2021年7月29日、新型BRZがいよいよ発表。トヨタの新型GR 86に先んじて日本仕様が正式にデビューを飾った。
そして私事になるが、筆者は1年落ちの中古車で購入し、約6年乗った初代トヨタ 86(前期C型)を、新型スバル BRZに乗り換えた。
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なぜ86オーナーが、新型への乗り換えを決め、そして86ではなく新型BRZをチョイスしたのか? 本稿では半ば衝動買いだった、その経緯などを紹介していく。
文/永田恵一、写真/編集部、SUBARU、TOYOTA
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86オーナーだった筆者はなぜ新型BRZを買った?
筆者が所有していた初代86(前期C型)と新型GR 86。同じ新型でもこちらではなく敢えてBRZをチョイスした理由とは?
筆者は、初代86/BRZの登場時から惚れ込み、初代86を中古車という形で自分のものにした。それからは初代86とBRZが持つ、いろいろな意味での絶妙なバランスを主な理由に、愛車として最長となる約6年乗った。それだけに新型GR86&BRZに対しても興味津々だった。
ただ、GRヤリスも所有する筆者にとって、86は大人のオモチャ的な存在だったこともあり、2021年9月の車検を継続して初代をそのまま乗り続ける方向であった。
だが、7月中旬のプロトタイプの試乗会で新型86&BRZに触れ、正常進化した新型に対し、「愛車にしたい!」というスイッチが入り始めた。
もうひとつの理由としては、初代86/BRZの開発にあたっては「新車で買われた86/BRZを中古車として回すことも重要」という思想があったこともあり、少々偉そうながら「36歳で買った中古86に存分に楽しませてもらい、現在41歳のオッサンになった筆者がすべき理想は新型を買い、初代を誰かに回すこと」だと思ったこともある。
また、そこには私の師匠である自動車評論家の国沢光宏氏が、初代から3代目までのプリウス、初代から4代目までのレガシィを乗り継いだように、自動車メディアのフリーランスライターとして「モデルチェンジで乗り継ぐクルマがあってもいいか」という気持ちもあった。
筆者は、7月中旬に行われた新型GR86&BRZプロトタイプの試乗会で、愛車にすると決めた。マイルド方向のBRZのほうが今の自分に合うと考え、7月29日の注文開始初日に購入を決めた
乗り換えるのであれば、「GR 86かBRZのどちらにするか?」だが、今回は「初代86前期型に約6年乗り、2台におけるトヨタの思想は存分に味わったことと、新型同士では全体的にマイルドな方向のBRZのほうが40代になった自分には合っているだろう」と判断し、BRZを有力候補とした。
というタイミングで国沢師匠が10年ほど前にタイ国のラリーに年間参戦した際に、シーズン途中でのクラッチ交換のため来ていただいたメカニックさんが、東京スバルの店長になっていたこともあり、7月20日頃に話を聞きに行ってみた。
すると新型BRZの価格は308万円からと、初代86の処分や継続車検代も考えると何とかなりそうな額だったこともあり、7月29日の注文可能初日に購入を決めた。
「興味あるクルマを、いろいろな巡り合わせが噛み合ったのもあり買った」というワケである。
受注開始日に注文した新型BRZの仕様は?
新型BRZ 標準グレード:R(MT)/全長4265×全幅1775×全高1310mm/ホイールベース:2575mm/車本体価格:308万円
筆者は「新型BRZを買うならMT」と決めており、まずは標準の「R」(308万円)と上級の「S」(326万7000円)というグレード選びから。
一般的には18インチのミシュラン「パイロットスポーツ4」を履き、新しい走りのフェーズに入った86&BRZを味わうことに加え、インテリアの加飾も加わる「S」が無難だろう。
写真は、86&BRZにおけるミシュラン「パイロット」シリーズ採用実績のパネル。新型BRZでは「S」に「パイロットスポーツ4」が標準装着となる
しかし、筆者は初代オーナーということもあり、初代が提案した「ほどほどのタイヤ(3代目プリウスも採用した17インチのミシュラン「プライマシーHP」)で楽しむ」という世界観の進歩を確認したかったこと、標準の「R」でも装備は初代86の「GT」、初代BRZの「S」並みと十二分なものが付くことを理由に「R」を選択。
新型BRZにメーカーオプションはないので、工場出荷状態で選べるのはボディカラーだけとなる訳だが、迷ったのはクリスタル・ブラックシリカとサファイアブルーパール(紺)だ。
初代の時にもカラーコードがトヨタとスバルの友好を表すD4S(スバルに技術開示されたトヨタのポート噴射も併用する直噴技術と同じ)だったのもあり、クリスタル・ブラックシリカにしたかったのだが、中古車だったためそこまではこだわれなかったこともあり、新車の今回はクリスタル・ブラックシリカを選んだ。
新型BRZのボディカラーは全7色。そのなかから、筆者はクリスタル・ブラックシリカを選択した
次は買った後でも装着できるディーラーオプションだ。まず迷うのがカーナビで、新型GR 86&BRZは9インチのモニターが入るようになっているが、9インチは30万円近くと高く、7インチだと枠が余ってしまうため見栄えが少々悪いのも事実だが、そこは目をつぶって7インチのアルパインを選んだ。
また、カーナビ関係は後述する購入条件とも関係するETC 2.0、バックカメラ、前後ドライブレコーダーのパックとした。
そのほかは、予算もないのでフロアマット、バックフォグ、ドアロックとドアミラーの格納が連動するドアミラーオートシステムとシンプルに抑えた。なお、希望ナンバーは新型GR 86&BRZの2.4Lエンジンのボア×ストロークから「9486」である。
初代86はいくらで売れた? 新型BRZ購入 お金まわりのリアル
愛車として約6年乗っていた初代86は、86/BRZ専門店での買い取りが決まり、145万円となった。写真は筆者の愛車と同型の初代86 前期C型(2014年改良モデル)
まずBRZ自体の購入に関しては合計約33万円の7インチカーナビ、バックモニター、前後ドライブレコーダー、ETC 2.0がキャンペーンで約25%引きになったくらいだったため、総額375万円といったところである。
そのため重要になるのが初代86の処分で、ディーラー下取りなどもあったが、最終的には86/BRZを得意とする専門店での買い取りで、筆者の初代86前期型(2014年式C型GT、走行約4万5000km、オレンジ)は145万円となった。
ここで注目したいのが初代86の大雑把な収支決算で、筆者の初代86は新車で総額300万円はしたクルマだと思う(編注:当時の新車価格は287万9673円)。
さらに筆者の初代86はトヨタディーラーで買ったものという安心感ある中古車ながら、買う立場から見て充分値落ちしており、「(購入金額―処分した金額)÷乗った期間」という実質的な出費は月2万円以下で済んだ。
実質的な出費というのは頭金なしで残価設定ローンを組んだ場合の月の支払いに近いもので、筆者の初代86の場合は標準的な軽自動車の新車に5年乗った程度の出費だった。
もちろん、軽自動車と初代86で維持費はまったく違うが、それでもこの出費で大きな修理代も掛からず約6年も乗りたかったクルマに乗れたのだから、私の初代86にはリセールバリューの良さも含めて、心から感謝している。
なお、筆者の新型BRZは注文可能初日の注文だったこともあり、うまく行けば8月末、遅くとも9月上旬には納車される見込みで、毎日ワクワクしているところだ。
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