60年の歴史と累計1000万台の裏付け
英国だけでなく日本でも、V8エンジンを搭載したマッスルカーは特別な存在だ。グレートブリテン島に限れば、選択肢となるのはスポーツカー側にあるミドシップのシボレー・コルベットと、フォード・マスタングの2台くらい。
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マスタングは、446psを発揮するフロントエンジン・リアドライブ。英国価格も約5万5000ポンド(約1100万円)と、市販されるV8エンジンのモデルとしてはお手頃といえる。そして60年間という歴史と、累計1000万台の販売という裏付けもある。
動力性能は欧州のライバルに並び、注目を集めるアメリカンなスタイリングは他が真似できない強み。高価すぎずカリスマティック。いつか運転してみたい、現実的な夢の1台に掲げられたとしても不思議ではない。
最新の7代目マスタングは、先代までの特徴の多くを受け継いでいる。だが同時に、ミレニアム世代やZ世代を取り込むべく、最新のデジタル技術も導入された。
車載コンピューターの処理能力は、従来の2倍。ダッシュボードには、13.2インチのモニターが2面。インフォテインメント・システムは最新のシンク4が実装され、ソフトウエアは無線通信でのアップデートに対応している。
ドラマチックな本物のマッスルカー
最高出力の設定に幅はあるが、マスタング GTなら0-100km/h加速は5.3秒。4500rpm以上ではV8エンジンのエネルギッシュさが顕になり、ドライな咆哮を周囲に放ちながら、7500rpmのレッドライン目掛けて上り詰めていく。本物のマッスルカーだ。
ライバルより直線加速は若干遅いかもしれないが、その過程は素晴らしくドラマチック。気性の荒いポニーカーを運転しているという、充足感がある。
加えて7代目では、走行時の洗練性も大幅に向上した。乗り心地は素晴らしく、サスペンションは路面の凹凸を巧みに均しながら、引き締まった姿勢制御を叶えている。フレッシュなゴムのように。
高速道路での快適性は、M2に並ぶといえる。1万ポンド(約200万円)近く安くても。
AUTOCARの英国編集部は、新しいマスタングを非常に気に入っている。能力の幅は従来以上に広い。この価格帯で、これほど素晴らしい充足度を得たモデルは、唯一といっていいだろう。
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