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一生懸命を望む:フィアット・パンダ 最も未来を予兆:トヨタ・プリウス ブランド初EV:ジャガーIペイス 欧州COTYの1番を選ぶ(6)

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一生懸命を望む:フィアット・パンダ 最も未来を予兆:トヨタ・プリウス ブランド初EV:ジャガーIペイス 欧州COTYの1番を選ぶ(6)

2000年代以降 フィアット・パンダ/トヨタ・プリウス/ジャガーIペイス

21世紀に入ると、SUVやクロスオーバーが一気に市民権を獲得した。ところが2000年以降でも、欧州カー・オブ・ザ・イヤー、欧州COTYへ選ばれたモデルは、サルーンとハッチバックが中心だった。

【画像】歴代の欧州カー・オブ・ザ・イヤー受賞モデル 英国編集部が選出した代表的な15台 ベストは? 全127枚

唯一、SUVへ近かったのがフォードのミニバン、Sマックス。2004年のCOTYに輝いたフィアット・パンダも、従来の枠を越えたモデルといえたが、5ドア・ハッチバックの延長といえた。

2004年に上位争いを繰り広げたのは、マツダ3と5代目フォルクスワーゲン・ゴルフ。これらも小さなハッチバックで、過去にない僅差でパンダが受賞している。

2代目は、1980年の初代並みに革新的とはいえなかったものの、プラットフォームは「フィアット・ミニ」と呼ばれる新設計のもの。フォードKaや、2007年に登場した500のベースにもなった。

当時の審査員が高く評価したのが、扱いやすいボディサイズと広い車内空間、考え抜かれた人間工学など。フィアット自慢の、マルチジェットと名付けられた1.3Lディーゼルエンジンは好燃費で、仕上がりも良かった。

スタイリングを担当したのは、カロッツエリアのベルトーネ社と、フィアットのデザイン部門。四角く可愛いシンプルな見た目が人気を力強く後押しし、2012年の生産終了まで複数の派生仕様が提供された。

今回ご登場願ったブラックのパンダは、ゲイリー・アクソン氏の2006年式100HP。ひと回り大きい、フィアット・プント用の1.4L 16バルブ直列4気筒エンジンを搭載する。毎日の通勤手段として活躍し、走行距離は16万kmを超えたそうだ。

一生懸命運転されることをクルマが望む

最高出力は、モデル名の数字通り100ps。6速マニュアルで、スプリングとダンパー、ディスクブレーキに専用アイテムが組まれ、ピリリとホットな走りを披露する。

「運転はかなり面白いですよ。16万km以上も走っているので、くたびれているとは思いますが」。と今回の企画の審査員、レイ・ハットンが笑みを浮かべる。

「もうじき20万kmに達するとは思えません」。マット・プライヤーが続ける。「30万kmを過ぎても、こんな感じなのかも。イタリアのコンパクトカーが好きだということを、改めて思い出しました」

「とても魅力的。一生懸命運転されることを、クルマが望んでいるようです」

もう1人の審査員、スティーブ・クロプリーもうなずく。「運転する人、全員へ笑みを与えるようなクルマですね。ボディもインテリアも、小さなスポーツカーのようにチャーミングですし」

「市街地を走るのに問題ない、しなやかな乗り心地も充分に備わっています。ボディサイズと当時の価格を考えると、本当に素晴らしい」

こんな運転の楽しさと少し距離をおいていたのが、翌2005年の欧州COTYを受賞した、2代目トヨタ・プリウスだ。歴代で初めて、ハイブリッド・パワートレインのモデルが他のノミネートを抑えて優勝している。

2代目プリウスは、2004年に登場。1997年に発表され世界の話題をさらった、初代を大幅に進化させたモデルだった。5ドア・ハッチバックとしてパッケージングが練り直され、初代よりパワフルで速く、燃費を改善させていた。

最も未来を予兆した1台だった

その走りを支えていたのが、内燃エンジンと電気モーター、駆動用バッテリーを組み合わせた、トヨタ独自のハイブリッド・パワートレイン。当時は、ハイブリッド・シナジー・ドライブ(HSD)という名称が前面に打ち出されていた。

燃費優先で調整された77psの1.5Lガソリンエンジンを、電気モーターがアシスト。高出力・軽量化された駆動用バッテリーと組み合わされ、カタログ値で23.3km/Lの燃費を達成しつつ、0-97km/h加速10.9秒の称えるべき動力性能を備えていた。

今回の審査へ挑んだグリーン・シルバーのプリウスは、レイ本人の愛車。16年間も大切に乗っているそうだ。「信頼性が高く、リラックスして運転できることを、これまで実感してきました」。と自身の経験を話す。

また彼は、歴代の欧州COTYの受賞車で、最も未来を予兆した1台だったとも信じている。これには、残り2名の審査員も賛同するようだ。

「先進的な技術を、簡単で身近なものにしました。多くの支持を集める、定番的なモデルになりましたね。新しい5代目も、遅れて英国に導入されるようですし」。マットが、これまでの20年を振り返る。

スティーブは、パワートレインの複雑さに、当初は馴染めなかった人も多かったと話す。「プリウスの経済性や洗練性の驚異的な水準には、あまり目が向けられませんでした。メカニズムが、変なものだと考えられていたからでしょう」

「しかし、運転しやすく快適。耐久性も間違いないようですね。これほど多くのプリウスが、今でも英国の道を走っているのですから」

ブランド初の電動クロスオーバー

そんなトヨタ車のように、20年後のジャガーIペイスのことも、われわれは振り返ることができるだろうか。6年前に発売されて以降、バッテリーEVの技術は急速に進化し、選択肢が拡大した。筆者は、少し難しいように感じている。

だが2019年には、革新的な技術や充分な航続距離、急速充電能力、動的能力などへ、多くの審査員が感銘を受けたことは間違いない。素晴らしいスポーツカー、アルピーヌA110を僅差で抑えて、欧州COTYへ選出されたのだから。

前後アクスルに駆動用モーターを搭載し、ツインモーターでの最高出力は399ps。最大トルクは70.6kg-mと太かった。

0-97km/h加速を4.5秒でこなす鋭いダッシュ力を秘め、最高速度は199km/h。車重2133kgの5シーター・クロスオーバーとして、不足はなかった。

ところが近年は、ジャガーのバッテリーEV戦略は少し停滞しているように見える。軽量な後輪駆動のIペイスや、派生モデルの提供は始まっていない。ブランド初の電動クロスオーバーは、進化を止めたようだ。

スティーブが、冷静に鋭くコメントする。「とても良く開発されたクルマだと思います。同時に、高い価格を正当化させるため、過剰な技術を搭載することへ迫られていたことも表しています。250馬力の後輪駆動版では、成り立たないのかもしれません」

「それでも、見た目は今でも素晴らしい。動的にも高く評価できます」

2代目プリウスが2000年代以降の代表

新車当時からIペイスをしばしば運転してきた、マットが続ける。「プリウスと比べると、明らかにフィーリングが重い。感触も薄いといえます。動的な洗練度は、もっと高められるでしょう。内装は心が打たれるほど豪華で、不満なく速いですが」

今回、始めてIペイスを運転したというレイだが、印象は期待に届かなかったようだ。「見た目は美しいですし、速いですね。でもコーナーでは車重を感じます。21インチ・ホイールのおかげで、凹凸の多い路面では落ち着きに欠けるようでした」

筆者は、心の中ではIペイスが2000年代を制するかもしれないと、希望的観測を抱いていた。しかし、この3台で評価が最も高かったのは、2代目トヨタ・プリウス。納得の結果といえるだろう。

協力:ジャガーUK社、トヨタUK社

2000年代の欧州COTY代表 3台のスペック

トヨタ・プリウス(2代目/2003~2009年/英国仕様)

英国価格:1万9995ポンド(2004年時)/7500ポンド(約140万円/現在)以下
生産数:119万2000台(予想)
最高速度:162km/h
0-97km/h加速:10.9秒
燃費:23.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1300kg
パワートレイン:直列4気筒1497cc 自然吸気DOHC+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:77ps/5000rpm(内燃エンジン)/68ps(電気モーター)
最大トルク:11.7kg-m/4000rpm(内燃エンジン)/40.7kg-m(電気モーター)
トランスミッション:e−CVT(前輪駆動)

フィアット・パンダ 1.3マルチジェット(2003~2012年/英国仕様)

英国価格:7895ポンド(新車時)/4000ポンド(約74万円/現在)以下
生産数:216万8491台
最高速度:156km/h
0-97km/h加速:12.6秒
燃費:18.2km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:986kg
パワートレイン:直列4気筒1248cc 自然吸気SOHC
使用燃料:軽油
最高出力:70ps/4000rpm
最大トルク:14.7kg-m/1500rpm
トランスミッション:5速マニュアル(前輪駆動)

ジャガーIペイス(2018~/英国仕様)

英国価格:6万9995ポンド(約1302万円/現在)
生産数:−台
最高速度:199km/h
0-97km/h加速:4.5秒
航続距離:470km
CO2排出量:−g/km
車両重量:2133kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:90kWh
最高出力:399ps
最大トルク:70.6kg-m
トランスミッション:1速リダクション(四輪駆動)

この続きは、欧州COTYの1番を選ぶ(7)にて。

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