2023年にホンダ・レーシングスクール・鈴鹿(HRS)フォーミュラでスカラシップを獲得し、今年はフランスF4に参戦している加藤大翔。ここまでの4ラウンドではレース勝利や表彰台を積み重ね、ドライバーズタイトルを狙える位置につけてサマーブレイクを迎えた。
この夏の間に加藤は日本へ一時帰国し、motorsport.comのインタビューに応じた。その中で飛び出したのは、2007年生まれの16歳、加藤が将来的に乗ってみたいF1マシンは1991年のF1を走ったマクラーレン・ホンダMP4/6だったという事実だ。
■V12で王者になったのは実はひとりだけ……セナ&MP4/6の物語
MP4/6はV型12気筒エンジンを搭載。ウイリアムズ勢の猛追も受けたがなんとかこれを退け、アイルトン・セナが自身3度目、そして自身最後のF1タイトルを獲得したマシンだ。
加藤はF1好きの父の影響で物心つく頃からF1を見ていたというが、自身が生まれる16年前のマシンが「一番好き」だという。その理由を尋ねると、当時のシンプルなシルエットが自身の好みに合うのだと明かした。
「(1988年の)MP4/4は低いし、エアインテークがニョキってなっているのがあまり好みではありません。(1992年の)MP4/7Aだと今後はバージボードが派手になってしまって、シンプルじゃないなと思ってしまいます」と加藤は語った。
「でもMP4/6は、シンプルで魅力のある1台です」
ホンダとしては、現在もMP4/6を動態保存しており、F1日本GPやホンダ・レーシング・サンクスデーで度々デモランを実施してきた。ステアリングを握ってきたのは佐藤琢磨や鈴木亜久里、伊沢拓也などフォーミュラでの経験も長いベテラン揃い。加藤はMP4/6を走らせるために、MT車のスポーツ走行には欠かせない“ヒール&トゥ”を練習してきたという。
「サンクスデーとかで乗れるかもしれませんからね。そのために僕は、ヒール&トゥの練習しましたから!」
「僕、絶対に乗りたいんです。でも絶対に壊したらいけないので、そのために練習しました」
しかし加藤は16歳。普通自動車免許も持っていない年齢だが、「12~13歳くらいにはヒール&トゥができていました」という。
どうやってスキルを磨いたのか? その訳を聞いてみると次のような答えが返ってきた。
「軽トラっす! (実家の)目の前がお茶畑で私有地がめちゃめちゃ広いので、そこで乗りまくってました。私有地なら問題ないですからね」
MP4/6に乗るというひとつの夢を語る加藤。8月23日から8月25日にかけてはフランスF4の第5ラウンドのマニ・クール戦が行なわれるため、サマーブレイクを終えると再び渡欧し、今季のチャンピオンをかけて残りシーズンを戦うこととなる。
以前のインタビューで加藤は、20歳となる2027年に「アストンマーティンのF1マシンに乗るというのも、人生設計図に追加しました」と語っていた。
F1挑戦という夢の先には、MP4/6ドライブという“ご褒美”も待っているかもしれない。
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