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マジか世界累計5000万台! “昭和の大衆車”カローラはなぜ今も売れ続けるのか

掲載 更新 17
マジか世界累計5000万台! “昭和の大衆車”カローラはなぜ今も売れ続けるのか

 日本のクルマ文化を牽引し続けてきたトヨタ カローラが、登場から55年で世界累計販売5000万台を達成した。これほどの長きにわたり、好調に販売を続けているクルマは、世界中を探しても多くはない。

 カローラのライバルは、数多く現われ、現在では姿を消しているクルマが多い。カローラも登場からの55年間は、決して順風満帆な歴史だけではなかった。しかし、カローラは生き残り、日本の国民車という確固たる地位を築き上げたのだ。

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 消えていったライバルたちと、カローラをわけたターニングポイントや、現在もカローラが売れ続ける理由は何なのだろうか。55年で5000万台というひとつの区切りを迎えたカローラの販売について考えていきたい。

文/佐々木亘、写真/平野学、池之平昌信、TOYOTA

【画像ギャラリー】トヨタ博物館に所蔵されている歴代カローラ(1966~1990) 写真25枚

カローラは「コモディティ」ではない大衆車

2019年9月、フルモデルチェンジした現行型カローラ(全長4495×全幅1745×全高1435mm)

 カローラの販売を紐解いていく際に、忘れてはならない言葉がある。2019年9月、12代目(現行型)カローラの発表会で流された、豊田章男社長のビデオメッセージだ。

 この話を聞いたとき、筆者はカローラが、なぜこれほどまで長く、好調な販売を続けられているのかを理解した。大衆車と言われるカローラを、生産・販売するうえで、トヨタが大切にしてきた心構えが、次の言葉に集約されている。

 「多くの人に愛されるクルマだからこそ、絶対にcommodity(代替可能なモノ)と言われるような存在にしたくない。」

 大量生産、大量販売されるものは、代わりが多く存在する。常に競争し、勝ち残らなければ、自らが消えていくだけだ。

 しかし、カローラは違う。作り手も売り手も、カローラの代わりはカローラにしか務まらないと考えている。これがカローラの強さであり、数多く戦ってきたライバルたちと、一線を画す部分なのだと思った。

1966年に誕生した日産サニーは、2004年に生産終了。国内販売38年の歴史に幕を下ろした(写真:9代目サニー/全長4345×全幅1695×全高1415mm)

 かつてのライバルである、日産 サニー、三菱 コルト、マツダ ファミリア、ホンダシビックなどのなかには、車名が消えてしまったクルマが多い。大量生産、大量消費の波にのまれ、自らのポジションが、他のクルマに取って代わられてしまったわけだ。

 カローラは、自らの価値やポジションを忘れず、奪われない努力を続けていた。それが55年もの間、人気車としてあり続け、累計販売台数世界一としてギネス記録に認定される、カローラの特徴であり、強さなのである。

消えかけたカローラの命をつなぎとめたアクシオ

国内市場向けに発売された初代(通算10代目)カローラアクシオ。アクシオというサブネームをつけ5ナンバーセダンを残した(全長4410×全幅 1695×全高1460mm)

 1969年から2001年まで、33年もの間、販売台数1位に輝き続けたカローラだったが、2002年に首位の座をホンダのフィットに明け渡すこととなる。

 以降、プリウスやアクアの登場などで、カローラの販売は奮わなくなる。しかし、首位陥落をしたカローラは、海外に逃げず日本市場に軸足を残し続けた。

 8代目で、国内と海外仕様のボディデザインを変えており、10代目で本格的に国内外仕様の切り離しをおこなっている。10代目の海外仕様は、全長を延伸、全幅が拡幅された3ナンバー車だ。対して国内では、アクシオというサブネームを付け5ナンバーセダンを残した。

 ここに、他のクルマに代わられてなるものかという、カローラの意地を感じる。これまで生きてきた5ナンバーセダンとして、代替不可能な存在ということを忘れずに、時代の変革を受け入れながらも、自らのアイデンティティを残し続けた。

 変わらないもの、そして代えられない価値が、10代目の国内仕様車アクシオには凝縮されていた。時代がミニバン、SUVに目を向けようとも、カローラの生き方は変わっていない。

 アクシオは、消えかけたカローラの命をつなぎ止め、今も生き続けるきっかけを作った一台だと思う。登場から15年が経過する今でも、カローラの屋台骨を支える、重要なクルマとして存在し続けている。

カローラが今も日本で売れ続ける理由

車体サイズ、デザインが変わったカローラのメインターゲット層は中高年から若年層へと変化した。55年の歳月の中でブランドを構築し、変化を怖がらない姿勢がカローラの人気を支えてきた

 2021年上半期の乗用車ブランド通称名別順位で、カローラシリーズは4位(5万3864台)だ。ハリアーよりも販売台数が多い。そして。直近の2021年7月の順位は3位で月販9242台という結果である。単月ではあるが、アルファードよりも上位にいるのだ。

 大きさが変わり、デザインが変わり、メインターゲットも中高年から若年層へと変化したカローラだが、相変わらず幅広い世代から支持されている。カローラという名前を聞くだけで、「安心できる、なんだかホッとする」そんなクルマのイメージを、作り出しているのだろう。

 カローラは55年の歳月の中で、ブランドを構築し、安心・安全、そして良質なクルマ作りを証明してきた。そして、歴史があるクルマだからと「カタブツ」にならず、変化を怖がらない姿勢が、カローラの人気を支える理由だと、筆者は考える。

「冠(かんむり)」にまつわる車名がつくクラウン、カムリ、カローラの歴史は長い。「花冠(カローラ)」も時代によって柔軟に価値を変えながら、親しまれてきた

 トヨタの中で「冠(かんむり)」にまつわる車名が付くクルマは息が長い。クラウン(王冠)、カムリ(かんむりから由来)、そしてカローラ(花冠)が、現在も残る冠シリーズだ。

 王冠よりも作りやすく、そして材料を変えれば、様々な大きさや色・形に変化する「花冠(カローラ)」は、時代やユーザーによって、柔軟に価値を変えながら親しまれてきた。

 小さなころに作ったカローラ(花冠)は、大人になっても身近なクルマという形で、人々に満足感と喜びを与え続けている。今日も様々な場所で、個々のユーザーに合わせたカローラを、作り上げているのだろう。

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みんなのコメント

17件
  • カローラは新型が出ても「軸がぶれていない」から信頼できる。ランクル、ハイエース等も同じ。

    カローラは(フル装備は400万こえるらしいが)「大衆車」という軸を守っている。
  • いまやグローバル・スタンダードであるカローラを「昭和の大衆車」と評してる時点で、
    先ずは昭和から30年間も知識や意思のアップデートできてないベストカーに失笑。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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