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【ノーマルとの違いは何!?】GRがトヨタのスポーツモデルの底上げに貢献

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【ノーマルとの違いは何!?】GRがトヨタのスポーツモデルの底上げに貢献

 Gazoo Racingが手掛けたスポーツモデルは、GRMN、GR、GRスポーツといろいろあるが、それぞれ何が違うのかわかりにくい。

 さらにGRMNとなるとノーマルモデルの価格の約2倍にもなるモデルもある。GRモデルのヒエラルキーと、どんなチューニングが施されてノーマルとどのように違うのかを考察していく。

【最大の敵は己にあり!?】 鳴り物入りで登場したけど、最近冴えないクルマたち

文:ベストカーウェブ編集部/写真:TOYOTA、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】日本で販売されたGRMN

GRのヒエラルキー

Gazoo Racingが手掛けるモデルには、GRMN、GR、GRスポーツと別れていて、それぞれターゲットが異なるためチューニングレベルも違う

 まずはGazoo Racingについて。

 Gazoo Racingはワークス活動から普及活動まで幅広くトヨタのモータースポーツ活動を展開している。WRC、WECにはTOYOTA Gazoo

Racingとして参戦している。グラスルーツとしては、Gazoo Racingラリーチャレンジなども積極的に展開。

 実はモータースポーツだけでなく、トヨタのスポーツ性の高いモデルの開発も手掛けている。

 車両開発では2018年5月にデビューしたGRスープラは、初めてGRの名称が車名に組み込まれたモデルとなった(註:国交省への届け出はスープラ)。

 その違いを個別に見ていく。

頂点に君臨するのがGRMN

 トヨタにはGazoo Racingの頭文字をとったGRモデルをラインナップしているが、チューニングレベルによりヒエラルキーがあり、GRピラミッドの頂点に位置するのがGRMNだ。

トヨタがGRMN第1弾として市場投入したのがiQ GRMNで2009年に100台限定で販売された。!Qをベースに選ぶとは超マニアック!!

 ドイツのニュルブルクリンクは車両開発の聖地とも呼ばれていてトヨタもスポーツモデルを開発している。

 2007年からニュルブルクリンク24時間レースに参戦、車両開発の一環としていて市販車にもフィードバックされている。

 名称のGRはGazoo Racing、MNはマイスター・オブ・ニュルブルクリンク。MNはマスタードライバーの故成瀬弘氏のことで、彼をオマージュしたトヨタにとって特別なスポーツモデルであることを意味している。

 トヨタでは『走りの味を追求した究極のスポーツモデル』としていて、これまで市販されたGRMNはすべて台数限定で販売されているのが特徴で、最新のマークX GRMNを含めすべて完売する人気を誇っている。

 これまでに日本で販売されたGRMNは表のとおり少数精鋭の全7モデル。

マークXは2015年と2019年の2回、1回目は100台、2回目は350台の限定だが、あっという間に完売。マークXの販売不振がウソのような人気

マークXはGRMNで最も多い合計450台を完売

高いが納得の仕上がり

 では、ノーマルとどこが違うのか?

 その答はすべて。これはまったく別物と言っていいレベルの仕上げとなっている。

軽量化した部分をボディ補強にあて、シャシー、ボディを大幅に補強。エンジンはそれほスペックアップしていないがトータルバランスに優れている86GRMN

 86を例に挙げると、エンジンスペックは200ps/205Nmから219ps/217Nmということで大幅なスペックアップではないが、クロスレシオの6MTの採用により走り86のウィークポイントであった中速域のトルクの谷間も消えてストレスなく加速する。

 ノーマル86のライト感覚のFRスポーツとは違い本格FRスポーツの走りを実現。走りの質感はケタ違い。

 ボディ補強によるねじれ剛性のアップによりコーナリング中のスタビリティも格段に増していて安心してコーナーを攻めることができる。かつてのトヨタのスポーティなアシはガチガチだったが、乗り心地も悪くない。

86はリアのトランク周りの剛性が不足しているといわれていたが、GRMNでは対策。そして各種のチューニングはマイチェンモデルにフィードバックされている

 開発者に聞いたところ、100台限定で1台1台を手組で仕上げているという。

 価格はノーマル86の約2倍の648万円。価格だけ見ると高く映るかもしれないが、内容から考えると割安といっていいくらい。ノーマルの86に同じチューニングを施したとしたら、あと150万円程度はかかるのではないだろうか。

 ここまで本格的ゆえ万人受けを狙っていないし、価格、限定ゆえに入手困難だ。

今後登場予定のGRMN

トヨタはすでにGRスープラにGRMNを設定すると公言しているが、2021年のデビューに期待したい。価格はノーマル+300万円程度で1000万円を切る可能性大

 トヨタはすでにGRスープラにもGRMNを設定することを公表しているため、GRMN第8弾はGRスープラになるのは間違いない。早ければ2021年の登場に期待できる。

 あと気になるのは、2018年秋に公開され、箱根駅伝でも走ったセンチュリーGRMNは2台存在するが市販化はされないもよう。

 GRMNはエンジン、トランスミッションのパワートレーン、スポット増しなどによる本格的なボディ補強、足回り、ブレーキなどすべてにわたって手を入れているメルセデスベンツのAMG、BMWのM、アウディのRSに匹敵する究極のスポーツモデルだ。

 2020年秋には、WECに参戦しているTS050で得られたノウハウをフィードバックしたGRMNスーパースポーツが登場する。価格は1億~1億5000万円といわれている。

2019年1月の東京オートサロンに出展された漆黒のセンチュリーGRMN。箱根駅伝バージョンは純白で両モデルともナンバー付きだったが市販化はないもよう


WECのマシン、TS050の技術がフィードバックされたロードゴーイングモデルで、2020年秋に1億~1億5000万円で販売。一般人には高嶺の花だが楽しみ

本格スポーツを目指したのがGR

 GRMNの下に位置するのがGRでボディとシャシーの強化、トランスミッションなどのパワートレーンも強化されているモデルで、トヨタではGRのことを『操る喜びを日常的に実感できる本格スポーツ』と表現している。

 誰もが欲しいと思った時に買えることが前提だから、GRMNが限定なのに対しカタログモデルとして販売されている。

 現在GRが設定されているのはGRスープラ、86GR、ヴィッツGRの3車種のみ。ちなみにスープラはノーマルモデルそのものがGRという位置づけとなっている。

スープラは初めて車名にGRの名前が盛り込まれたロードカーとなった。カタログモデルがすでにGRのチューニングレベルにあることの証だ

 ボディのしっかり感はGRMN譲りで、最適化されたサスペンションなどのチューニングも本格スポーツ走行を楽しむのにうってつけで、ノーマルの薄っぺらさは皆無だ。

 今後登場を予定している注目のGRモデルを紹介していく。

 2018年の東京モーターショーに参考出品された後市販化される可能性が高いのがクラウンGR。2020年春までには販売される予定で、ベースとなるのは2Lターボモデルだ。

歴代モデルで初めてニュルブルクリンクで開発された現行クラウンにもGRが設定される。2019年10月の東京モーターショーでお披露目後に市販開始が有力

 そしてヴィッツは2019年年末にフルモデルチェンジしてヤリスに車名変更されるが、ヴィッツ時代からGRのチューニングベースとして重要なモデルだけに必ずGRが設定され、早ければデビュー1年後の2020年秋にデビューすると思われる。

 変わり種としてはSUVで初のGRとなるC-HR GRにも注目したい。走りの素性のよさは、トヨタがニュル24時間に抜擢したことでも明らか。現時点では確定情報は得ていないが、東京モーターショーに参考出品される可能性は充分にある。

 C-HR GRには標準車に設定のない6MTが搭載されるという噂もあるため楽しみ。

人気SUVのC-HRにはSUV初のGRが設定されるという情報がある。ベースとなるのは1.2Lターボで、6MTが設定される可能性が高い。マイチェンと同時デビューか!?

手軽さが魅力のGRスポーツ

 GRの下に位置するのがGRスポーツで、ボディとシャシーの強化のほか、専用のエアロパーツなどを装着してノーマルと差別化されている。

 このGRスポーツの前身は2010年からトヨタが推進して拡大設定してきたG’sで、2017年にこのG’sがGRスポーツに切り替えられた。

ノア/ヴォクシーはG's時代から人気モデルとなっていたが、GRスポーツになっても人気は健在。ミニバンとは思えないスタビリティの高いハンドリングが好評

 トヨタでは『ライフスタイルに合わせて走りを楽しむエントリースポーツモデル』と表現しているとおり、いろいろな車種、パワートレーン、カテゴリーのモデルに設定されているのが特徴だ。

 手軽と言ってもチューニングはしっかりとしていて、GRMN、GRほど本格的ではないがボディやシャシーの強化も施すことによってノーマルモデルと差別化。

 GRスポーツはGRMN、GRのようにスポーツに特化するのではなく、あくまでも手軽に本格的なスポーツチューニングが楽しめる点に存在価値がある。

 足回りのチューニングなどにより走りはノーマルよりも気持ちいいものに仕上げられているが、価格はモデルによって違うもののベースモデル+約20万~50万円程度に抑えられているので買い得感、満足感とも高い。

 2019年9月現在では、86、プリウスPHV、アクア、プリウスα、マークX、ハリアー、ノア/ヴォクシー、ヴィッツの9車種に展開されている。

トヨタのSUVとして初めてGRスポーツが設定されたハリアー。カリカリのスポーツではなく落ち着いたスポーツを好演出。このあたりの味付けがうまい

 今後登場するモデルとしては、RAV4、カローラスポーツ、カローラツーリングといったTNGAを採用した新世代のモデルとなる。Gazoo Racingがどのようなチューニングを施してくるか楽しみ。

 人気のSUV系では、一躍人気SUVに躍り出たRAV4にもGRスポーツが設定されるという情報が入ってきている。ノーマルでもSUVとして走りの評価が高いRAV4をどのような味付けにするのか期待したい。

 あと、トヨタ車以外で初めてGRスポーツが設定されるダイハツコペンGRスポーツにも注目したい。コペンのチューニングモデルは現在も人気だから、販売のテコ入れには最適だろう。

トヨタ車以外で初めてGRスポーツが設定されるのがダイハツコペン。Gazoo Racingにとっても初の軽自動車でのチューニングとなるだけに楽しみ

 このGRスポーツの下、ピラミッドの一番下に位置するのがGRパーツだ。これは完成車ではなく、自分の好きなパーツを選んでドレスアップ、チューニングすることができる。パーツに関してはTRDが製作しているので安心感が高い。

 GRスポーツでもちょっと敷居が高いが、ドレスアップ、チューニングしたい、という人には最適だ。

大人気のRAV4のGRスポーツの開発が進められている。Gazoo RacingがTNGAに対しどのようなチューニングを施すのか楽しみ

まとめ

 Gazoo Racingのヒエラルキーからもわかるとおり、スポーツモデルに関心を持っている人から本格的なものまですべてを幅広くカバーしている。

 これはワークスからグラスルーツまで幅広くモータースポーツ活動をするのと同じ姿勢で、スポーツチューニングの楽しさを伝播することが目的となっている。

環境一辺倒ではなく走る楽しさを追求したハイブリッド系のGRスポーツこそ、トヨタがユーザーに最も訴求したい部分なのかもしれない

 頂点のGRMNに注目が行きがちだが、ライトなユーザーを取り込むためにもGRスポーツに最も力を入れていると言ってもいいかもしれない。

 そしてGRMN、GRでのチューニングがマイチェンモデルや次期型にフィードバックされ、トヨタのスポーツモデルの底上げに貢献している。

【画像ギャラリー】日本で販売されたGRMN

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