「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、ホンダ ステップワゴンだ。
ホンダ ステップワゴン(2012年:4代目マイナーチェンジ)
ファミリーに絶大な人気を誇るステップワゴンが、登場から2年半を経過してマイナーチェンジを行った。多岐にわたる改良の中で、最大のポイントは新開発CVTとアイドリングストップ機能の採用だ。加えて空力の向上等も効いて、クラストップの低燃費を実現した。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
新開発CVTはドライバビリティにも貢献している。もともとステップワゴンのCVTはエンジン回転上昇の先行感が小さく、好感を持っていた。今回さらにダイレクト感が向上し、ワイドレシオ化により瞬発力が増すなど、全体的にフィーリングが洗練されていた。欲をいうと、アクセルをガバッと開けたときのハンチングがもう少し抑えられれば文句なしだ。マニュアルシフト時の素早い変速も好印象だ。せっかく操作性の良いパドルが備わっているのだから、多少ショックがあっても、このぐらい早いほうが気持ち良い。
アイドリングストップの動作もいたってスムーズで、静かに止まり、短時間で滑らかに再始動する。他社に見られるような完全停車前にエンジンを止めたり、特殊なエンジン始動法を使っていないオーソドックスなタイプで、驚くほど頻繁に止まるわけではないが、期待どおり違和感なくエンジンストップしてくれる。再始動直後の飛び出し感が抑えられているところも良い。
ECONモードを選ぶと、より長い時間エンジンが止まる。燃費のため中間加速が抑えられるため、高速での合流や再加速ではやや物足りなさを感じなくもない。だが発進時の出足は良好で、市街地走行ではあまり気になることもない。
このクラスのミニバンでは、走りの良さはベスト
また、フットワークの良さも改めて感じた。コーナリング時の姿勢がセレナやノア/ヴォクシーといったライバルと大きく異なる。腰高な印象が小さく、ロール感も自然。見た目の形は似ているが、重心高がだいぶ違うのだろう。加えて高速巡航時のフラット感も高い。また、足まわりに関する変更は今回とくに伝えられていないが、以前はもっと突っ張ったように感じていたところ、心なしかしなやかになったように感じられた。
今回のマイナーチェンジでは、内外装にも比較的大がかりな変更が加えられた。エクステリアではフロントグリルやバンパーのデザインが変更され。LEDリアコンビランプなども採用された。試乗車のスパーダ Z クールスピリットではフロントのメッキ面積が増えて押し出し感が増し、さらにダーククロームメッキを施した外観や専用シートなどが与えられており、人気グレードになりそうだ。
ステップワゴンの訴求点である、ワンステップで乗り降りできる低床フロアや、クラス最大の室内空間、クラス唯一の3列目床下格納シートトいった特徴は、もちろん踏襲している。そして今回、2列目キャプテンシートがオプション設定されたことも要注目だ。ベンチシートとキャプテンシートでは室内の雰囲気は大違い。これを待っていた人も少なくないことだろう。
このクラスのミニバンの争いは熾烈で、新しいモデルが出るといろいろ改良されて本当に目移りしてしまう。だが少なくとも現段階(編集部註:2012年夏)では、このステップワゴンがベストといえそうだ。
ホンダ ステップワゴンスパーダ Zクールスピリット 主要諸元
●全長×全幅×全高:4690×1695×1815mm
●ホイールベース:2855mm
●車両重量:1660kg
●エンジン:直4 SOHC
●総排気量:1997cc
●最高出力:110kW(150ps)/6200rpm
●最大トルク:193Nm(19.7kgm)/4200rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・60L
●JC08モード燃費:13.8km/L
●タイヤサイズ:205/55R17
●当時の車両価格(税込):279万6000円
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みんなのコメント
全方位、デザインに隙がないと個人的に思ってる!
今見ても古さを感じさせないスタイリングが好きです、このモデルから三列目が床下格納になり積載量も文句ない。程度の良い中古があればまた乗りたいですね。