パンスピード流の13B-REWオーバーホール術
長年の経験から導いたエンジンメイクの最適解
「甦れ!13Bロータリー!」ユーザーの走るステージまで考慮した匠のオーバーホール術に迫る
現存するFD3Sの多くが走行10万kmを超え、「パワー感がない」や「調子が悪い」などという問題を抱えている。事実、パンスピードにはエンジンオーバーホールの依頼にやってくるお客さんが後を絶たない。ちなみに、大まかな目安としては圧縮が7.5を下回るならオーバーホール時期が迫っていると考えていい。
今回、取材対応してくれたパンスピード戸塚さんによると、パンスピードでのエンジンオーバーホールは“ただ消耗品を交換して組み直す”わけではないという。ポート形状やタービンの種類、さらにはユーザーがどんなステージで使用するかも考慮して組み方を変えるそうだ。
例えば、ロータリーエンジンを組む場合のキモとなる各部のクリアランス設定。ハードチューンのみならず、ポート加工ナシのノーマルタービンという仕様だったとしても、独自のノウハウが注ぎ込まれている。
もちろん、各部のクリアランス設定にはメーカーが指定している一定の範囲を指定した基準値があり、それをベースとしていることに間違いはない。ただし、狙うエンジン特性を実現するため、意図的に独自のクリアランス(設定値は社外秘)を設定するのがパンスピード流なのだ。
さらに、ローターとハウジングのクリアランス、サイドシールとコーナーシールのクリアランスは1つのローター(1面で)で3カ所ある。それらを各々が一定の範囲内に収まっているから良しとするのではなく、すべてを同じ状態にまで追い込むという計測・調整を繰り返す非常に手間が掛かる作業も行っているのである。
また、オーバーホール時に組み込むアペックスシールはマツダ純正の2分割式ではなく、オリジナルの3分割式としているのもポイント。このアペックスは、純正と同素材でありながら2分割式よりも機密性が高い(かつてのマツダ純正3分割式と同等)ことが特徴だ。
その他、エキセンの曲がり測定なども必ず行われている作業のひとつ。メタルの異常摩耗などがある場合、エキセンの曲がりが原因ということもあるからだ。
ロータリーのオーバーホールは大差がないと思われがちだが、そうではないと言い切るパンスピード。これだけの手間を掛けながらも、ベースエンジンの状況が良ければ、3分割アペックスシールを含むシール類とインナーパーツを新品に交換したオーバーホールが25万5000円、エンジン脱着工賃が8万円というから、好評なのも納得だ。
●取材協力:パンスピード 埼玉県蓮田市関山2-7-8 TEL:048-764-2040
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