現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > トヨタの「ハイブリッド」何がスゴイ? 他メーカーがマネしない「THS」とは

ここから本文です

トヨタの「ハイブリッド」何がスゴイ? 他メーカーがマネしない「THS」とは

掲載 34
トヨタの「ハイブリッド」何がスゴイ? 他メーカーがマネしない「THS」とは

■27年かけて磨き上げた洗練の走り

 トヨタのハイブリッドシステムの基本は「THS」と呼ぶ方式です。THSとは「トヨタ・ハイブリッド・システム」の略で、1997年に発売された世界初の本格ハイブリッドカーの初代「プリウス」に搭載されて登場します。

なぜホンダの技術はマネされない? 他社が採用しない理由

 THSは、2003年に第2世代となる「THS II」に進化。その後、THS IIはリダクションギヤを追加するなど進化を続け、現在の最新の5代目「プリウス」には、第5世代のTHSが搭載されています。

 つまり、トヨタは1997年に誕生させた最初のハイブリッド車から、27年後の現在まで、THSというシステムを使い続け、磨き上げてきているのです。

 まず、その持続性と、その年月が実現させる技術の洗練がTHSならではの凄みと言っていいでしょう。

 そして、トヨタが2023年までに生産してきたハイブリッド車の累計販売台数は342万台を突破しています。その大多数にTHSが搭載されてきたのです。この実績もTHSの大きな凄みとなります。

 そんなTHSの技術的な特徴は、動力分割機構を採用していることです。具体的にはプラネタリーギヤを使っています。

 プラネタリーギヤとは日本語で遊星ギヤと呼びます。中央にサンギヤがあり、その周りにピニオンギヤ、そして外周をリングギヤが囲みます。

 中央に太陽があって、その周りに星が回るように見えるのが、遊星ギヤと言う名前の由来となります。

 そしてTHSでは、サンギヤに発電機、ピニオンギヤにつながるプラネタリーキャリアにエンジン、リングギヤに駆動用モーター/出力軸がつながっています。

 発電機とエンジン、駆動用モーターの3つが、ひとつの動力分割機構(プラネタリーギヤ)につながっているのです。

 そして、走行状況にあわせて、エンジンのみでの走行、モーターのみでの走行、エンジンとモーターの両方での走行、エンジンで走行しながら発電、減速の勢いで発電、という様々な走行モードを自在に切り替えることが可能となります。

 この、「さまざまなモードを自在に切り替えることができる」のがTHSの大きなメリットです。

 実のところ、エンジンやモーターには、それぞれ得意な領域と苦手な領域があります。エンジンは低回転の走りだしが苦手ですし、モーターは高回転域が苦手です。

 苦手なところで走るのは効率が悪い=燃費が悪くなります。逆に常に得意な領域で働かせることで、「THS」は、優れた燃費性能を実現しているのです。

 実際に、初代プリウスの燃費は28km/L(10・15モード)でしたが、2003年の2代目プリウスは一気に世界最高レベルの35.5km/L(10・15モード)に到達。

 2009年の3代目でも世界トップの38.0km/L(JC08モード)を実現しています。

 最新の5世代「プリウス」は、燃費よりも走行フィーリングを重視するようになりましたが、それでも28.6km/L(WLTCモード)という優れた燃費性能を維持しています。ライバルと比較しても、いまだにTHSの燃費性能は抜きんでているのです。

 また、THSは、ひとつの機構にエンジンなどが常時つながっています。そのため動力配分が変化したときにギクシャクすることはありません。変速もしませんから、非常にスムーズな加速が可能です。この変速感のないスムーズさもTHSの特徴です。

 ただし、THSにも苦手な部分があります。それが走行フィーリングです。

 THSは、エンジンと発電機、駆動用モーターの3つを常に最も効率のよい状態で働かせることができますが、そこには「ドライバーの気持ちよさ」は抜け落ちていました。

 THSは「走行速度やアクセル操作とは関係なしにエンジン回転数が変化する」「エンジン音や振動の変化に加速がリンクしない」などという現象が発生します。

 そもそも変速しませんから、多段式のステップATのような固定された各ギヤで加速してゆくというフィーリングとも異なります。

 これに対して、エンジン音や振動を耳に走ることに慣れていた人は違和感を得たことでしょう。そのため初期のハイブリッドは、クルマ好きから「フィーリングが悪い」という、さんざんな悪評を突き付けられました。

 ところが実際の燃費性能に関して言えば、THSを搭載したプリウスは他を圧倒しています。そのため燃費重視という世相になるとプリウスは大ヒット車になりました。

 一部にひどく言われながらも、燃費という信念を貫き通してきたのがプリウスであり、THSの歴史だったのです。

 そして2010年代に入って、トヨタが「もっといいクルマづくり」を掲げるようになり、それに伴ってプリウスとTHSの走行フィーリングは急激に改善していきます。

 燃費追及に振り切るのではなく、その一部を走行フィーリングに振り分けたのです。その結果、最新のプリウスの走行フィーリングは、非常に気持ちの良いものとなっています。

 優れた燃費性能を達成しつつ、苦手なフィーリグの悪さを克服した。これぞ、まさに技術の洗練です。この燃費と走りの良さを両立させたというのが、トヨタ“THS” の最大の凄みではないでしょうか。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

18年ぶりに復活を遂げたトヨタ新型「クラウン・エステート」“待望”の発売! SUVの魅力をプラスした「新発想ワゴン」は635万円から
18年ぶりに復活を遂げたトヨタ新型「クラウン・エステート」“待望”の発売! SUVの魅力をプラスした「新発想ワゴン」は635万円から
VAGUE
ヒョンデ、『インスター』4月導入でEV普及を加速…新拠点開設やパートナーとの連携強化へ
ヒョンデ、『インスター』4月導入でEV普及を加速…新拠点開設やパートナーとの連携強化へ
レスポンス
軽自動車にこそEVがピッタリです。ル・ボラン編集部が選ぶ! 「EVアワード」日産サクラ
軽自動車にこそEVがピッタリです。ル・ボラン編集部が選ぶ! 「EVアワード」日産サクラ
LE VOLANT CARSMEET WEB
18年ぶり復活のトヨタ新型「クラウン“エステート”」! 「ワゴンとSUVの融合」実現した“デザイン”に込められた“想い”とは
18年ぶり復活のトヨタ新型「クラウン“エステート”」! 「ワゴンとSUVの融合」実現した“デザイン”に込められた“想い”とは
くるまのニュース
トヨタ「クラウンエステート」登場! “シリーズ第4”のモデルはなぜ「SUV×ワゴン」融合した? 伝統の「エステート」名称“復活”にかけた開発の想いとは【開発者インタビュー】
トヨタ「クラウンエステート」登場! “シリーズ第4”のモデルはなぜ「SUV×ワゴン」融合した? 伝統の「エステート」名称“復活”にかけた開発の想いとは【開発者インタビュー】
くるまのニュース
56年前の「ランボルギーニ」がオークションに登場 名スーパーカー「カウンタック」以前の“4人乗りランボ”とは
56年前の「ランボルギーニ」がオークションに登場 名スーパーカー「カウンタック」以前の“4人乗りランボ”とは
VAGUE
マルティン、MotoGP第3戦アメリカズGPも欠場へ。第4戦カタールでの復帰も不透明「思うように回復できず、本当に苦労している」
マルティン、MotoGP第3戦アメリカズGPも欠場へ。第4戦カタールでの復帰も不透明「思うように回復できず、本当に苦労している」
motorsport.com 日本版
レクサス [LS]2013年モデルが想像以上に良すぎる件!! マイナーチェンジってウソだろ!?
レクサス [LS]2013年モデルが想像以上に良すぎる件!! マイナーチェンジってウソだろ!?
ベストカーWeb
新車購入で後悔したくないなら徹底チェック! 購入前にディーラーの実車で穴が空くほどガン見して確認すべき項目とは
新車購入で後悔したくないなら徹底チェック! 購入前にディーラーの実車で穴が空くほどガン見して確認すべき項目とは
WEB CARTOP
トヨタ新型「クラウンエステート」発表! “ワゴン×SUV”を「よりメッキきらめくスタイル」に! スタイリッシュなモデリスタパーツを設定、KINTOでも取り扱い開始!
トヨタ新型「クラウンエステート」発表! “ワゴン×SUV”を「よりメッキきらめくスタイル」に! スタイリッシュなモデリスタパーツを設定、KINTOでも取り扱い開始!
くるまのニュース
レーシングブルズとエクソンモービルが燃料パートナー契約を締結。レッドブルファミリー全体との提携が強化
レーシングブルズとエクソンモービルが燃料パートナー契約を締結。レッドブルファミリー全体との提携が強化
AUTOSPORT web
動かす前に何をすべき!? 冬の間に乗らなかったバイクのメンテナンス
動かす前に何をすべき!? 冬の間に乗らなかったバイクのメンテナンス
バイクのニュース
ワゴン×SUV!? トヨタ新型「クラウンエステート」18年ぶりに復活! 完成された16代目クラウン独自の「乗り味」とは【試乗記】
ワゴン×SUV!? トヨタ新型「クラウンエステート」18年ぶりに復活! 完成された16代目クラウン独自の「乗り味」とは【試乗記】
くるまのニュース
高速道路に「人が運転していない」トラックが出現…なぜ? 一般車の自動運転と何が違うのか
高速道路に「人が運転していない」トラックが出現…なぜ? 一般車の自動運転と何が違うのか
乗りものニュース
トヨタ新型「クラウンエステート」正式発表! ワゴン×SUVとして18年ぶり復活の理由は? ブランド70周年で4モデル揃う!エステートが担う役割とは 635万円から設定
トヨタ新型「クラウンエステート」正式発表! ワゴン×SUVとして18年ぶり復活の理由は? ブランド70周年で4モデル揃う!エステートが担う役割とは 635万円から設定
くるまのニュース
スバル新「クロストレック」発表! 鮮烈な「オレンジ」ボディ採用した“サンブレイズ仕様”に大注目! 同時に「インプレッサ」と「レヴォーグ」特別仕様車も公開!
スバル新「クロストレック」発表! 鮮烈な「オレンジ」ボディ採用した“サンブレイズ仕様”に大注目! 同時に「インプレッサ」と「レヴォーグ」特別仕様車も公開!
くるまのニュース
「アントネッリ圧倒は必須とは思っていない」先輩ジョージ・ラッセル、”速いヤツは最初から速い”理論を提唱
「アントネッリ圧倒は必須とは思っていない」先輩ジョージ・ラッセル、”速いヤツは最初から速い”理論を提唱
motorsport.com 日本版
ホンダ『ZR-V』のゴツゴツ感を低減、スタビリティも向上させるテインの車高調「フレックスZ」発売
ホンダ『ZR-V』のゴツゴツ感を低減、スタビリティも向上させるテインの車高調「フレックスZ」発売
レスポンス

みんなのコメント

34件
  • sa_********
    誰もトヨタに追いつけない…世界
    まさにその通りでトヨタはハイブリッドの各種
    特許を開示してる程の横綱相撲状態
    世界連合でのEV推進も一部だけが残る状況
    バッテリー技術のブレイクスルーでも出来ない限りはトヨタ最高の声が続きそう
    政治力は弱くても良い商品造りが王道への道の見本
  • tak********
    30年経っても、THSを全ての面で上回る事の出来るハイブリッドシステムが未だ考案出来無いのが驚き。
    THSの仕組みを最初に考えた人に、最上級の褒め言葉として「変態」と言いたい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

275 . 0万円 460 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19 . 3万円 769 . 0万円

中古車を検索
トヨタ プリウスの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

275 . 0万円 460 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19 . 3万円 769 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村