フェアレディZの新型のプロトタイプをめぐってクルマ好きのあいだで議論百出である。今尾直樹は新型Z=Be-1説を唱えて参戦!
「Be-1」を連想した理由とは?
「Zについては十人十色、百人百色の意見があるので、つくる側としてはプレッシャーがあった」と、開発を担当したチーフ・プロダクト・スペシャリストの田村宏志さんが9月16日の日産フェアレディZプロトタイプのオンライン発表会で語っていた。まことにもってそうだろうと思う。外野席のファンは勝手なことをいう。何を隠そう筆者もそのひとりである。どーも、すいません。
それにしても、5月に公開された“Nissan A-Z”の動画内での新型Zの予告にはワクワクした。いよいよ日産の反撃が始まる! ひさしぶりにZの新型が出ることが明らかになったのだから。その予告に登場したシルエットによって、新型Zは初代のS30路線で行くのか、ということが筆者にもわかった。
Hiromitsu Yasuiなので、アンヴェールされたフェアレディZプロトタイプに正直なところ驚きはなかった。日産がバブル期に生み出した「Be-1」だ、と思った。その後のBMW「ミニ」やフォルクスワーゲン「ニュービートル」、フィアット「500」、フォード「サンダーバード」など、レトロ・デザインのブームの起爆剤となった、といわれている限定生産車である。
あれから、ざっと30年。過去と未来をつなぐレトロ・デザインということはBe-1とZプロトタイプはおなじだけれど、大きな違いは、デザイン・ソースがよそさまのではなくて、日産のアイコン、初代フェアレディZである点だ。この違いは大きい。
S30はいまも世界中で愛されているスポーツカーである。半世紀以上前に、“ミスターK”こと、日産アメリカの社長だった片山豊が中心になって、アメリカ市場をターゲットに開発された。1969年に発売となるや、コスト・パフォーマンスの高さと、ジャガー「Eタイプ」をモダンにしたようなロング・ノーズ、ショート・デッキのクーペ・ボディによって大ヒットとなり、MGやトライアンフ、そしてアルファ・ロメオなどのオープン2座スポーツカーを駆逐してしまった。
日産には、消えざるを得なかった彼らの分まで、アフォーダブル(手ごろな)・スポーツカーを提供する責務がある。S30へのオマージュだという新型Zのデザインは原点回帰であり、そういう責務を日産自身が意識しているということのあらわれであろう。「日産のDNAがつくらせたクルマである」と、田村CPSも発表会で発言していた。筆者はここに、日本の自動車産業の文化的成熟を見る。
見慣れたら意見は変わるはず
個人的なデザインの印象を申しあげると、Zと書かれたみたいな(間の斜めの棒はないけれど)LEDのヘッドライトが、まだ見慣れないのもあって、なんだかヘンテコだな、と、感じる。正面から見ると、長方形のグリルは西原理恵子のマンガの『毎日かあさん』みたいだ。もちろん違和感があるのは新しい証拠で、悪いことではない。見慣れたら意見は変わる。デザインとはそういうものである。
テール・ライトは1989年登場の4代目、Z32からインスピレーションを得ているという。現行モデルよりも、ロング・デッキに仕立てているのも、Z32を意識したのだろう。「スポーツカーに乗りたいと思う」というバブル真っ只中の広告コピーを思い出す。
いかにもスポーツカーのコクピットというムードのインテリアは魅力的だ。古典的な現行Zのそれを下敷きにしつつ、メーター類をデジタル化している。伝統を大切にしつつ、アップ・トゥ・デートしている。ボディ色とコーディネートしたシートのパイピングもおしゃれだ。
今回発表されたのはプロトタイプであって、コンセプトではない。デザインはこれで固まっていて、このカタチで市販化されるはずだ。蛍光色のイエローは街中でグッと映えるにちがいない。全長×全幅×全高=4382×1850×1310mmというボディ・サイズが明らかにされている。これは2008年に登場した現行Z(Z34)のNISMOバージョンより、52mm長くて、20mm狭く、5mm低い。つまり、ほとんどおなじだ。
全長を5cm延ばしたことで、S30のロング・ノーズのプロポーションに見せているのだから、寸法以上の効果をあげている。そこにデザインのマジックがある、ということだろう。おそらく、サイドのエッジーなラインがボディの分厚さを隠し、リアのフェンダーからリア・エンドにかけての筋肉質なふくらみがLEDライトに頼らないモダンさの表現になってもいる。
お客さまは必ずや認めてくださる
パワートレインはV型6気筒ツインターボと6MTである、とのみ発表されている。日産のV6ツインターボといえば、スカイライン400RのVR30DDTTである。400Rの最高出力は405ps/6400rpm、最大トルクは475Nm/1600~5200rpmを誇る。
H.Mochizuki現行Z34のNISMOバージョンは、自然吸気の3.7リッターV6から最高出力355ps/7400rpmと最大トルク365Nm/5200rpmを絞り出している。VR30DDTTに載せ替えるとすると、50psと110Nmものアップが期待できる。
車重は未発表ながら、Z34 NISMOが1540kgであることを考えると、400Rより200kg以上も身軽になる。新型Zの動力性能やいかばかり。ポルシェ「718ケイマン」、「ケイマンS」はもちろん、385ps、450Nmのポルシェ「911」に勝るとも劣らぬ加速性能が期待できる。しかもそれを、現行911にはない6MTで楽しめるのだ。いまどきマニュアルを用意した日産の侠気がうるわしい。
これだけの高性能版ともなれば、S30のZ432みたいなサブネームをつけるべきだろう。4バルブ、3キャブレター、2カムシャフトにならって、4バルブ、3リッター、4カムということで、Z434はどうでしょう。
発売時期は2021年春か、もしくは同年の秋の東京モーターショー、と考えるのが妥当ではあるまいか。アメリカ市場で20カ月以内に投入する10種の新型車の1台であることは明らかにされている。遅くとも2022年までに登場する。開発のスタートが2017年3月。開発期間が4年だとすると、2020年での発売はむずかしそうだ。
こんなにステキなプロダクトを生み出せる日産がどうして業績不振に陥ってしまったのか。どうしてカルロス・ゴーン元CEOのような事件が起きたのか。詳細が明らかになるのはこれからである。「過去の過ちを認め、信念をもって生まれ変われば、お客さまは必ずや認めてくださる。」と、半沢直樹もいっている。
倍返し、1000倍返しだ! やっちゃえ、ニッサン。2021年が日産の年となることを期待したい。
文・今尾直樹
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
「子供が熱を出したので障害者用スペースに停めたら、老夫婦に怒鳴られました。私が100%悪いですか?」質問に回答殺到!?「当たり前」「子供がいたら許されるの?」の声も…実際どちらが悪いのか
27年ぶりにあの懐かしいスターレットが戻ってくる!? ヤリスより小さいリッターカーは2026年登場か!?
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
土台部分が一緒だから限度があると思うけど、少しでも運転が気持ちいい車になっているといいな。