3気筒エンジンというと非力だなんてイメージがもしやすると強いかもしれない。しかしいまではBMWが3シリーズにも3気筒を搭載する時代。コンパクトなエンジンが時代の潮流だろう。
そんな3気筒エンジンも軽い車体にマッチングさせて、なんと250psオーバーの「和製ホットハッチ」が開発中との情報が入ってきた。
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トヨタ、そして日産が本腰を入れる今後の3気筒についてスクープ情報をお届けしよう。
文/CG:ベストカー編集部
ベストカー2019年5月26日号
■GRは150psの3気筒でMINIを倒しにかかる??
現在、国産車で3気筒エンジンを搭載するモデルはコストが何よりも重視される軽自動車やリッターカー。日本では今のところ、高性能とはまったく結びつかないところにあるエンジンだといえる。
ところが、世界の潮流としてはBMWを中心に3気筒エンジンは積極的に採用され、高性能化が着実に進んでいる。
トヨタが開発中とされる「ヤリスGRスポーツ」。1.5Lの3気筒が搭載されるはずだ。本格派のヤリスGRMNには3気筒、1.6Lの250psが搭載の可能性も
3気筒特有の振動が出やすいといった面はあるものの、コストや燃費には非常に優れるといったメリットも多く、トータル性能を引き上げる新しい技術分野として注目されているわけだ。
しかしこれに合わせて今、実は日本でも3気筒エンジンが新たに生まれ変わる動きが加速している。
特に動きが活発なのがトヨタだ。その筆頭がヤリスGRMNで、このヤリスのハイパワーバージョン用に開発中の250psを発揮する1.6Lエンジンは3気筒。
今後は、これがトヨタのコンパクトクラススポーツエンジンの主流になる。
リアデザインも判明してきた。プリウスPHVのようなデザイン処理になりそうだ
そして、ヴィッツから車名を変えて年内にフルモデルチェンジする新しいヤリスのエンジンはベーシックモデルからスポーツモデルまで、すべてが3気筒エンジンになる可能性が高い。
そのなかでも特に注目なのが、GRMNのスペシャルな1.6Lターボエンジンとは別に設定される普及版GRといえる「GRスポーツ」の1.5Lの3気筒ターボだ。
そのパフォーマンスは、同じ1.5L 3気筒ターボであるミニのエンジンをトヨタはベンチマークにしているという情報があり、パワーは150psを超えて、トルクは25.0kgm程度に設定してくると思われる。
ベーシックモデルとなるヤリスには1Lの3気筒を搭載か。全ラインナップで3気筒という可能性もある
ただ、現行型ミニはサイズがコンパクトカーよりひとつ上のCセグメント並みに拡大していて車重が1200kg台と重いのに対して、ヤリスの車重はこれより200kg程度軽くなる。
そのため同じ1.5Lターボでも、パフォーマンスとしてはヤリスのほうがはるかに高くなるはずだ。
なお、ヤリスについては今回さらに詳細なデザインがわかってきた。
特にボディサイドの起伏をテールエンドまでつなげたプリウスPHV風のテールライトが特徴的で、フロント周りも最近のトヨタ車に共通するアグレッシブなテイストが取り入れられる予定。そのデザイン面も含めて登場が楽しみだ。
また、コンパクトカーでは2019年、ホンダのフィットもフルモデルチェンジする。
この次期型フィットには新型の1.5Lハイブリッドが用意される一方、メインモデルには1Lの3気筒ターボが新たに設定される見込みだ。
次期フィットは1.5Lハイブリッドとともに、1Lの3気筒ターボが搭載されるとみられる
この1L 3気筒ターボはすでに欧州仕様のシビックに採用されているが、日本ではフィットなどのコンパクトクラス向けのパワーユニットになる予定。
現在、日本のシビックには1.5L 4気筒ターボが設定されているが、今後このクラスには1Lターボよりも動力性能を重視して排気量をアップした1.2Lクラスの3気筒ターボが投入される可能性もある。
なお、次期型フィットは最近、海外でカモフラージュされたテスト車が目撃されている。
その姿を見ると、デザインは現行モデルのようなボディ表面に強いエッジを効かせたものではなくなり、全体的にスッキリとしたボディラインになることが確認できる。
次期型フィットは現行のインサイト同様、最新のホンダデザインをさらに進化させたスタイルへ一新する。
■ハイブリッドにも3気筒エンジン搭載で燃費アップ
今後はハイブリッドにも3気筒エンジンが組み合わされることになりそうだ。
現行アクアには1.5L 4気筒エンジンにモーターを組み合わせた2代目プリウスベースのTHSIIが採用されているが、次期モデルではカムリの2.5Lハイブリッドなどに採用される新世代THSを搭載。
次期アクアは2021年にフルモデルチェンジ予定。リッター50kmを目指し開発が進むという
1.5L 3気筒のハイブリッドになる。エンジン型式は「M15」で、モーター駆動の4WDもあるという。
現在、JC08モード燃費ナンバー1モデルはプリウスのEグレードで40.8km/L。搭載するのは先代モデルから20%燃費を向上させた1,8L 4気筒のTHSIIだ。
これを次期アクアが搭載する新世代ハイブリッドでは、1.5Lに小排気量化することでさらに効率をアップ。
次期アクアは2021年の登場予定で、その頃のカタログ燃費は実燃費に近いWLTCモードが一般的になり、すると「燃費50km/L」をウリにするのは難しい。
しかし、JC08モードで50km/L、WLTCモードでも50km/L近い数値を目標に開発をしているというのだ。
現在はクリーンディーゼル車のような低燃費と力強い加速の動力性能を両立したクルマもあり、単に燃費がいいコンパクトカーというだけでは、新車が売れなくなっているのは事実。
そこで、次期アクアは「ほかを圧倒する数値の低燃費を実現しろ」というのが社内で命題になっていると関係者は言う。そのため、目標数値が非常に高い。
そして、ここまで高い燃費目標を次期アクアに設定してきたというのは、トヨタのハイブリッド戦略が今、岐路に立っていることの現われともいえる。
今後トヨタは1Lのハイブリッドなど、さらに小排気量のエンジンをベースにしたTHSIIへと発展させ、それをよりコンパクトなパッソやルーミー/タンクなどに投入する可能性がある。
そのいっぽうで、1.5L 3気筒ハイブリッドもパフォーマンス的にさらに余裕が出れば、その上のクラスまで搭載するケースもなくはない。
いずれにせよ、次期アクアはトヨタ次世代のハイブリッド戦略にとって大きな役割を持って登場することになる。
■3気筒で大成功のe-POWERの今後
1.2L 3気筒エンジンが発電した電気でモーターを駆動するシリーズハイブリッドであるe-POWER。
2016年にノートに追加設定され、2018年3月にはセレナにも設定。
ノートは2020年のフルモデルチェンジが予想される。1.2Lの3気筒e-POWERも新世代へと進化する予定だ
ノートは2018年度販売台数ナンバー1でセレナも圧倒的な人気を誇っており、日産はこの好調ぶりからe-POWERを国内市場での拡販のカギと捉えている。
そこで今後、日産は2022年までにe-POWER車を5車種投入することを発表しているが、登場から3年目を迎えるe-POWERはこれから投入するモデルには進化版が搭載されることになる。
その進化型e-POWERでは排気量アップを図るのか、モーターパワーの向上を図るのか、まだ詳細な情報は入っていない。
しかし、現在搭載されているノートは登場から7年目を迎えてモデルチェンジのタイミングが来ており、その中心的パワーユニットであるe-POWERも当然ながら大幅改良が必要な時期に来ている。ちなみに、次期ノートは2020年の登場が予想される。
さらに、ジュークのフルモデルチェンジも2020年になりそうで、次期型ではe-POWERが投入されることになる。
ただ、今日産で売れているのは軽自動車とe-POWERが設定されているノートとセレナであり、これら一部の車種に限定されてしまっている状況だ。
国内マーケットの見直しがこれからの日産の課題といえる。
2020年登場予定のジューク。こちらもe-POWERが搭載される予定だ
そこで、販売好調な3気筒エンジン+モーターのe-POWERは今後、エクストレイルなどの上級モデルまで、ラインナップを広げて投入される可能性は高い。
さらに現在、ノートe-POWERには「NISMO」、そしてより一段とハイパフォーマンスな「NISMO S」と2つのe-POWER NISMOが設定され、これらの評価も高いことから、今後はより過激な「NISMO R」のようなモデルが出てくる可能性もある。注目だ。
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