紆余曲折あったものの、いよいよ2020年2月中旬の発売が迫ったホンダのコンパクトカー 新型フィット。受注状況も絶好調だという。
先代フィットの登場が2013年なので今回のフィットは7年ぶりのフルモデルチェンジとなる。そんな新型フィット、今回の開発で目指したのは「座り心地」「乗り心地」「使い心地」「心地よい視界」の、4つの心地よさだったという。
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さて、それらは乗り手に実際どんな感覚をもたらしてくれるのか? 自動車評論家 鈴木直也氏の試乗レポートをお届けする。
■ホンダ フィット 価格一覧 ※遠藤徹氏調べ
・BASIC……1.3Lガソリン:148万8100~171万1600円/1.5L e-HEV:192万6100~203万100円
・HOME……1.3Lガソリン:171万8200~185万6700円/1.5L e-HEV:206万4000~221万8500円
・NESS……1.3Lガソリン:187万7700~191万700円/1.5L e-HEV:222万7500~226万500円
・LUXE……1.3Lガソリン:187万7700~191万700円/1.5L e-HEV:232万7000~242万6500円
・CROSSTAR……1.3Lガソリン:193万8200~201万5200円/1.5L e-HEV:223万8000~236万5000円
※FF車の価格。4WD車は約20万~33万円高(タイプにより変わる)
●【画像ギャラリー】個性際立つ5つのバリエーション! 試乗の様子をギャラリーでチェック!!!
※本稿は2019年12月のものです
文:鈴木直也/写真:ベストカー編集部、Adobe Stock
初出:『ベストカー』 2020年1月26日号
■「心地よさ」をキーワードに。生まれ変わったフィット
言うまでもなく、フィットはホンダの大黒柱。国内累計268万台を販売し、今でも約180万台が現役で走ってる。これはホンダ車の17%にあたるそうで、そのお客さんの乗り替えを考えると、大きな潜在需要を擁した重要車種と言えるわけだ。
その大黒柱フィットが、4代目となってがらりとキャラクターを変えてきた。
新しいフィットのキーワードは「心地よさ」というもの。フィットは従来から使い勝手のいいパッケージングや燃費性能/操縦性など、いわゆる“機能性”をウリにしてきたクルマだが、今度はそれにプラスして日常における心地よさが実感できるクルマを目指すという。
そんな説明を聞いたあとで初めて実車とご対面したわけだが、外観スタイルを見ただけで開発者が言うところの「心地よさ」というキーワードがストンと腑に落ちた。
なぜかというと、新型フィットのデザインがどちらかといえば“カワイイ系”だったからだ。
初代以来、フィットのデザイントレンドは軽快で若々しいイメージが一貫していた。ヘッドライト形状が象徴的だが、キリッとした“ツリ目系”でキビキビした走りを予感させるデザインが持ち味。あんまり「心地よさ」を連想させるものではなかった。
ところが、4代目フィットはその方向性を転換。クリッとした表情感のある目玉に、ギュッと口を結んだ小さめのグリル。デザイナーは「キーワードは柴犬です」と説明してくれたが、まさに言い得て妙。愛嬌があって頼りになりそうな相棒、そんなキャラクターが上手く表現されているのだ。
並べてみました(キリッ)。似てます?
インテリアの造形やスペース効率についても「心地よさ」というキーワードが徹底されている。
まず、運転席からの視界が素晴らしくいい。衝突エネルギーを2本目のピラーで受け止める構造によって、極細のAピラーを実現。低くフラットなインパネデザインと相まって、取り回し感覚や死角の少なさに凄い安心感がある。
シートの出来もいい。面バネ構造や厚みを増した高密度ウレタンの採用が効果を発揮したとのことだが、従来型から乗り換えるとその差は圧倒的。シートについては、デザイン、サイズ、座り心地、すべてにわたってBセグ標準を突き抜けている。
シートのよさは後席でも同様で、フィット伝統のダイブダウン式折り畳み機構を継承しながら、前席に劣らぬゆったりとした座り心地を実現しているのは立派。後席居住性の「心地よさ」に関しても、Bセグではダントツのトップといっていい。
クロスオーバータイプの「クロスター」もラインナップ。ほかのタイプに比べて最低地上高が30mm高い本格派。フィットの新たな魅力だ
■新しい2モーターハイブリッドで、「走りの心地よさ」はどうか?
そうなると、気になるのは走りにおける「心地よさ」だが、走り出してまず気づくのは乗り心地についてだろう。
初代以来、フィットといえばハンドリングはシャープだが乗り心地は今ひとつというイメージがあった。ところが、今度の4代目は一転してしなやかで質のいい乗り心地を目指したセッティング。
5つのバリエーションを設定している新型フィット。「ベーシック」と売れ筋の「ホーム」のほか、スポーティな「ネス」、上級仕様の「リュクス」、クロスオーバータイプの「クロスター」が用意されている
操舵初期からグイッと曲がるというイメージはないが、マイルドながらも素直なステア特性はちょうどいい塩梅で、ワインディングでも一般路でも平均的なドライバーの走行ペース付近にちゃんとスイートスポットがある。
面白いのは、ワインディングでスピードを上げてゆくと、サスペンションストロークを大きく使って姿勢を制御するフランス車っぽい操安フィールが醸し出されていること。従来のキビキビ型とは違うが、これはこれでけっこういい味を出していると思った。
エクステリアを含めたクルマ全体のイメージと同じように、走りも優しさを感じさせる新型フィット。フランス車のような柔らかい感覚が印象に残った
パワートレーンについては、ハイブリッドが7速DCTを使った“i-DCD”から、2モーター型(従来は“i-MMD”と称していたが、今回から“e:HEV”に改名)に変更になったのが注目点だ。
1.5Lエンジン+2モーターという点では先にデビューしたインサイトと同様だが、フィットに搭載するため、吸気系やパワーコントローラをコンパクト化。パッケージサイズを大幅に縮小している。
その“e:HEV”だが、これが名前だけでなくパワーフィールもかなり進化していて、新型フィットの「心地よさ」に大きく貢献している。
従来のi-MMDからe-HEVに名称が変わった2モーターハイブリッド。コンパクトクラス初の搭載となる
ホンダの2モーターハイブリッドは、高速でエンジン直結モードに入るまでは基本的にシリーズハイブリッド型の電動車だが、それゆえに加速時にアクセルを踏み込むと予想以上にエンジンが吹き上がるという欠点があった。
ところが、新型フィットではモーター出力とエンジン回転数のバランスが巧みで、あたかも普通のエンジン車に乗っているように違和感がない。
モーターが得意とする低速域からの加速では、エンジン回転数を抑え気味に力強いダッシュを見せるし、フル加速ではエンジンの吹き上がりをステップ制御して、あたかも有段ATのような自然な振る舞いでスピードに乗せてゆく。
1.3Lのコンベンショナルエンジン仕様も悪くないが、やはり「心地よさ」という点では“e:HEV”が魅力。トヨタのTHS-IIとも、日産のe-POWERとも違う、ホンダならではのハイブリッドシステムのキャラクターが際立っているのが素晴らしい。
ほかにも、モービルアイのシングルカメラシステムに変更となったホンダセンシングや、ライフスタイルで選ぶ5つのバリエーション展開など、新型フィットには注目すべき新基軸がいっぱい。
発売が2020年2月中旬と少し遅れるのは残念だが、コイツは初代フィット以来の大ヒットが予感されるホンダ入魂の力作だと思います。
鈴木氏絶賛の新型フィット。街を走り出すのはもうすぐだ。受注も絶好調のようなので。気になる方は一度ディーラーへ足を運ぶことをオススメする
■個性際立つ5つのバリエーションをもう一度おさらい
●BASIC
その名のとおり、基本のグレードとなる「ベーシック」。ウレタンステアリング、オートエアコン付きでインパネの一部にホワイト加飾が施される。
●HOME
一番の売れ筋モデルとなりそうな「ホーム」。本革ステアリング、プライムスムースのソフトパッドを多用したインテリアなど質感が高い。
●NESS
フィットネススポーツから名前を取った「ネス」。アクセント2トーンカラーの内外装のほか、シートとインパネソフトパッドが撥水素材となる。
●LUXE
2トーン本革ステアリングと本革シートを標準装備。エクステリアはプラチナ調クロームメッキや専用デザインの16インチアルミホイールを採用。
●CROSSTAR
最低地上高を30mm上げ、ホイールアーチプロテクターを装着するSUVタイプ。こちらもシートとインパネソフトパッドに撥水素材を採用している。
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自分的には・・・無い。