ホンダ新型ツアラー「NT1100」の国内モデル登場! アフリカツインベースでDCT標準装備
『ヤングマシン』誌スクープ→ティーザー動画→欧州発表を経て、ついにホンダ「NT1100」が国内で正式発表された。アフリカツインをベースに、洗練された大型カウル+スクリーンやオンロード向けの足まわり、快適な居住性を投入。イージーなDCT仕様も用意し、落ち着いたオトナに似合う上質クロスオーバーに仕上がっている。
※本記事は先行発表された欧州仕様をベースに構成しており、国内仕様とは一部異なる可能性があります。また、写真はすべて欧州仕様です。
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:ホンダ
都会に冒険の風が吹く。プレミアムSUVの趣
前後17インチのオンロードタイヤ/快適なカウル/豊富な積載性を備え、高速クルーズが得意なオンロード系クロスオーバー。各社にリッタークラスのモデルが存在する中、意外にも現在のホンダはラインナップを持たない。
そこで誕生したのが「NT1100」。オン&オフ両刀使いのCRF1100Lアフリカツインをベースに、徹底的にオンロード適性を高めている。
まず際立つのは、防風性の高そうなカウルと特徴的な形状の大型スクリーン、そしてX‐ADV風のワイドな2眼フロントマスク。最低地上高も210→173mmにダウンしたとはいえ、貫禄十分でしっかりオフテイストが漂う。都会的でありながらアウトドアを感じさせる、まさにSUVの雰囲気だ。
肉厚なシートのほか、スマホのアプリを映し出せるフルカラーのタッチスクリーン液晶パネル/クルーズコントロール/グリップヒーター/USB+ACC電源/センタースタンドなどなどツーリングに
役立つ装備がこれでもかと揃う。大型のパニアケースは国内仕様ではオプション設定される。
「NT」の車名は、過去に欧州で生産された「NT700ドゥービル」に由来する。ドゥービルは750ccの旧世代アフリカツインと同系エンジンを搭載した高級オンロードツアラーだったが、まさにNT1100はその現代版だ。
―― 【’22 HONDA NT1100】■全長2240 全幅865 全高1360-1525 軸距1535 最低地上高173 シート高820(各mm) 車重248kg(装備) ■水冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ 1082cc 102ps/7500rpm 10.6kg-m/6250rpm 変速機6段DCT 燃料タンク容量20L ■キャスター26°30′/トレール108mm ブレーキF=φ310mmダブルディスク+4ポットキャリパー R=φ256mmディスク+1ポットキャリパー タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●色:白 灰 ●価格:168万3000円 ●発売日:2022年3月17日
―― 【人気モデル2台のDNAを注入!】’16年のデビュー以来、オフに強いアドベンチャーとして進化を重ね、’20で1100に進化したアフリカツイン。これに、欧州で人気のSUVスクーター・X-ADVのイメージを注入し、オン志向を高めた新作がNTだ。アフツイの1082cc並列ツインを共有する兄弟モデルとしては、レブル1100に続く第2弾。 [写真タップで拡大]
高速クルーズはもちろん、街中や峠道でも軽快に
アフリカツイン譲りの270度並列ツインは吸排気系をリファイン。低中速の力強さとパルス感を上乗せしつつ、一段とスムーズな出力特性を実現した。資料によると、「乗ってすぐアフツイとの違いに気が付くほど」という。
倒立フォークはφ45→43mmに小径化するとともに、前後サスペンションストロークを短縮し、しなやかで安定した走りを実現する。ホイールベースはアフリカツインより40mmも短縮した1535mmで、スポーティーなコーナリングも楽しめそう。エンジン/足まわりともに、街中から高速道路まで幅広いステージに対応した設定と言えるだろう。
燃料タンク容量は20.4L。STDのアフリカツインより2.4L多く、満タンでの航続距離は400kmを誇る。
一方で簡略化した装備もある。主に電脳面で、6軸IMUを非採用としてコーナリングABSを省き、トラクションコントロールは7→3段階、走行モードは6→5パターンに。サスペンションはフル調整のアフリカツインに対し、前後ともイニシャルのみ。とはいえ十二分に豪華な機能だ。
スタイリング&カラーバリエーション
―― 【アフリカツインがクロスオーバーへ新生】アフリカツインの基本設計を踏襲しながら、大型カウルに前後17インチのキャストホイール+オン向けに最適化したサスペンションを導入。トラス構造のシートレールを覆うサイドカバーやダウンタイプのマフラーも新採用し、SUVに生まれ変わった。
―― 【デザインと機能を両立したフォルム】アフリカツイン比で全長70mm減/全幅95mm減とコンパクト化したが、全高はほぼ同じ。風格は抜群だ。カウルはシンプルかつ滑らかなアッパーと別体のシュラウドを巧みに組み合わせる。スタイリッシュでいて腕と下半身を風雨からしっかり守る。
―― 【カラーバリエーション】マットイリジウムグレーメタリックとパールグレアホワイトの2色展開。
エンジン
―― 【定評あるパラツインを一段とリファイン】軽量コンパクトな1082ccパラツインは、1本のカムシャフトで4本のバルブを駆動させるユニカムが特徴。NTでは吸気ダクト長とマフラー内部を変更し、心地よい低回転域とスムーズな加速を実現した。フル電スロを備え、走行モードは3種+ユーザー2種を選択可能。3段階のトラクションコントロールや3段階のウイリーコントロールも用意する。
―― 軽い上に、扱いやすさとスポーツ性を両立し、傑作と名高い心臓部。もちろん排ガス規制のユーロ5に対応済みだ。※写真はアフリカツイン
―― 【ボタンで変速OK】手元のボタンのみで変速できるDCTは、オートマチックとマニュアルモードが選べる。スポーティーに走れるSモードには3レベルのシフトスケジュールを用意。
シャーシ
―― 【アフリカツイン譲りの軽量+しなやか骨格】適度にしなり、軽量なスチール製セミダブルクレードルフレームを踏襲。大量の荷物にも耐える強度を持つアルミ製サブフレームも同じく採用された。※写真はアフリカツイン
―― 【フロントフォークはオン用にチューン】ショーワ製の倒立フォークは45→43mmに小径化。サスペンションストロークも230→150mmと大幅に短縮し、オンに最適化した。φ310mmディスク+対向4ポッドラジアルキャリパーは踏襲。
―― 【リヤのトラベル量も短縮】プロリンク式モノショックのアクスルトラベルは220→150mmに短縮。軽量&高剛性なアルミ製ロングスイングアームや、便利な油圧調整式のリモコンイニシャルアジャスターはベース車と同様だ。
―― 【新設計ダウンマフラーでサウンドや快適性を向上】マフラーは新作で、低速域における魅力的なサウンドに貢献。アップタイプのアフリカツインに対し、角度を抑えてパニアケースの容量やタンデムに配慮した。
操作系
―― 【カラーのタッチパネルを継承。ブルートゥース接続も完備】アフリカツインと同様、6.5インチの大型カラーTFT液晶メーターを採用。このジャンルでは貴重なタッチパネルに注目だ。最下段にはNTのロゴ入りパネルを配し、コクピットは落ち着いた雰囲気。メーター右側にUSB、左側にアクセサリー電源を備える。 [写真タップで拡大]
―― アップルカープレイとアンドロイドオートに対応し、パネルにアプリを表示できる。ブルートゥース接続や音声入力も可能だ。下段には、モノクロ液晶の速度計+ギヤポジやインジケーターを集約。
その他の装備
―― 【X-ADV譲りの2眼+DRL、インパクト大!】X-ADVに似た大きく切れ長の2眼フェイスは、鮮烈なDRL(デイライト)も踏襲。その内側にLED4灯式のヘッドライトを配置する。灯火類はフルLEDで、オートキャンセル式のウインカーやエマージェンシーストップランプもアフリカツイン譲りだ。 [写真タップで拡大]
―― 【様々な速度に適応する可変スクリーン】中央に通風孔を設けたロングスクリーンは、上下に164mm、角度は5段階に手動で調整できる。腕への走行風を和らげる、両サイドの小型スクリーンが斬新だ。
―― アフリカツインに比べ、幅広で厚みのあるシートを採用。シート高は10mmダウンの820mmだ。ステッチ入りのツートーンカラーで質感も高い。
―― 【タンデムしやすい新形状キャリア】パニアの装着を考慮し、リヤウインカーは後部に移設。リヤキャリアは専用設計で、アフリカツインに設定されるフラットなキャリアとは異なり、後席ライダーが握りやすいグラブバーを設ける。
―― 国内仕様ではオプション設定となる着脱式のパニアケース。容量は左33L/右32Lで、ハンドグリップ付きだ。街乗りを意識したスリムな設計で、もっとも広い部分でも幅はわずか901mmにすぎない。 [写真タップで拡大]
主要諸元比較:NTは中低速寄りの特性と装備が武器
前後17インチSUV軍団で人気が高いトレーサー。4気筒のヴェルシスと並ぶ120psながら最軽量で価格も控えめだ。NTと同じくツインのF900XRはグレードによるもののもっとも安いのが魅力。NTはライバルより最高出力の発生回転数が低く、中低速を重視したキャラと見られる。またNTのみ電子制御サスペンションがないが、唯一のタッチパネルとDCTが大きな武器だ。
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