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【ロイヤルエンフィールド スーパーメテオ650 インプレ】バイクらしさとは何か? イージークルーザーとは何か? その答えがここにある

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【ロイヤルエンフィールド スーパーメテオ650 インプレ】バイクらしさとは何か? イージークルーザーとは何か? その答えがここにある

ロイヤルエンフィールドが打ち出す真のクルーザー

クルーザーの中にはルックスにこだわるばかり、ハンドリングや乗り心地を考慮していないモデルも多い。しかし、ロイヤルエンフィールドのスーパーメテオ650は、ハンドリングに関してはロードスターに匹敵するスポーツ性を披露。空冷エンジンとハリスフレームのタッグは完璧で、どこまでも続くかのような砂漠を貫く真っ直ぐの道がたまらなく気持ちよかった。

●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:長谷川徹 ●外部リンク:ロイヤルエンフィールド東京ショールーム

インドで開催されたスーパーメテオ650の試乗会に参加!

EICMA2022でロイヤルエンフィールドが発表したスーパーメテオ650の試乗会に参加するため、人生2回目のインドにやってきた。デリーからジャイサルメールという街にフライトし、空港からはバスで移動。ホテルに到着してバスを降りると、スーパーメテオ650とスーパーメテオ650ツアラーが100台ほど並んでいた。その光景はまさに圧巻だった。

―― ホテルには100台ほどのスーパーメテオ650が並んでいた。ここまで運ぶだけで大変……

聞けば世界各国から60名ほどのジャーナリストが参加。イギリスとインドのテクニカルセンターからも多くの開発者が来るという。中排気量セグメントでは世界最大規模の生産量を誇るロイヤルエンフィールドは、試乗会の規模も桁違い。

―― とても良い佇まいのスーパーメテオ650。排気量にしては車格は大柄。欧米や日本以外のアジアでは車格がないと売れないのだという。 [写真タップで拡大]

―― ジャイサルメールは夕刻のこの時間、街が金色に輝く。その光を受けて輝くスーパーメテオ650は各部の質感が高く、愛でるディテールが多い。 [写真タップで拡大]

クラシック風味の空冷648cc2気筒エンジンをハリスフレームに搭載

スーパーメテオ650のエンジンは、カフェレーサーのコンチネンタルGT650や英国スタイルのネイキッドであるINT650がベース。クルーザーというキャラクターに合わせるため、ローギヤード化しエアボックスを拡大。フレームのマウント方法なども変更している。

空冷の648ccSOHCパラレルツインエンジンは、270度クランクを採用した不等間隔爆発。シンプルな車体構成の中に見える排気量の割に大きなエンジンの存在感はとても強い。滑らかな曲線を描くクランクケースやシリンダーのフィンは光の当たり方で美しさを変え、時には本物のクラシックバイクのような表情を見せる。

さらにこのエンジンを生かしているのがハリスパフォーマンスのフレームだ。イギリスのフレームビルダーの名門は、現在ロイヤルエンフィールド傘下で市販車やアメリカンフラットトラックレーサーのフレームを担当。剛性感に溢れ、それでいて応答性の高いフレームはまさに昔ながらのイギリス気質を感じさせてくれる。

―― 丸みのあるシリンダーのフィンやクランクケースが雰囲気。磨いていても手触りがとても良い。 [写真タップで拡大]

―― 滑らかな曲線を繋ぎ合わせて構成されるシンプルな車体構成。メッキのマフラーの輝きも美しい。

一路を走っていることが、ただただ気持ち良い!

跨るとそのポジションは身長165cmの僕には少し大柄。足を前に投げ出すポジションがクルーザーであることを強く意識させてくれる。装備重量241kgは排気量にしては重めで、取り回しはビッグバイク並みの気遣いが必要だが、いわゆる巨大クルーザーのように身構える必要はない。

―― 走り出すとリラックスしたポジション。足着き性はそれほどよくないが、不安になるほどではなかった。

走り出すと、低回転では力強く、そしてコーナーの立ち上がりなどで中速域からグッとスロットルを開けると、ただただ美しいエンジンの旋律が身体に伝わってくる。この『エンジンが後輪のグリップを生み出す感覚=トラクション』がスロットルを開ける度に心を躍らせる。

―― インドでは様々なシチュエーションを走った。未舗装路面も多いが、バイクの耐震対策なども万全。ヒマラヤ同様、ロイヤルエンフィールドのバイクはこういったところで鍛えられていることがよくわかる。 [写真タップで拡大]

―― 斜め後ろからのシルエットも美しい。ロー&ロングなシルエットだが、着座位置が意外と高く、ハンドリングにこだわっているのがよくわかる。

スーパーメテオ650はコーナリングも楽しめるクルーザーだ

前後ショーワ製のサスペンションはインドの悪路をとても正確に追従してくれる。国産の中排気量のバイクは、サスペンション初期の動きを柔らかくして親しみやすさを出していることもあるが、その部分というのは実はバイクに慣れた頃には逆に乗りにくさや安っぽさに感じる要因にもなる。スーパーメテオは最初からそんなところがなく、スロットル操作や体重移動に対し、とても素直に反応してくれる。

着座位置もクルーザーにしてはそれほど低くないため、ハンドリングはとても軽快だ。ホイールベースが長いクルーザーの曲がらない感じや、大径の前輪が遅れてステアしてくる違和感はまったくない。ポジションこそクルーザー的ではあるものの、ロードスポーツと同じ感覚でコーナリングを楽しむことができる。

野生動物と共存しないといけないインドの交通事情においては、ABSの性能もとても重要だ。前後ブレーキはコントロールしやすく、特に大径ディスクを装着したリヤは制動力とコントロール性が高く、ボッシュ製ABSの効きもとても良かった。犬が飛び出してきてフルブレーキングすると、車体全体を沈めて減速。ブレーキをかけたまま砂に乗ってしまった時も同様に、危険を回避することができた。しかもインドではこんなシーンが1回や2回ではないのである。

―― 前後サスペンションはショーワ製。フロントは倒立のビッグピストンフォーク。リヤはコシのある2本ショック。 [写真タップで拡大]

―― タイヤはインドのシアット製。スーパーメテオ650の専用設計で、これがロードスター的なハンドリングに貢献。 [写真タップで拡大]

高速クルージングでは排気量以上の豊かさを約束

試乗2日目は、300kmのツーリング。その大半が高速道路だという。市街地を抜けるとすぐに高速道路に入るが、先導ライダーのペースはそこそこ速い。100km/mあたりでクルージングを始め、そこからどんどん速度を上げていく。100km/h、120km/hからスロットルを力いっぱい開けると、エンジンは唸り、ドコドコしていた鼓動は素早いビートに変わり、力強い加速を披露する。なんて頼れるエンジンだろう、と感心する。が、さすがにカウルがないと風圧がきつい。

高速道路では、どんな状況でも直進安定性が高いのも印象的だった。しっかり減衰を発生するサスペンションや、剛性が高くそれでいてしなやかなハリスフレーム、さらに肉厚なシートが上質な乗り心地も約束。2日間で370kmほど走ったがお尻が痛くなるようなこともなかった。

―― 大きなメーターはスピードで、その隣にある小さなメーターは簡易ナビのトリッパー。スマホにアプリを入れて使う。ヘッドライトはLED。 [写真タップで拡大]

―― ロイヤルエンフィールドは全モデル、車両価格にしては上質なシートを装備。車体のホールドのしやすさと乗り心地を両立。 [写真タップで拡大]

国産クルーザーからのステップアップにオススメしたい1台!

インタビュー時に、「ライバルはなんだと思う?」とアジア太平洋地域のビジネスヘッドであるアヌージ・ドゥアさんから逆質問を受けた。「ホンダのレブル」と答えると「その通り」とアヌージさん。でも僕は日本ではホンダレブル250&500の卒業生にススメたいと思った。スーパーメテオ650はレブルよりは大柄かつ豪華なつくりで、バイクの楽しさをより深く味わうことができるからだ。また、巨大なクルーザーからの乗り換えでも満足感は高いと思った。

至極個人的な感覚だが、なんというかスーパーメテオ650は、意志を持つ生き物に乗っているような感覚に近いのだ。「何を馬鹿な」と思われるのも当然だが、単純な機械ではなく、世の中にはきちんと意志が通じ合うバイクがあって、スーパーメテオ650もまさにそんな存在だったのだ。もちろんバイクとの付き合い方には好みがあって、機械だからこそ割り切って、と付き合いをしている人もたくさんいると思う。

でも、僕は一緒にいるだけで心が躍り、たくさん走ったのにすぐにもう一度乗りたくなる「気持ちが繋がる」生き物のようなバイクが好きだ。僕にとってヤマハのSRやハーレーダビッドソンの空冷スポーツスターなどがそんな存在だが、このユーロ5時代に改めて昔ながらのバイクらしさを味わえるなんて思ってもいなかったし、ここ数年のロイヤルエンフィールドに乗って何かとても大切なものを取り戻せた気がしている。電子制御に溢れる今、こんな気持ちにさせてくれるバイクとの出会いは貴重だ。スーパーメテオ650も「気持ちが繋がる」ロイヤルエンフィールドらしい1台に仕上がっていた。

―― 様々なアングルから撮影してみる。日が斜めになってくるとコントラストが高まり、ディテールにメリハリが出る。 [写真タップで拡大]

―― タンクのエンブレムもステッカーでごまかさない作り。こういったディテールが所有欲を高めてくれる。

―― こちらはアクセサリー装着車。リヤのキャリアの他、ミラーやウインカーも交換されている。 [写真タップで拡大]

―― 砂漠の中に続く真っ直ぐの道を走る。この道が永遠に続けば良いのに、と思った。

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