■販売好調な軽自動車市場に起きた異変とは?
2019年の新車市場において、トヨタ新型「RAV4」やダイハツ新型「タント」など、さまざまな新型車が発売されてきましたが、それによってカテゴリごとの売れ筋モデルも2018年から変化しつつあります。
売れ筋モデルが変わったカテゴリと、変化しなかったカテゴリでは、どのような違いがあるのでしょうか。
2019年1月から11月までの登録車・軽自動車を合算した販売ランキングにおいて、もっとも販売台数が多いクルマはホンダ「N-BOX」です。
11か月間の販売台数は23万6636台を記録し、2位に7万台近い差をつけていることから、2019年も日本で一番販売台数の多いクルマとなることはほぼ確実でしょう。1位を獲得すれば、N-BOXは4年連続で乗用車販売首位を獲得することになります。
一方、2位以下の順位には変動が起きています。11か月間の販売台数において、タントは16万7211台を記録。また、3位には15万4119台を販売したスズキ「スペーシア」、4位には14万7334台を販売した日産「デイズ」がランクインしました。
昨年、軽自動車を含む乗用車市場全体において2位がスペーシア、3位がデイズ、4位がタントという順位だったため、1年間で順位に変動が起きたかたちとなります。
ランキングに変動が起きた要因としては、2019年7月にタントがフルモデルチェンジして4代目モデルとなったことが挙げられます。
新型タントは販売面も好調で、2019年11月にはN-BOXを破り販売ランキング首位を獲得。軽自動車の月ごとの販売ランキングにおいて2年3か月ぶりとなる首位変動となりました。
新型タントについて、ダイハツの販売店スタッフは「運転席のロングスライドや、ミラクルオープンドアなどタント独自の特徴が、幅広い年齢層の人から好評を頂いております」とコメントします。
しかし前述の通り、2019年の年間ランキングにおいて、ここからN-BOXとの差を逆転させるのは難しそうです。2020年に、タントがどこまでN-BOXに差を詰められるかが注目されます。
一方、デイズも2019年3月にフルモデルチェンジされましたが、2018年12月にSUV風の外装を持つ派生モデル「スペーシアギア」を追加したスペーシアには、11月末時点では7000台弱ほどおよびません。
N-BOXからデイズまでの4車種は、このまま2019年の乗用車上位トップ4を占めると見られており、その場合は上位4車種を軽自動車が2年連続で独占することになります。
※ ※ ※
軽自動車市場が引き続き好調を維持する一方、登録車の11か月間累計の販売台数で首位となったのがトヨタ「プリウス」です。11万8021台を販売し、2019年11月時点で登録車2位の日産「ノート」には6000台弱の差をつけています。セダンカテゴリ内の首位はプリウスとなるのが濃厚です。
一方、コンパクトカーカテゴリの首位は、11か月間累計11万2454台を販売したノートが獲得すると見られています。コンパクトカー2位のアクアには同期間で約1万4000台の差をつけていて、12月の販売状況だけで逆転するのは難しいでしょう。ノートは2018年にもっとも販売台数の多い登録車となりましたが、2019年もコンパクトカーカテゴリではナンバーワンとなりました。
コンパクトカーにおいては、3位にトヨタ「ルーミー」がランクインし、昨年のコンパクトカー5位から順位を上げた点が印象的です。
■トヨタ「RAV4」日本再上陸後の売れ行きはどれくらい?
2019年の1月から11月の販売台数において、トヨタ「シエンタ」は10万3601台を販売して、現時点でミニバンカテゴリの売り上げ首位となっています。ミニバン2位の日産「セレナ」に現時点で約1万5000台の差をつけており、2019年のミニバン販売台数首位は確実といえるでしょう。
現行モデルのシエンタは2015年に発売されたモデルで、販売期間を経るごとに売れ行きが上向きになり、2019年8月と9月にはミニバン史上初となる登録車販売台数1位を獲得しました。
トヨタの販売店スタッフは、シエンタについて次のように話します。
「シエンタは、ハイブリッド専用車であるプリウスやアクアとは異なり、選択肢が多いという点で好評です。ハイブリッド仕様とガソリン仕様が選べるほか、2018年9月からは2列シートタイプが選べるようになり、3列目が必要ないという人の選択肢にも入るようになりました。
また、両側スライドドアが装備されているため、ファミリー層からの人気も高いです」
近年、世界的に人気のカテゴリとなっているSUVですが、2019年1月から11月までの販売台数においてSUVカテゴリの最上位は、5万3226台を販売したホンダ「ヴェゼル」となっています。
しかし、2位のトヨタ「C-HR」との販売台数差は1126台と僅差で、C-HRは2019年10月にマイナーチェンジをおこなったばかりということもあり、逆転する可能性も残されています。
そんななか、SUV市場で2019年の台風の目となったのがRAV4です。
RAV4は2019年4月に国内へ再導入されたモデルとなっており、そのため2019年暦年の販売台数としては4月以降のみの数値となりますが、4月から11月までの7か月間に4万8206台を販売し、現時点までの暦年のランキングでSUV3位となっています。
トヨタの販売店スタッフは、「これまでSUV市場をけん引してきたのはスタイリッシュな都会派クロスオーバーのコンパクトSUVでしたが、RAV4はミドルサイズSUVでデザインもワイルド系となり、方向性の違う新しいSUVという点が売れている要因といえます」とコメントします。
2019年12月6日には、今年のクルマにふさわしい1台を決める「第40回2019-2020日本カー・オブ・ザ・イヤー」にRAV4が選出されました。
上位2車種とあわせて、RAV4が2020年のSUV市場において注目モデルとなるのは間違いないでしょう。
※ ※ ※
2019年11月までの販売台数を見ると、すでにカテゴリ内でナンバーワンとなる車種が見え始めている一方、年間首位をかけて激しい販売競争が繰り広げられるカテゴリもあり、クルマによって状況はさまざまです。
2020年2月にはコンパクトカー市場においてトヨタ新型「ヤリス」とホンダ新型「フィット」が発売されることが予定されており、新車の販売ランキングはますます熾烈になることでしょう。2020年の新車販売ランキングからも目が離せません。
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みんなのコメント
あるいは運転免許返納問題でシルバー世代がもう車を買わなくなってきたから。
本当はアコードとか買ってほしいけど。