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人気車「アクア」10年ぶり刷新 新型は何が変わった? ヤリスと異なる進化とは

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人気車「アクア」10年ぶり刷新 新型は何が変わった? ヤリスと異なる進化とは

■アクアはトヨタが思う以上のブランド力を持っていた!?

 トヨタ「アクア」は、同社「プリウス」の弟分として2011年に登場したハイブリッド専用モデルです。
 
 その使命は「ハイブリッドカーを身近にする」で、コンパクトボディに広い室内空間、圧倒的な低燃費をアフォーダブルな価格で実現。その実力の高さはすぐに市場へと浸透、累計販売台数は187万台を超えています。

【画像】先代よりイケメン! 新型アクアの内外装を全部見る!(60枚)

 しかし、登場から10年とコンパクトカーにしてはロングライフなこと、さらに、2020年に登場した「ヤリス」にハイブリッド車が設定されたことからも、「アクアの役目は終わった!?」、「次期モデルは存在しない?」といったウワサが出ていました。

 しかし、トヨタはアクアを見捨てませんでした。以前、筆者(山本シンヤ)はヤリスの発表会で吉田守孝副社長(当時)に「今後のアクア」について質問したことがありますが、ヒントを答えてくれました。

「我々も同じことを思っていた時期もありました(笑)。しかし、市場やユーザーを調査すると、トヨタが思っている以上にアクアの“ブランド力”の高さに驚きました。

 それはクラウン/カローラのようなビックネームと変わらないレベルです。そこまで支持されるモデルですから……ね」

 このように1世代という短期間でトヨタの重要な1台へと成長したアクアですが、2代目はどのようなクルマに仕上がっているのでしょうか。

 チーフエンジニアの鈴木啓友氏は「初代が突かってきた役割を発展させ、『新時代のエコカー』として次の10年を見据えたクルマに仕上げました」と語っています。

 エクステリアは初代のモノフォルムシルエットを継承しながら、よりスマート/より上質/よりエモーショナルに進化。

 フルLED化されたヘッドランプなどで優しさだけでなく精悍さを増したフロント、前傾したティドロップ型のキャビンに水平基調のリアフェンダーを組み合わせた立体構成のサイド、絞り込んだキャビンと張り出したフェンダーとの対比で5ナンバーサイズとは思えないワイドスタンスなリア周りなどが特長となっています。

 筆者(山本シンヤ)は初めて見たときには「最近のトヨタにしてはキープコンセプト!?」に感じましたが、見慣れていくにつれて新型らしさを実感。

 まさに「継承と進化」を上手にバランスしたデザインだと感じました。実は現時点で実車を日の光の下で見ていませんが、画面越しでここまで好印象なので期待は高いです。

 インテリアは刷新されています。初代はハイブリッドをアピールする先進性はあるもどこか煩雑さが気になっていましたが、新型はオーソドックスながらシンプル&クリーンな印象で、「ハイブリッドは当たり前」を形にしたデザインに仕上がっています。

 メーターは初代の特徴のひとつでもあるデジタル式を継承(左右の液晶+4.2インチカラーディスプレイを組み合わせ)。

 センターにディスプレイオーディオが装着されるのは最新のトヨタ車を踏襲していますが、スマートな形状&視界を妨げない位置にレイアウトされているのは評価すべきポイントでしょう。

 さらにフロアシフト(メカ式)からインパネシフト(電子式)に変更されていますが、これは後に出てくる運転支援デバイスのためでもあります。

 新型は視界の良さにもこだわっており、フロントはAピラーのスリム化/ミラーの後方配置/低ワイパー位置/三角窓拡大、リアはリアドアガラスの面積拡大やリアワイパー払拭範囲の拡大などがおこなわれるなど、直接視界をシッカリ確保したうえで支援デバイスを併用しています。

 この辺りはヤリスよりもファミリー需要が多いアクアだからこそ、重要な項目といえるでしょう。

 初代はコンパクトボディかつバッテリーを搭載するハイブリッドにも関わらず居住性の高さが特長でしたが、新型は4050mmの全長はそのままでホイールベースを+50mm拡大。拡大分は後席の更なる居住性アップに活用されているのはいうまでもないでしょう。

 パワートレインは初代と同じく1.5リッター+モーターのハイブリッド(THSII)ですが、TNGA世代へと刷新。

 ちなみに初代は2代目プリウス用を活用していたことから2世代分の進化となっています。

 エンジン(直列3気筒1.5リッター:M15A-FXE)/モーター(1NM)などはヤリス(ハイブリッド)と同じですが、バッテリーは駆動用電池としては世界初採用となる「バイポーラ型ニッケル水素電池」を搭載。

 一枚の集電体に正極/負極を塗布する構造(バイポーラ電極)により、従来の正極と負極を別々の集電体に塗布する構造に対して、部品点数が少ないので「コンパクト」、通電面積が広くシンプルな構造なので「大電流」が流しやすいのが特長です。

 その結果、従来よりも2倍の出力が引き出せ、モーターの使用領域の拡大(よりEV走行が可能)、レスポンスがよくパワフルでスムーズな加速が可能となっているそうです。

 ちなみに気になる燃費は初代に対して20%アップ、数値的にはWLTCモードで33.6km/L(B)、34.6km/L(X)、35.8km/L(G/Z)とグレード毎に異なるも、コンパクトカークラストップレベルです。

 ちなみに走行モードはノーマル/エコに加えて、アクセル操作のみで加減速が可能な「POWER+」モードをトヨタ車初採用なのもニュースです。

 1ペダル走行に関しては最後発となるトヨタですが、どのような仕上がりなのか気になる所です。

 さらにアクアにも待望の4WD(E-Four)が追加されたのは、積雪地域のユーザーにとっては吉報といえるでしょう。

■GRやレクサスの「走り」を新型アクアにも投入!?

 プラットフォームも刷新、ヤリス/ヤリスクロスに続いてTNGA「GA-B」を採用していますが、骨格結合体の最適化や超高張力鋼板の採用などアクア用に最適化により、さらなる軽量化と高剛性を実現。

 サスペンションはフロント・ストラット/リア・トーションビームで、新たにスウィングバルブショックアブソーバーを採用。

 これはサスペンションの動きだし初期から適切な減衰力を発生させることが可能な構造で、電子制御に頼ることなる「意のままの操縦性」と「フラットな乗り心地」を高いレベルで両立させるメカニカルなショックアブソーバーの一つの理想形です。

 これまで「マークX GRMN」やレクサス「ES/LS」などに採用例があり、どのモデルも「なるほど!!」といえるフットワークを実現していますが、コンパクトカーへの採用は初。

 筆者はアクアのキャラクターを考えるとヤリスよりも快適性のみならず動的な質感を高めたコンパクトカーらしからぬドッシリした味付けだと予想していますが、この辺りは実際に乗ってから結論を出したいと思っています。

 車両重量は初代の1060kgから1090kgに対して1080kgから1130kgと若干重くなっていますが、より厳しさを増す衝突安全への対応や初代より確実にレベルアップしている動力性能とフットワークを考えれば、誤差の範囲内といっていいかもしれません。

 安全支援デバイスも大きくアップデートされ、最新の「トヨタ・セーフティ・センス(TSS)」を搭載。

 対応範囲を拡大した「プリクラッシュセーフティ」や「全車速追従型クルーズコントロール」、「ステアリング操舵支援(LTA)」などに加えて、後方接近車両に加えて周囲静止物にも対応する「パーキングサポート」(トヨタ初)や停車時警報機能付の「ブラインドスポットモニター」(トヨタコンパクトクラス初)など、新機能もプラスされています。

 さらにヤリスで話題となった高度駐車支援機能(アドバンスドパーク)は、シフト操作も制御してくれる進化版になります(トヨタコンパクトクラス初)。

 その実力はヤリスで試して「感動パーキング」と呼びたいくらいの仕上がりなのを確認済みなので、心配なしです。

※ ※ ※

 価格(消費税込)は2WDが198万円から240万円、4WD(E-Four)が217万8000円から259万8000円となっています。

 初代は181万8300円から212万6300円なので若干アップしていますが、動力性能と燃費のバランス、走りの進化、安全システムや装備の充実などを考えると、事実は値下げといっていいと思っています。

 月販目標台数は9800台とかなり控えめな数値は気になる所ですが、初代同様にヒット作となるのは間違いないでしょう。

 パーソナルなヤリス、オールランダーなヤリスクロスに加えてファミリアルなアクアの登場により、トヨタ最強のコンパクトカートリオの完成です。

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