モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは2006年のスーパーGT GT500クラスを戦った『ホンダNSX』です。
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2004年、全日本GT選手権(JGTC)のGT500クラスを戦っていたホンダNSXは、低回転域のトルクを増強する目的もあって、ついにエンジンのターボ化へと踏み切った。
これは2003年に車両規則が大きく改定されたことにより、もともとNSXの武器であった空力の優位性やミッドシップならではの運動性能の高さなどが封じられ、競争力が低下。それを取り戻すべく考案されたパフォーマンスアップの策のひとつであった。
しかし、その狙いとは裏腹にターボ化によってマシンの重量バランスが崩れるなどして苦戦。結局、同年はウエットレースとなったツインリンクもてぎでの第5戦で1勝をあげたのみで(オールスター戦での1勝は除く)、それ以外のレースでは表彰台にも上がれない状況だった。
翌2005年は前後オーバーハングを延長、サイドパネルを拡大するなどした市販ホモロゲーションモデル『NSX-R GT』を限定販売することで、レーシングカーのさらなる空力改善を図った。
加えて、この年のシーズン途中からついにターボエンジンに見切りをつけ、NAエンジンを搭載。すると速さを取り戻して2勝をマークし、再びNSXは息を吹き返し始めた。
今回紹介する2006年モデルのNSXは、前述の2005年モデルのアップデート版であったが、単なるアップデートにとどまらない改良が施されていた。
ロールケージやリヤのサブフレーム、さらに、この年から施行された2レース1エンジンという規定を遵守しながら、パフォーマンスもあげるべくエンジンにも手を加えられていた。
そのなかで、もっとも大きなトピックスだったのが、フロントタイヤがリヤと同サイズになったことだった。
リヤミッドシップであるNSXは、そもそもリヤタイヤへの負担が大きい車両であり、フロントタイヤがリヤタイヤと同程度の働きをすることがかねてから求められており、ついにそれが叶ったかたちだった。
また、このフロントタイヤを適正に使うために車体の重量バランスを前寄りにして、ダウンフォースの作用する中心点である空力中心を調整する改良も施されていた。
いよいよ2006年シーズンが開幕すると、その開幕戦である鈴鹿サーキット戦からNSXは速さをみせ、まず予選でフロントロウを独占。
決勝ではARTA NSXが3位に入るに留まったが、第2戦の岡山国際サーキットではTAKATA 童夢 NSXがポール・トゥ・ウインを達成する。
結局、NSX勢としてはタイトルを逃す結果となったが、最終戦までに4台全車のNSXが勝利を手にする活躍を見せた。
そして、この2006年をステップとして、翌2007年、NSXは驚異的な速さと強さを見せつけることになる。
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