現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【試乗】電気自動車の斬新さがガンガンに伝わってくる! 日産アリアは新世代BEVとしての素質に溢れていた

ここから本文です

【試乗】電気自動車の斬新さがガンガンに伝わってくる! 日産アリアは新世代BEVとしての素質に溢れていた

掲載 16
【試乗】電気自動車の斬新さがガンガンに伝わってくる! 日産アリアは新世代BEVとしての素質に溢れていた

 この記事をまとめると

■アリアはバッテリー容量で2種類、駆動方式にFF/4WDがあり4種類から選択可能

いまや20車種以上! 本格的な電気自動車時代を予感させる「いま日本で買える」EVラインアップ

■ティアナを彷彿とさせるような上質なインテリアもある

■タイヤが数回転するだけで静かで滑らかな走りをもつクルマだとわかる

 未来的で先進的なスタイリングに加えて使い勝手が良い

 日産自動車がリーフに続くBEV(電気自動車)の第2段としてアリアを登場させた。2021年11月に発表されすでに多くの予約受注受けているという。そのアリアに試乗する機会が得られた。アリアにはバッテリーの容量に応じて「B6」や「B9」といった2種類のバリエーションがあり、また、それぞれにFFの前輪駆動車と、リヤにもモーターを装着した4WDモデルEフォース(e-4ORCE)も設定されていて4つのモデルから構成されている。

 今回試乗に用意されたのは「B6のFFモデル」だ。バッテリーの容量は66kWhで航続距離470kmをWLTCのモードで達成している。これは日常的な使用においては一般ユーザーの95%の使用条件を満たせる航続距離になっているという。

 車体の外観は非常に未来的で先進的なスタイリングであり、また造形美があってひと目でかっこいいことがわかる。空気抵抗の非常に小さそうな滑らかなボディラインでクロスオーバー系SUVとしてやや高い車高とホイールアーチモールなどの華飾も施されている。ホイールベースは2775mmと長く全長4595mmに対してタイヤが四隅に配置されているようなデザインで非常に安定感のあるフォルムと言える。前後のオーバーハングが短く見た目のバランスをよくしている。

 クルマに乗り込むと極めて質感の高いインテリアが迎えてくれる。以前、日産にはインテリアの上質さを謳う「ティアナ」というクルマがあったが、それを彷彿とさせるような木目調のダッシュボードに高品質なナッパレザーのシートなども用意されている。ドライバー正面には12.3インチのモニターが横2列に配置され、さまざまなインフォーテンツが表示される。とくにダッシュボードセンター上モニターに大きく表示されるナビゲーション画面は指で右にスワイプさせることでメーター内液晶画面に表示させることが可能で、新しい使い方を提案している。全般的にメーター表示が大きく見やすい。センターコンソールは前後に15cmほど電動で移動させることができ、ドライバーの身長やドライビングポジション、着座位置に合わせて使い勝手をよくしている。

 このセンターコンソールには非接触型のスマートフォン充電器やカップホルダー、シフトセレクターそしてドライブモードセレクターやワンペダルセレクトスイッチ、パーキングアシストスイッチが配置されるが、それらは物理的なスイッチではなく、触感を混ぜた感覚でタッチ操作できる新しいタイプのものだ。同様にエアコンの操作スイッチ関係もダッシュボードの木目調パネルのなかにタッチ操作スイッチとして仕込まれ、これはイグニッションがオフでは透過照明が消えてほぼ視認できなくなり、インテリアの雰囲気を崩さずに過ごせるように配慮されている。助手席やダッシュボードセンター部分の下側には物入れが備わり、また、ドライブスルーも可能と言えるようなフラットなフロア配置で実用性が高そうだ。

 2775mmのホイールベースで後席の足もとは極めて広くゆとりがある。身長170cmの筆者が座ってもひざ前に25cm以上のゆとりがある。ただ、低くなったとはいえ床下にバッテリーがあることによりヒップポジションとフロアの高低差はあまり大きくはなく若干長時間では腰に負担のかかりそうなポジションとなる。後席にもシートヒーターが備わり、リクライニング機能もあるのは大いに歓迎される部分である。試乗車はオプションのガラスサンルーフを装備していたことで後席のヘッドクリアランスはいささかスペースが足りないように感じる。

 タイヤは19インチと20インチを用意

 さてシステムを起動するとメーターが表示され、スタート準備が完了する。その機動性はよく、シフトセレクターでDレンジを選択すればすぐに走り出すことが可能だ。基本的にドライブモードはエコ、スタンダード、スポーツの3種類があり、デフォルトはスタンダードに設定されているがメモリー機能が備わっていてエコで走行終了すると次の始動時にはエコからスタートできるなどワンペダルと同様の便利機能が備わっているようだ。

 スタンダードモードで走り始めるとアクセルのスロットルレスポンスに対してモーターの反応がマイルドで使いやすい。走り始めて数百mでクルマの良さがわかるという説明があったが、タイヤが2~3回転するくらいでもこのクルマが十分に静かで滑らかな走りであることが感じ取れた。逆に速度を高めて路面の段差や継ぎ目、舗装の表面のざらつき度が変わったりすると、タイヤのロードノイズが変化することがわかり、遮音性についてはもう少し改良の余地がありそうだ。遮音ガラスの採用や厚手のフロアマットなど遮音や防振に対するアイテムはリーフ以上に備え、静かで高級なインテリアを目指しているというが、タイヤのロードノイズやパターンノイズなどもう少し改善の余地がありそうだ。

 今回採用されているタイヤはブリヂストンとダンロップそれぞれが19インチと20インチで用意されていて、試乗車はダンロップタイヤ製の「SPスポーツマックス050」を履いていた。ブリヂストンとダンロップどちらを選んでもタイヤ内にスポンジ吸音材を仕込んでロードノイズを抑える静音タイヤとしているのが特徴だ。また、タイヤの厚み(キャップベース、トレッドペース)が厚みを薄くし軽量化を図っていることも特徴と言える。ただそのタイヤ自体の乗り心地は固めで、路面のハーシュや段差の突き上げなども細かく拾うところがあり、ショックアブソーバーの硬さと共にやや気になる。

 バッテリー重量だけで約450kgの重さがある。空冷式だったリーフのラミネート式リチウムイオンバッテリーユニットに対して今回は液冷式ラミネートユニットとしているためリーフよりも10kgほど重量が重くなっているという。また液冷化により重放電時のバッテリーの温度を緻密に管理でき、摂氏30度前後の理想的な温度に維持できるようになった。これにより急速充電器を頻繁に使用しても、きちっとした充電量が確保でき安定した航続距離が発揮されるという。

 現状のメイン顧客ターゲットは年収1000万円クラスとされていた

 高速道路に乗り入れて60~80km/hで走行していると日産のプロパイロットを使用することができる。条件によってハンズオフモードも活用しドライバーの疲労を軽減してくれる。高速道路で気になったのはブレーキの利き具合だ。電動マスターバック式ブレーキを採用しているが若干ブレーキペダルストロークが大きく、踏み応えも弱い印象。制動力の立ち上がりがあまり力強くなく、いささか頼りないフィーリングになっていた。むしろワンペダルで回生ブレーキを強く利かせたほうが強力な減速Gが得られるように感じる。もちろんブレーキペダルを強く踏み込めば強力に減速させることができるが、ちょうど多用するブレーキングシーンの踏み心地が曖昧な印象を受けるのは今後の改善を望むところだ。

 またステアリングの操舵フィールもとくに直進時操舵で前輪のゲインが敏感すぎて、いささか神経を使う。プロパイロットで機械任せにしたほうが安定した直進走行が可能になる。この辺はおそらく四輪駆動のハイパワーモデルと共通したセッティングをしているせいではないかと推測できる。バネの硬さもより減速Gが強く、重量配分に優れるEフォースモデルにフォーカスしたセッティングになっているのではないかと思われた。

 1時間ほどの試乗をして電費は6km/kWhだ。66kWhすべてを使えば400km近く走行できるが、350kmも走行したら充電の必要性を感じるだろう。WLTCモードの数値はエアコンオフ状態で計測されるため、実際の使用状況において常時エアコンを使用しているとその分電費は悪化するのである。

 クルマを降りて周辺をチェックしていると、電動ファンがかなり大きな音を立てて勢いよくしばらくの間作動していた。これは水冷式モーターと液冷式のバッテリーを冷やすラジエーターに装着された電動ファンが作動しているためだ。アリアではエアコンのコントロールユニット(ヒートポンプ形式)を駆動モーターユニットより前方に出すことでとくに前席の足もと空間を広く取ることに成功している。そうしたエアコンの作動音もフロントまわりから聞こえてくるのかもしれない。

 アリア用に新規開発されたプラットフォームはあらゆる衝突条件試験を高度にクリアした。また小型化された専用モーター搭載による小スパンのクロスメンバー配置を採用しているので前輪のハンドル切れ角を大きく取ることができている。そのため最小回転半径は5.1mと非常に小さく、取り回し性の良さを高めているのだ。

 現状のメイン顧客ターゲットは年収1000万円クラスとされていて、輸入車などからの乗り換えを希望するユーザーなどにも大きく訴求しているという。その斬新なデザインとスタイリッシュなインテリア空間、そして環境への負荷の少なさだけでなく、非常時の外部給電として蓄電池機能をV2Hとして機能させることでアリアは新世代BEVとして多くのユーザーのニーズを満たしていくと期待されている。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

日産 [アリア]って実は完成度高すぎる[クルマ]じゃない?
日産 [アリア]って実は完成度高すぎる[クルマ]じゃない?
ベストカーWeb
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】もう二度と作ることができない限定400台[インプレッサ22B-STiバージョン]はいまや3000万円以上!!!!
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】もう二度と作ることができない限定400台[インプレッサ22B-STiバージョン]はいまや3000万円以上!!!!
ベストカーWeb
佐藤万璃音を擁してWEC・LMGT3に参戦するユナイテッドAS、マクラーレン720S GT3エボの新リバリー発表
佐藤万璃音を擁してWEC・LMGT3に参戦するユナイテッドAS、マクラーレン720S GT3エボの新リバリー発表
AUTOSPORT web
【詳細データテスト】プジョー5008 経済性は良好 走りと快適性は及第点 実用性や居住性は不満も
【詳細データテスト】プジョー5008 経済性は良好 走りと快適性は及第点 実用性や居住性は不満も
AUTOCAR JAPAN
「スーパーフォーミュラしかない!」念願かなったルーキーたちの課題は。2レース制増も影響か
「スーパーフォーミュラしかない!」念願かなったルーキーたちの課題は。2レース制増も影響か
AUTOSPORT web
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
ベストカーWeb
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!?  実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!? 実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
Auto Messe Web
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
AUTOCAR JAPAN
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
Auto Messe Web
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
乗りものニュース
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
AUTOCAR JAPAN
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
Auto Messe Web
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
AUTOCAR JAPAN
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
AUTOCAR JAPAN
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
motorsport.com 日本版
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
くるまのニュース
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
WEB CARTOP
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
乗りものニュース

みんなのコメント

16件
  • アリア結構見かけますよ。
    デザインがいいからすぐ気付く。
  • EVの肝はやはりバッテリー
    品質もそうだし弱点の克服も必要
    その点EVの先駆者日産には何の不安も感じない
    最近のこのこやってきた韓国車はあらゆる面で信頼性0
    バッテリー自体が低品質な上に僅かな衝撃で急激に発火するという最悪なもの
    とても命を預けて乗れるシロモノではないな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

659.0944.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

370.01060.0万円

中古車を検索
アリアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

659.0944.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

370.01060.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村