエディションの販売が好調なため、2023年モデルの販売を前倒しして、2022年12月22日から先行受注受け付けを開始した。車両価格(税込)は、エントリーグレードのID.4 ライトが514万2000円、上級グレードのID.4 プロが648万8000円。ローンチエディションより少し高いが、制御にかかわるハードウエアとソフトウエアの改良で、航続距離を延伸(ライト:388km→435km、プロ:561km→618km)している。

前述のようにライトとプロのパワートレーンは基本的に同じで、バッテリー容量の違いから航続距離に差があるが、市街地走行が中心ならライトでも十分だろう。いずれにしても、フォルクスワーゲンの本格参入で、日本のEV市場は国産/輸入車を問わず、さまざまなクラスで活性化していくことは間違いなさそうだ。(写真:井上雅行 ※写真は試乗時とは別に撮影したものです)

フォルクスワーゲン ID.4 プロ ローンチエディション 主要諸元
全長×全幅×全高:4585×1850×1640mm
ホイールベース:2770mm
車両重量:2140kg
パワートレーン:交流同期電動機×1
最高出力:150kW(204ps)
最大トルク:310Nm(31.6kgm)
最小回転半径:5.4m
駆動方式:RWD
WLTCモード一充電走行距離:561km
総電力量:77kWh<52kWh>
タイヤサイズ:前235/50R20、後255/45R20
車両価格:636万5000円

[ アルバム : フォルクスワーゲン ID.4 試乗 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

9件
  • トヨタbZ4Xと価格で完全にガチンコ
    フォルクスワーゲンID.4の方は後輪駆動で走りも信頼性も高い
    どっちと言う話じゃ無くトヨタ信者でも無ければID.4だね
    韓国の車にも負けてるトヨタの後れは致命的だな
  • 既に欧米では電動車は日本車はダメというイメージが出来上がってしまいました。リーフのバッテリーが短期間でへたるのがバッテリーの問題では無いということが他車のBEVで証明されてしまった。ニッサンはバッテリー管理をケチったためにとんでもないことをしてしまった。日本車は内燃車は良いが電動車はダメ。このイメージ簡単には払拭できないよ。日本人が中国車がダメというのと同じ感覚です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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