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【英国の影の工場】オースチン ヴォグゾール ロールスロイス/ベントレーほか 後編

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【英国の影の工場】オースチン ヴォグゾール ロールスロイス/ベントレーほか 後編

5. ロングブリッジ:オースチン

執筆:Graham Robson(グラハム・ロブソン)

【画像】英国の影の工場 登場する英国車 トライアンフ、ミニ、ランドローバー、ジャガーなど 全141枚

画像提供:Graham Robson(グラハム・ロブソン)

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


かつてコフトン・ハケットと呼ばれた、バーミンガム郊外のロングブリッジ・エリア。ここに存在していたのが、オースチン社の軍事利用を前提としたシャドー工場だ。

1938年に建設され、スターリング爆撃機やランカスター爆撃機といった多くの航空機が製造された。名機、ハリケーン戦闘機も作られている。

第二次大戦が終わり平和が訪れると、オースチンはブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)傘下に併合。軍用車両の製造を手掛けていた時期もあったが、後にエンジンと前輪駆動車用のトランスミッション工場へ転身している。

当初はブリティッシュ・レイランド・グループのEシリーズ・エンジンを製造。その後はハッチバックのオースチン・マエストロのほか、ローバー200やローバー400といったサルーン向けのエンジン、MGFのハードウエアも製造している。

BMCの体制が崩れ、中国企業による買収が進むと事業は急速に縮小。工場は更地に戻され、穏やかな住宅地となっている。

マニアな小ネタ:オースチン・ヒーレーは1957年まで、ロングブリッジの工場で作られていた。その後、アビンドンへ拠点を移している。オリジナルのBMCミニは、1999年までロングブリッジで作られていた。

6. ルートン/ベッドフォード:ヴォグゾール(英国オペル)

かつてゼネラル・モータース傘下にあったヴォグゾールは、1930年代に乗用車やトラックの分野で急速にシェアを拡大した。第二次大戦が始まると、ベッドフォードで製造された大型トラックは、天候を問わない輸送手段として活躍した。

同時に量産されたのが、チャーチル戦車。戦果に大きな影響を与えた。1941年から1950年代初頭にかけて、ヴォグゾールはベッドフォードの拠点で多くの設計開発を行っている。巨大な鉄製の兵器も、ベッドフォードとルートンの工場で生み出された。

1945年の終戦から1960年代にかけては、すべてのヴォグゾール・モデルが同じ場所で設計・製造されている。それ以降はエルズミア・ポートに工場が新設され、ブランドの拠点も移された。

マニアな小ネタ:英国政府の要請を受け、ヴォグゾールはチャーチル戦車の製造を請け負っているが、ほかの企業では対応できない内容だったという。

7. クルー:ロールスロイス/ベントレー

1930年代まで、ロールス・ロイスは多くのクルマやエンジンを手掛ける企業だった。1939年から1940年にかけて、新しいマーリンV型12気筒エンジンのプラントも、クルーに設けれれている。

この名ユニットは、スピットファイア戦闘やランカスターとモスキート爆撃機など、第二次大戦の名機へ搭載されている。1945年の集結とともに工場は役目を終え、ロールス・ロイスとベントレーの自動車部門の本部が構えられた。

1998年に2つのブランドは売却されることになり、ロールス・ロイスの自動車部門はBMWが買収。クルーを離れた。一方のベントレーはフォルクスワーゲン傘下となり、クルー工場でブランドの伝統を今も守っている。

マニアな小ネタ:クルーは本来、鉄道の町として有名だった。現在はベントレーの城下町として栄えている。

8. バナーレーン:スタンダード

複雑なブリストル・ハーキュリーズ星型14気筒エンジンを製造するために建設された、コベントリー郊外のバナーレーン・シャドー工場。1945年までスタンダード社の管理下にあり、コベントリーでは最大の就職口になっていた。

戦争が集結してもスタンダード社は工場を借用。1958年まで本社として利用したほか、ファーガソン・トラクターを量産した。

この場所では、サルーンのスタンダード・ヴァンガードのほか、スポーツカーのトライアンフTR2、ヘラルド、TR3のル・マン・マシンなどが開発されている。デザイナーのミケロッティの協力を仰ぎながら。

その後、ファーガソン・ブランドは売却されトラクターの製造はカナダ人オーナーへ任される。スタンダード社はブリティッシュ・レイランドへ併合された。

マニアな小ネタ:現在、バナーレーン工場は跡形もない。数1000件の家が立ち並ぶ、閑静な住宅地になった。

9. ソリハル:ローバー

1941年に、ローバーのコベントリー工場は爆撃を受けるが、新設されたソリハルと、隣接するアコックスグリーンのシャドー工場で積極的に生産が続けられた。

戦時中にこの場所で生み出されていた主力製品が、マリーンV12気筒エンジンを搭載したメテオ戦車だ。ほかにも、多くの軍需品が製造されている。

平和が訪れた1945年、工場は使われなくなるが、1948年にローバー社が進出。ローバー・ブランドの乗用車とともに、ランドローバーが製造された。

1970年からはレンジローバーも加わり、トライアンフTR7やTR8といったスポーツカーも1980年から生産されている。ガスタービン・エンジンを搭載したテスト車両や、大型サルーンのローバーSD1なども作られていた。

マニアな小ネタ:量産版のランドローバーの各シリーズと、後の初代ディフェンダーは、このソリハル工場で製造されていた。現行型は、スロバキアの新設工場だ。

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