居住性と快適性を大幅に向上
text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)
【画像】日産キャシュカイ【先代モデルやジューク、ローグと写真で比較】 全180枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
日産は、2021年初頭にデビュー予定の新型キャシュカイのインテリアを一部公開した。3代目となる新型では「クラスをリードするオンボード・エクスペリエンス」を提供するとされている。
欧州において小型SUVのベストセラーの座をフォルクスワーゲン・ティグアンと争う日産キャシュカイは、サイズは大型化しながらも、コンパクトなスタイルを維持しているという。
製品開発担当のニコラス・チャンはAUTOCARに対し次のように語っている。
「欧州では、ボディサイズは絶対的に重要であり、キャシュカイは現在、最高のパッケージの1つとなっています」
先代モデルよりも全長が35mm、全幅が32mm、全高が25mm拡大されたほか、ホイールベースも20mm延長されている。その結果、室内の居住性が大幅に改善され、乗客の乗降性も向上したとされている。
新しいプラットフォームの採用によりトランクの床下スペースが増え、ラゲッジ容量は500L以上を確保。バンパーの下で足をスライドすることで開けられる電動テールゲートも初めて採用された。
高級車のようなインテリア
センターコンソールのデザインを一新し、収納スペースの追加や、人間工学に基づいたシートなどを採用。また、キャップレスのフューエルリッドカバーを採用し、外から開けることができるようになった。
スペース効率の高い「シフト・バイ・ワイヤ」のシフトノブでは、従来のレバーの物理的な動作を再現しているという。
車載システムも新しくなり、9.0インチの高解像度タッチスクリーンが採用された。Apple CarPlayのワイヤレス接続のほか、コネクテッドサービスやアプリベースのサービスなど「市場で出回っているあらゆる要素」を提供すると日産は述べている。
これに加えて、上位モデルには12.3インチの大型ディスプレイや、同セグメントで最大とされる10.8インチのヘッドアップ・ディスプレイを装備。15Wのワイヤレス充電器、USB-AおよびUSB-Cポート、BOSEのオーディオパッケージが搭載される。
レベル2の半自動運転技術を含む日産の運転支援システム「プロパイロット」は、中間モデル以上に標準装備される。
コンパクトSUVでありながら、マッサージシート、アンビエントライト、触り心地を重視した高品質の内装材など、上級装備が多数導入されている点も特徴的だ。最上位モデルには、25日かけて生産するナッパレザーを採用し、3Dダイヤモンド・キルティングの刺繍を施している。
筋肉質なエクステリアデザイン
日産が「先駆的」なクロスオーバーと呼ぶ3代目キャシュカイは、欧州で300万台以上、全世界で500万台以上販売された歴代モデルをベースに、セグメントをリードすることを目指している。
英国で設計、製造され、既存のディーゼルエンジンは廃止される。
今のところ、新型のエクステリアを確認できる画像は、カモフラージュされたプロトタイプと、ヘッドライトを拡大したティザー画像のみ。
しかし、プロトタイプの画像を見る限り、全体的なプロポーションは大きく変わらないものとなっている。フロントマスクは、あまり過激ではないものの、新型ジュークのデザインにインスパイアされているようだ。
日産欧州法人の商品企画責任者であるマルコ・フィオラバンティは、デザインの目的は「より筋肉質でありながらダイナミックなイメージ」で、「このセグメントで最高のスタンス」を提供することにあるとしている。それを実現するために、より広いトレッド幅、より大径のホイール、より強いショルダーラインを採用したという。
先代モデルよりも大型化しているが、Cセグメントのサイズは維持している。トランク容量も50L拡大された。
クラス最高の乗り心地を実現
キャシュカイの土台となるのは、ルノー・日産・三菱アライアンスのCMF-Cプラットフォームの新バージョンで、電動化に対応するための改良が施されている。日産によると、効率性とダイナミクスの両方を向上させるため、軽量化と高剛性を実現しているという。
現行モデルよりも超高張力鋼板の比率が高く(20%から30%へ)、床下構造の剛性が向上している。また、ボディの主要な接合部には構造的な接合が施されており、強度がさらに向上。全体的に先代モデルと比較して41%向上している。
同時に、テールゲートに複合材を、ドアとボンネットにアルミを採用したことで21kgの軽量化を実現。ボディ全体で60kgの軽量化に成功した。
サスペンションのレイアウトは引き継がれた。最大19インチのホイールを備えた二輪駆動モデルでは、リアにトーションビームを採用。20インチホイールの四輪駆動モデルでは、マルチリンク式を採用している。
日産によると、トーションビームに垂直方向に配置されたスポッティングとダンパーが、「優れたアンチロール性能を維持しながら、落ち着きのある乗り心地」を実現しているという。
一方、ロードノイズを低減するためにブッシュを介してサブフレームに取り付けられたマルチリンクは、「乗り心地とダイナミックなレスポンスのバランスはセグメント最高クラス」とされている。
ハイブリッドとeパワーのみ設定
パワートレインはすべてハイブリッド化されている。標準は、12Vのマイルド・ハイブリッドシステムを組み合わせた1.3Lターボガソリンだ。日産は、48Vよりも、12Vの方が「費用対効果の面で最良」だとしている。
MT、前輪駆動のモデルは140ps、CVT搭載モデルは157psを発揮。四輪駆動のCVT搭載モデルが最上位となる。
先代モデルではDCTを搭載しているが、新型ではCVTが採用された。CVT特有の低速域の滑らかさと、トランスミッションの「ゴムバンド」効果を軽減するための疑似変速機能を組み合わせ、両方のメリットを備えている。
また、販売台数の大半を占めると予想される、eパワーも用意されている。現段階では詳細は不明だが、前輪駆動のみで190psを発揮するという。
eパワーは内燃機関を発電機として使用してバッテリーを充電し、そのバッテリーがインバーターを介して電気モーターを駆動する。これによりEVと同じような走行を可能にしている。日本国内でも人気があるが、日産は「欧州の状況に合わせて」開発したという。
運転支援システムとして、より高度なプロパイロットを装備。センサーが改良されており、例えば、目の前を走るクルマだけではなく、その前方のクルマにも追従できるようになっている。
自動ブレーキは対応する速度域が拡大されたほか、レーンキープは動作がより自然なものとなり、最大0.2Gのコーナリングフォースでの自動ステアリングが可能となった。
また、自動的に法定速度を維持したり、コーナーやジャンクションなどで減速したりするシステムも備えている。
全車にLEDヘッドライトを標準装備。車載システムの詳細は未発表だが、無線アップデート機能が搭載される予定だ。
商品企画責任者インタビュー
日産欧州法人の商品企画責任者マルコ・フィオラバンティにインタビューを行った。
なぜ新型キャシュカイにはディーゼルが設定されないのでしょうか?現行モデルではパワートレインの中核をなすものだったはずです。
「地域的に、すでにディーゼルの展開を段階的に終了させる意図を伝えています。今日でもシェアの一部を占めていますが、わたし達は、お客様にはガソリンとハイブリッドが最適だと確信しています」
「eパワーは通常のディーゼルよりもはるかに優れたパフォーマンス、洗練されたデザイン、同等の経済性、運転のしやすさを実現しています」
プラグイン・ハイブリッド(PHEV)の計画はありますか?
「わたし達が提供するものではありません。わたし達は、eパワーがPHEVよりも親しみやすさと低コストを実現できると確信しています」
ルノーのように、クーペバージョンを導入する予定はありますか?
「今は(クーペスタイルのキャシュカイの)必要性を感じていません。キャシュカイのユーザー層は非常に広く、標準的なクルマをダイナミックでエレガントなものにできたと考えています」
パフォーマンス重視のニスモバージョンが登場する可能性はあるのでしょうか?
「それについては、今日は何も伝えられませんが、キャシュカイは欧州でキーとなるモデルであり、常にさまざまな可能性を探っています。これで終わりではなく、スタートです。ライフサイクルはこれまでよりも長くなるでしょうし、サプライズもあるでしょう。見守っていてください」
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みんなのコメント
国内販売されるのなら少しは気になるが、国内販売されないなら必要のない記事。
国によってパワートレインの
向き不向きがあるんだね。
北米のローグにはエンジンこそ新型でも
電動デバイスの話は無く、さすがに欧州では
通用しないからe-POWER以外で何か高速走行に
対応できるものを考えているのではないかと思った。
おそらくセレナにあるS-ハイブリッドの
進化系という認識なのかな?