■予約開始から1週間足らずで… 受注枠が埋まってしまった
トヨタからスポーツカーの新型「スープラ」が発売されます。以前のスープラは1986年から2002年に掛けて、日本でも販売していたので、ご存じの方も多いでしょう。17年ぶりに復活するわけです。新型スープラの正式な発売は2019年5月上旬ですが、販売店では3月9日から予約受注を開始しています。ネット上では「すでに新型スープラ完売」といった声も聞かれるので、真実はどうなのか、販売店を取材しました。
世界に1台のトヨタ新型「スープラ」が2億3000万円 市販モデルの約40倍の価格で落札
まず新型スープラのグレードと価格は以下の通りです。
■新型スープラのグレードと価格(すべて8速AT)
・RZ(直列6気筒3リッターターボ) :690万円
・SZ-R(直列4気筒2リッターターボ):590万円
・SZ(直列4気筒2リッターターボ) :490万円
販売店によると、上記3グレードの内「RZは2019年モデルの販売を終了しました」とのことです。複数の店舗に理由を尋ねると、以下のような返答でした。
――すでに新型スープラが完売といわれてますが、どういうことですか。
新型スープラは海外でも販売され、日本の割り当て台数が少ないです。そのために最上級グレードとなる3リッターターボモデルのRZは、2019年3月9日に予約受注を開始したところ、1週間足らずで2019年モデルの受注枠が埋まってしまいました。
したがって現時点(2019年3月中旬)では受注しておりません。2リッターターボは受注できますが、2019年モデルの枠がいつ埋まるかわかりません。注文をいただいたスープラの納車は、順次行っていきますが、直近で注文を頂いた車両は、2019年10月以降になると思います。
――これから3リッターターボを搭載した新型スープラRZを購入したい場合は、どうすれば良いのでしょうか。
RZは2019年の受注枠を使い切ったので、次の2020年モデルを買うことになります。2020年モデルの予約はまだできませんが、おそらく2019年10月頃には、受注を開始するでしょう。
近所の販売店に『予約受注を開始したら、真っ先に注文を入れて欲しい』と頼んでおくのが良いと思います。ただし2020年モデルの詳細はまだ決まっていないので、正確なことはわかりません。確実なのは、RZが2019年の受注枠を使い切ったことだけです。
――スープラの購入に際して注意すべき点はあるのでしょうか。
スープラの販売は、基本的にトヨタの全店が行います。しかし車検や点検などのサービスは、GRガレージの担当です。GRガレージは、各販売系列(トヨタ店/トヨペット店/トヨタカローラ店/ネッツトヨタ店)がそれぞれ運営していますが、拠点数は少ないです。1県に1店舗の地域も多いです。
新型スープラは基本部分をBMW 新型「Z4」と共通化しており、トヨタ車としてはメカニズムや装備が特殊なので、GRガレージの専門スタッフがサービスを担当するわけです。
■新型「スープラ」アフターサービスはどうなる?
GRのホームページを見ると、GRガレージの拠点が掲載されていますが、たしかに少ないです。車検の時など、車両を預ける期間が長引いたりしないのでしょうか。そこをGRガレージに尋ねました。
「新型スープラの整備ですが、GRガレージではない普通の店舗でも対応できる場合があります。また今後、GRガレージの拠点数を増やす可能性もあります」とのことです。
普通のトヨタディーラーに尋ねると「点検や整備はGRガレージが担当」と返答されましたが、GRガレージでは「普通の店舗でも対応できる場合がある」といいます。普通のトヨタディーラーとGRガレージで、返答が一致しません。
新型スープラの性格と国内の販売規模を考えると、おそらく点検整備はGRガレージが担当するでしょう。トヨタ車では特殊性が高く、スープラ専用のテスターなども必要になります。その割に販売台数が少ないため、全店が点検整備を担当すると効率が悪いです。GRガレージが集中的に行うと思われます。
そうなると新型スープラは、ほかのトヨタ車に比べて、アフターサービスで面倒が生じる可能性があります。販売台数が少ないため、納期も極端に長いです。
この事情はホンダ新型「NSX」に似ています。NSXも販売台数が限られ、購入や整備ができるのは「NSXパフォーマンスディーラー」に限られます。このディーラーも、1県に1店舗の地域があります。そしてNSXの納期は、現時点で8から10ヶ月と長いです。
日本の自動車メーカーは規模が大きく、日本国内どこでも自由に買えて、ユーザーをむやみに待たせないこともメリットです。輸入車に比べると「お客様本位」の商売をしています。そこを考えると新型スープラは、国内販売ナンバーワンのトヨタ車としては、不親切なところが多いように感じます。トヨタの、というよりも、GRブランドのクルマと考えるべきでしょう。
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