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【ヒットの法則405】BMW M3セダンのしなやかなドライブフィールは感動ものだった

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【ヒットの法則405】BMW M3セダンのしなやかなドライブフィールは感動ものだった

2007年秋、東京モーターショーでBMW M3セダン(E90)がワールドプレミアされた。そして、M3セダンは日本で注目を集めたが、もちろんドイツ本国でも4ドアハイパフォーマンスのマイルストンとして大きな支持を得ている。はたしてM3セダンとはどういうモデルだったのか。日本導入を間近に控え、2008年初頭、欧州で行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年4月号より)

遠目からはふつうの3シリーズセダン
自動車が人々の移動に不可欠な道具であると同時に、エモーショナルな存在として認知されているドイツでは、日本と違ってクルマ離れなどといった構造的な不況は起こりえない。確かに2007年の国内総販売台数は消費税の上昇から前年を9.2%ほど下回ったが、スポーツカー(+4.4%)やSUV(+1.8%)などのエモーションを喚起するセグメントは台数を伸ばしている。そんなわけでこの国からは今年もこうしたエモーショナルな本音のニューモデルが続々と輩出される。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

ミュンヘンの本社からデリバリーされた4枚のドアを持ったM3のボディカラーは、落ち着いた淡いブルーメタリックグレーで、遠目からはまったくふつうの3シリーズセダンである。しかし、一歩一歩近づいて行くと、徐々にこのクルマがただ者でないことがわかってくる。

まずフロントのキドニーグリル下に広がる巨大なエアインテークが、そしてさらに近づくと中央にパワードーム、その左右に爬虫類の鼻腔のようなインテークのあるアルミ製ボンネットなどM3だけに与えられたデザインが、次々と発見される。

またリアに回るとM3バッジと通常のセダンと同じリアコンビライトという見慣れない組み合わせ、そしてディフューザー風スカートの左右から出た4本のマフラーカッターで、ようやくこのクルマが4枚ドアを持ったM3であることがわかる。

もちろんボンネットを開ければエンジンルームいっぱいに詰まった最高出力420ps、最大トルク400Nmを発生する3999cのV型8気筒エンジンを拝むことができるが、そこまでしなくてもオーナー、そして周囲を納得させるような演出をするのが、このM3をプロデュースするM社の腕の見せどころなのだ。

ところでM3を一発でM3ならしめたカーボン製ルーフはセダンには残念ながら装備されない。しかし車重はクーペより5kg軽量である。

一方、明るいグレーのレザーで覆われたインテリアは、当然のことながらセダンの持つ上品で十分な空間を提供してくれる。クーペと違ってリアには3名乗車が可能だ。またフロントシートは、M3クーペと同じサイドサポートのしっかりしたスポーツタイプだ。

ところでM3クーペがそうであったように、インテリアは仕上げ、材質ともに上質な印象は受けるものの、420psのパワーセダンとしては、やや物足りないかもしれない。確かに330km/hまでのスピードメーターや8300rpmからレッドゾーンのタコメーターはエキサイティングだが、たとえば標準とデザインが違うステアリングホイールとか、もう少しドライバーの所有欲を満足させてくれるサムシングが欲しい。

硬すぎずに滑らかな乗り心地に驚いた
もっともこうした贅沢な気持ちは、キーユニットをステアリング右脇のスロットに押し込んで、スターターボタンを押し、後方から届く低く力強いアイドリングの音を聞いた途端に吹き飛んでしまう。

そしてストロークが長めのシフトレバーを前方に押し込んで、やや反発力の高いクラッチをリリースし、それまで羊の衣の下で様子を伺っていた狼が顔を出すころには、ほとんどのドライバーの表情は不満どころか、この狼の持つエキサイトでダイナミックなパフォーマンスに対する感動に変わっているはずだ。

さて、スタートして驚くのはその乗り心地である、最初はスタンダード、続いて3段階のEDC(エレクトロニックダンパーコントロール)を順番に試したが、もっともスポーティなものでも、決して硬すぎず、また車体が飛び跳ねるような悪路でもショックは即座に吸収され、快適性の悪化は起こらなかった。にもかかわらずコーナーではロールは少なく、ステアリング特性はあくまでもニュートラルなので、ドライバーはスタンダードの3シリーズより15%以上高いスピードで、そこをクリアすることができる。

さらにテスト中ずっと楽しめたのは気持ちよく回るV8ユニットのサウンドで、ふつうの大排気量V8エンジンとは一線を画する金属的で理知的な響きを持っていた。

このM3の4ドアはドイツでクーペよりも1900ユーロ(約30万円)安い6万4750ユーロ(約1036万円)で春には発売が開始される予定だ。日本での価格はまだ発表されていないが、マニュアルを苦にしないスポーツドライバーにはぴったりの選択だろう。

しかしどうしてもオートマチックを望むなら、BMWがまもなくドイツで発売を開始するデュアルクラッチの2ペダルオートマチックを待つという手もある。しかしこの新しいトランスミッションを最初に搭載するのはM3カブリオレで、セダンへの移植時期はまだ発表されていない。(文:木村好宏/Motor Magazine 2008年4月号より)



BMW M3セダン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4580×1817×1447mm
●ホイールベース:2761mm
●車両重量:1680kg(EU)
●エンジン:V8DOHC
●排気量:3999cc
●最高出力:420ps/8300rpm
●最大トルク:400Nm/3900rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速MT
●最高速: 250km/h(リミッター)
●0→100km/h加速:4.9秒
※欧州仕様

[ アルバム : BMW M3セダン はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

1件
  • 所有者ならわかるはず。
    そんなにしなやかな脚じゃない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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