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「手放し運転」に「車外からのリモート駐車」! 無敵にみえる日産アリアの「あえてのバツ」と素直に「凄いところ」

掲載 更新 38
「手放し運転」に「車外からのリモート駐車」! 無敵にみえる日産アリアの「あえてのバツ」と素直に「凄いところ」

 航続距離は長くバッテリー管理の緻密!

 クルマの電動化に積極的な日産から、完全新設計のBEV(バッテリーEV)が登場する。その名は「ARIYA(アリア)」。日産は名前の由来について公式発表していないが、サンクスリット語の「アーリヤ」というのは「高貴な」という意味であり、これまで日産が展開していたBEVであるリーフとは一線を画す高級モデルになっていることを暗示している。

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 実際、プラットフォーム、バッテリー、モーターと主要な構成要素はすべて一新されているというから、その仕上がりには期待が高まるところだ。思えば初代リーフが誕生したのは2010年。つまり10年分の経験がフィードバックされた結果がアリアのメカニズムに反映されていると考えられる。

 そこで、初代リーフ(後期型・30kWh仕様)のオーナーである筆者が、オーナー目線も交えて、新型BEVのメカニズム的トピックスについて進化を感じるポイントをピックアップ、マルバツ形式で紹介しよう。

 最大のマルといえるポイント、うらやましく感じるのはバッテリーだ。総電力量が65kWhと90kWhという2種類のバッテリーパックが設定されているという。現行リーフでもバッテリーは40kWhと62kWhの設定だから、アリアのバッテリーはそれぞれ1.5倍程度に多くなったといえる。初期型リーフ・オーナーの自分からするとアリアの上位グレードのバッテリー総電力量は3倍なのだから本当に驚くばかりだ。

 しかし、本当にうらやましいのは総電力量ではなく、温度管理が緻密になっていることだ。リーフのバッテリーは温度がパッシブで、言ってみれば成りゆき任せとなっている。そのため急速充電や高速走行といったバッテリーの温度が上がりやすいシチュエーションでは一気にバッテリー温度が上がってしまい、夏の盛りにはパフォーマンスが制限されてしまうこともある。また温度が低すぎてもダメで、冬場には急速充電での入りが悪く、同じ時間でも思ったほど充電量が回復しないこともある。新しいアリアのバッテリーは水冷システムを利用した温度管理をしているというから、そうしたネガを解決していると思われる。バッテリーを適温に維持するアリアでは、外気温に左右されず、また急速充電での温度上昇も気にしないBEVライフを送れそうで、本当にうらやましい限りだ。

 初代リーフには「プロパイロット」のようなADAS(先進運転支援システム)は搭載されていないので当然だが、「プロパイロット」を装備する現行リーフ・オーナーであってもアリアが採用する進化版「プロパイロット2.0」には羨望のまなざしとなること間違いなしだろう。2.0というくらいだからハンズオフ(手放し)運転ができるのは当然だが、ADASが用いるセンサーが7個のカメラ、5個のレーダー、12個のソナーというから、スカイライン系のプロパイロット2.0よりも格段に進化していることが予想される。さらに準天頂衛星「みちびき」も活用することで、かなり高精度な制御を実現していることが予想される。

 登場のタイミング的に、レベル3自動運転のデモンストレーションを東京オリンピック・パラリンピックで展開していたはずだから、かなりレベル3自動運転に近いADASになっているであろうと期待も高まる内容だ。また、現行リーフには白線を検知して、かなりスムースに駐車を行なう「プロパイロット パーキング」が搭載されているが、アリアでは車外からの操作が可能な「プロパイロット リモート パーキング」が採用されているという。隣のクルマへのドアパンチを気にせず広い場所で降りてから駐車操作を行なえるというわけだ。

 そして、アリアには「ハローニッサン」と呼びかける音声認識機能とAmazon Alexaという2つの音声コントロールが搭載されているという。帰路でAlexaに話しかけ、家のエアコンや照明をつけておくといったシームレスな電脳生活ができるのは、最新のBEVだからこそ似合う。まさしく未来のライフスタイルが体験できるのである。

 以上、3点がリーフ・オーナーとして感じる最新BEV「アリア」のマルなところ。基本的にリーフで露呈したBEVのネガはきっちり解決しているので、不満はないがあえてバツなところを探すと、どんなポイントがあるだろうか。

 重量級ボディや電費、四輪制御技術にデメリットがありそうだ

 SUVということでボディが大きくなっているのでツッコミどころではないかもしれないが、バッテリーからモーターまで電動パワートレインを一新したというわりには電費がイマイチなのは残念ポイント。今回、日産はバッテリー総電力量のほかに使用可能電力量というスペックも発表している。小さいほうのバッテリーの使用可能電力量は63kWhで、FWDの航続可能距離はWLTCモードで450km。このスペックから電費を計算すると140Wh/kmとなる。現行リーフ(40kWh)のWLTCモード電費のカタログ値は155Wh/kmなので、車格が異なるとはいっても電費に進化が見られないのは残念ポイントだ。

 ちなみに、電費についてはkm/kWhという単位を使うこともあるが、アリアの90kWh仕様(使用可能電力量:87kWh)の航続可能距離はFWDで610kmというから、そこから計算すると7.0km/kWh。自分自身が普段乗りに使っている初代リーフの実電費は今月の平均値で7.9km/kWhとなっている。開発年次を考えると、さすがに10年前に生まれたBEVの実電費に追いつかないレベルというのはどうかと思う。

 おそらく、電費が期待ほど伸びていないのは、アリアがSUVスタイルで、バッテリーを多量に積んだことで車体が重くなっていることに起因しているのだろう。発表されている車両重量は1900~2200kgと、全長4.6m足らずのボディからするとかなり重いという印象だ。BEVは多量のバッテリーを積むため重くなるのは仕方がないと思うかもしれないが、自分の乗っている初代リーフの重量は車検証をみると1460kg。現行リーフのカタログ値も1490~1670kgとなっていることを考えると、軽量化という点ではあまり知見が投入されなかったのかもしれない。

 もっとも、補助金を考慮すると500万円からという内容を考えるとバーゲンプライスともいえる価格を実現しているようだから、高価な軽量パーツを使うことが難しかったということなのだろうが、現代の基準からすると軽量化を頑張ってほしいところだ。

 最後にうらやましいからこそ揚げ足を取りたくなるのがアリアの4WD車に採用される4輪制御技術「e-4ORCE」。前後に同等モーターを配することで、超ハイレスポンスの駆動力制御を行ない、重量を感じさせないパフォーマンスを実現しているというものだ。前後独立モーターによる駆動力と回生ブレーキを完全に個別にコントロールすることで姿勢制御にも活用するというアイディアだ。

 このシステム自体、期待が高まるばかりであるし、ケチをつける内容ではないのだが、「e-4ORCE」の説明において『前後のトルク配分は通常時は50:50、シーンに応じて0:100~100:0まで最適な配分に変更』という日産の説明にはちょっとだけ物言いをつけたい。トルク配分というが、エンジン車でのトルクスプリット4WDと異なり、前後モーターが独立しているのだから配分ではないはずだし、50:50の状態で出せるというマックストルク600N・m(90kWh仕様)は0:100のときには出せるはずはなく、前後いずれかのモーターだけで走っているときには一個のモーターで出せる最大トルク300N・mが上限となるはずだ。

 古いBEVに乗ってみる身で苦言を呈するのも生意気だとは思うが、モーター特性を体で感じるカーライフを送っているからこそ、トルク配分という言葉ではなく、前後モーターの発生トルクで制御を説明してほしいと思ってしまう。言葉尻を捕えているようだが、こうした表現だけで電動車の特性を理解していないのでは? と不信感を覚えてしまうのだ。

 いずれにしても、BEVオーナーとしてはアリアの走りを味わえる日が楽しみだ。だからこそ、細かい部分まで気になってしまうのだ。

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みんなのコメント

38件
  • 90KW h のバッテリーを0から満タンまで充電したら
    1KW hあたり24円として2160円かかる
    半分でも1080円
    電気自動車の100%の性能は買った時
    あとは劣化次第だが下がるだけ
    定額充電サービスも終わり回数や充電制限もあり
    今までのように充電メリットも減った
    家庭の200Vの工事や90KW h に対応できる130KW hのチャデモなど容量が増えれば充電時間は伸びる
    アリアは500万円からが販売価格 補助金が出ても
    460万、オプション付ければ500万円程度はかかる
    今のリーフはバッテリーが劣化した高年式車は二束三文の下取りにしかならない
    アリアがどんなに高額車でも10年後にはほとんど値段は付かないでしょう
    マツダやホンダもEVの発売を予定してますが充電設備は増えていない
    出先で充電待ちも起こる
    3台待ちなら充電出来るのは1時間以上かかる
    山間部など設備がない地域では使えない
  • どっちにしろEV系は儲かる事業になるまでにまだ10年以上かかるから。
    騒ぐわりにおおかたには関係のない話。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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