東京ビッグサイトで開催されたJAPAN MOBILITY SHOW 2023で、ホンダは往年の人気車・プレリュードの復活を展示した。生産終了から20余年をへて復活するプレリュードとは、どんなクルマだったのか?
文/長谷川 敦、写真/ホンダ、Newspress UK、FavCars.com、池之平昌信
プレリュード祝再誕!! ナンパな奴なんて誰が言った!! 実はホンダのトップランナーだ!
■まさかの復活!? に歓喜する往年のファン
ジャパンモビリティショーで公開されたホンダ プレリュードコンセプト。歴代プレリュードと比べて、よりスポーツカー然としたルックスにも注目が集まった
2023年10月28~11月5日に開催されたJAPAN MOBILITY SHOW 2023。かつて東京モーターショーと呼ばれていたこのイベントでは、世界各国の自動車&関連メーカーが現行車種やコンセプトカーなどを発表した。
そんななか、ホンダが公開した1台のコンセプトカーは、多くの人に驚きを与えることになった。
コンセプトカーの名称は「PRELUDE Concept(プレリュードコンセプト)」。そう、ホンダが1978~2001年に販売していたクルマの名称がコンセプトカーで復活したのだ。
今回登場したプレリュードコンセプトは、モビリティの電動化を進めるホンダが2022年4月に予告したスポーツモデルの登場を踏まえたもので、現状は参考出品車ながら、市販の可能性がきわめて高いという。
この記事を執筆している時点(2023年11月3日現在)では外観以外の情報はほとんどなく、肝心のパワーユニットに対するメーカーからの正式な言及もない。しかし、かつて日本を代表するスペシャリティカーとして人気を博したプレリュードの名称復活には十分なインパクトがある。
では、その復活が大きなニュースになるプレリュードとは、いったいどのようなクルマだったのだろうか?
■“デートカー”の称号は名誉、それとも不名誉?
デートカーの称号を不動のものにした3代目プレリュード。低く構えたフォルムは当時の女性ウケもよく、若者を含めて好調なセールスを記録している
初代プレリュードが誕生したのが1978年。当時ではポピュラーだった2ドアノッチバッククーペスタイルをまとい、ホンダ得意のスポーティなFFスペシャリティモデルとして誕生した。
一定の評価を得た初代の後を受けて2代目モデルが1982年にデビュー。この2代目では大胆なデザイン変更を行い、開閉式リトラクタブルヘッドライトの採用や低く構えたシルエットなど、よりスポーティなモデルへと進化した。
2代目の正常進化版たる3代目は1987年に登場した。好評だった2代目のフォルムを受け継ぎつつ、さらに洗練されたデザインは、男性のみならず女性からの人気も集めた。
そしてこの2&3代目プレリュードは、思わぬかたちで脚光を浴びることになった。
プレリュードの2~3代目が現役だった1982~1991年は、いわばバブル景気の真っただ中。この好景気は若者にも及び、若いカップルはオシャレなスポットにオシャレなクルマでデートに行くのが定番とされた。
そんな若者のデートに適したクルマが「デートカー」と呼ばれ、ホンダ プレリュードは日産 シルビアと並ぶ人気デートカーの地位に駆け上った。
だが、バブルはやがて弾けてしまい、デートカーという名称もいつしか使われなくなった。そして皮肉なことに、デートカーと呼ばれたことが2&3代目プレリュードに対する正当な評価の妨げになっていた可能性もあった。
■実は最先端技術を装備した硬派なモデルだった!
プレリュードコンセプトが登場するまで“最後のプレリュード”だった5代目。登場は1996年で、4代目から大きくルックスが変化している。5代目は2001年まで販売が続けられた
デートカーという響きに軟派なイメージを持つのは否めない。しかし、実は2&3代目プレリュードには当時の最新技術が盛り込まれており、安全性と走りを追求する硬派なユーザーの要求にも応えられるクルマだったのだ。
まずは2代目プレリュードに採用された「4W・ALB」を紹介したい。
4WD・ALBは、一般にいうABS(アンチロックブレーキシステム)のこと。ホンダではこのシステムをALB(アンチロックブレーキ)と呼び、この4W・ALBでは4輪(4 Wheels)のブレーキを電子制御するのが特徴。
4つのタイヤに装着した速度センサーの信号(スリップ、加・減速度など)を受け、コンピューターが適切なブレーキ圧を指示するのが4W・ALBで、急制動時や滑りやすい路面を走行している際に安定した姿勢で停車させる。
ABS自体はこの時代すでに存在していた技術だが、ここまで高度な電子制御は間違いなく時代の最先端をいくものだった、
4W・ALBは2代目プレリュードのオプションとして設定されていたが、続く3代目では、4WS(4輪操舵)やトラクションコントロール、LSD(リミテッドスリップデフ)を組み合わせた「TCV」に進化する。
3代目プレリュードもその流麗なルックスとは裏腹に、高度なシステムを装備していた。
「ホンダ4WS」と命名されたそのシステムは、前輪の操舵量に応じて後輪が同、または逆方向に動く機械式の4輪操舵だ。
高速道路走行でのレーンチェンジなど、操舵量が少ない場合は後輪が前輪と同じ向きに動いてスムーズな車線変更を可能にし、狭い道や車庫入れなど、小回りが必要なときは大きな操舵量に連動して後輪が前輪と逆方向動く。
当時はまだ発展途上にあった電子制御ではなく、信頼性の高い機械式でこの操舵システムを完成させたのが技術上のポイントで、こうした4WSシステムが量産車に採用されたのは世界初だった。
1989年にはこのホンダ4WSも組み込んだ総合的な制御システムのTCVも誕生し、上級グレードのプレリュードSiにTCV搭載車が設定された。
デートカーの呼び名ばかりが印象に残るが、実はプレリュードが高度なシステムを装備した先進的かつ挑戦的なクルマだったことはあまり知られていない。
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■止まった時計が再び動き出す。新世代のプレリュードに期待するもの
プレリュードコンセプトの横に立つのはホンダ取締役代表執行役社長の三部敏宏氏。新生プレリュードはホンダのスポーツマインドを体現するモデルになる、と語った
ヒットモデルになった2&3代目の後もホンダ プレリュードの販売は続けられるが、バブル崩壊の影響もあってか、その立ち位置やデザインは迷走状態に陥ってしまった。
4代目と5代目のルックスはそれぞれ大きく変わり、残念ながらそれが成功につながることはなかった。また、2ドアクーペスタイルのスペシャリティカーが時代と合わなくなってきたという背景もあった。
こうしてプレリュードの歴史は5代目をもって2001年に終了。そこから20年以上の月日が流れたいま、まさかの復活を果たすことになった。
現在のホンダにはスポーツカーのラインナップはなく、Nシリーズの大ヒットもあって同社には軽自動車メーカーというイメージも持つ人も増えてきている。
もちろんこれがホンダにとって好ましい状況といえるわけはなく、F1から軽自動車まで手がける総合的な自動車メーカーであることをアピールするためには、スポーツカーが存在しているほうが好ましいと思われる。
実際にホンダがこのように考えているかは不明だが、スポーツカーの復活、それも一時代を築いたプレリュードの再誕は、ファンにとって大いに歓迎できる。
初代~5代目までをプレリュード第1期とするなら、新生プレリュードコンセプトは第2期の幕を開ける重要な一台になるはず。
プレリュードコンセプトはその名称どおりのコンセプトモデルながら、かなり現実的な姿で我々の前に現れた。発売時期も早ければ2024年中というウワサもあり、その続報は気になるところ。
新生プレリュードは、かつてのプレリュードを知る人、そして第2期で初めてプレリュードを知る人、そのどちらにも魅力を感じさせるクルマであることを期待したい。
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カー雑誌のお前らクソ共だよw