ホンダのセダン空白時代にやってきたアコード
ホンダはカーボンニュートラルの実現に向け、2030年までにグローバル市場で30種類の電気自動車(BEV)を発売すると発表している。そして日本国内市場においては、同じく2030年までに新車ラインナップのすべてを同社がe:HEVと呼称するハイブリッド車、およびBEVとする方針も掲げている。
【画像】11代目となる新型アコードのフォトギャラリー インテリアをはじめディテールも【画像大量】 全88枚
実際にいまのホンダの新車ラインナップでガソリンエンジンのみを搭載するのは、新型SUVのWR-Vと、シビック タイプRの2台。そして同様に印象的なのは、セダンが1台も存在していないことだ。
そんななか、ホンダはミドルサイズの4ドアセダン、アコードの新型モデルを2024年春に日本市場へ導入する。通算11代目となる新型アコードは、北米、中国、タイの工場にて生産されており、日本仕様も先代と同様にタイからやってくる。パワーユニットは2Lのエンジンに2モーターを組み合わせ、e:HEVと名付けられたハイブリッドで、グレード展開も先代と同様に1種類のみとなる。
この新型アコードの日本市場導入に先駆けて、ホンダが「スポーツe:HEV」と呼ぶシビックe:HEV、ZR-V e:HEV、そして新型アコードの3台を、静岡県の伊豆サイクルスポーツセンターを舞台に試乗するメディア向けのワークショップが開催された。
伸びやかなスタイリングに好調のe:HEVシステムを搭載
新型アコードのボディサイズは、北米仕様で全長4970×全幅1860×全高1450mm、ホイールベースは2830mmと堂々たるもの。先代モデルに比べて全長が70mm延長されているが、全幅や全高、ホイールベースは変わりない。基本シャシーをキャリーオーバーしつつ、パワーユニットやスタイリング面において刷新を図ったということだ。
外観は低く長いフロントノーズや、ボディサイドのプレスラインを少なくしたことで、若々しさを感じさせるデザインとされた。70mm延長された全長は、ほぼフロントオーバーハング部分の延長に充てられたと思われ、真横からのシルエットは4ドアクーペとも呼べるシルエットだ。
そのフロントフード下に搭載されるのは、先代と同じく2リッターのガソリンエンジンに2つのモーターを組み合わせたハイブリッドシステム「e:HEV」だ。その最大の特徴は、エンジンの役割が走行シーンに応じて変化することにある。
停車時からの発進や街中走行時などの低負荷環境下では、エンジンは停止したままバッテリーの電力により走行用モーターのみで駆動する。高速道路での巡航走行時などは、エンジンと走行用モーターをどちらも駆動にあてて運動性能を発揮する。
新型アコードではその切り替えポイントを最適化することで、爽快なドライブフィールと燃費性能を両立させたという。環境性能を重視したミドルセダンでも、運転して楽しいクルマを追求する姿勢は、このご時世にちょっと嬉しいものだ。
段付きのエンジンサウンドに減速セレクター 操る楽しさ健在
ドアを開けて運転席に腰を下ろすと、目の前には現行ホンダ車に共通する水平基調のインパネが広がる。シートポジションやステアリングの位置を調整すると、運転席の前方視界の広さ、明るさに驚かされる。
ステアリング形状そのものはやや小ぶりで、スポーク部分が太めなスポーツカーテイスト。筆者は、もはや遠い記憶の彼方となった、CL7型アコード ユーロRを思い出した。
シフトセレクターのDボタンを押し、アクセルペダルに載せた右足に少しずつ力を込めていく。停車時からは走行用モーターのみで動き出し、ロードノイズすら気にならないほどの静寂さとともに加速していく。
ただ今回の試乗コースは、アップダウンに富んだレイアウトのクローズドコースということもあって、すぐにエンジンが始動した。ただ、エンジンが発生する振動はグッと抑えられ、助手席や後席に乗っている乗員は、よほど注意深く耳を澄ませていないとエンジンの目覚めには気付かないだろう。
走行ペースを上げていくと、今度は爽快なエンジンサウンドが耳元に届くようになる。車速の伸びとエンジン回転数の上昇を連動させる「リニアシフトコントロール」により、ハイブリッド特有の無機質な加速サウンドではなく、従来のガソリンエンジン車に近いフィーリングを実現している。
もうひとつ、新型アコードの走りを楽しくさせているのが「減速セレクター」だ。これをもっとも減速度が強くすると、ワインディングを想定した試乗コースのほぼすべてを、ワンペダル操作で走行することができた。
若々しさを感じさせるスタイリングに、最新のハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載、原点回帰ともいうべきスポーツハンドリングを兼ね備えた新型アコード。ホンダが掲げる「スポーツe:HEV」の可能性が確かに感じられた試乗となった。
予定どおりならば、2030年にはホンダの新車ラインナップからは純ガソリンエンジン車が消えてしまうが、それは決してホンダスポーツの灯が消えてしまうことではない。そう確信できたことが、なによりの収穫と思えた。
北米仕様のスペック(参考)
全長×全幅×全高:4970mm×1860mm×1450mm
駆動方式:前輪駆動
パワートレイン:直列4気筒DOHC 1993cc
使用燃料:ガソリン
システム最高出力:204ps
システム最大トルク:34.2kg-m
ギアボックス:電気式無段変速機
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