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新型トライトン日本仕様どうなる? 三菱トップに聞いた「日本市場での勝算」と…え……まさかの「電動化」と「次期デリカ構想」

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新型トライトン日本仕様どうなる? 三菱トップに聞いた「日本市場での勝算」と…え……まさかの「電動化」と「次期デリカ構想」

 2023年7月26日、タイ・バンコクで世界初披露となった新型トライトン。世界戦略車としてASEAN諸国を中心に販売されるこのモデルは、今回の発表会でなんと「2024年初頭に日本市場でも販売する」と明言された。えらいこっちゃ。この発表会場で、三菱自動車加藤隆雄社長、長岡宏副社長(開発・商品戦略・TCS・デザイン担当)、中村達夫副社長(営業担当)に短い時間ながら詳しい話を伺う機会を得た。新型トライトンの日本仕様がどうなるか? 電動化は? 派生車種は?? 大変突っ込んだ話が聞けました!!

文/ベストカー編集部、写真/諸星陽一、三菱自動車

新型トライトン日本仕様どうなる? 三菱トップに聞いた「日本市場での勝算」と…え……まさかの「電動化」と「次期デリカ構想」

■「三菱」を象徴するクルマに

――新型トライトンがタイで世界初披露となりました。同時にこのモデルは12年ぶりに日本へ導入する(2024年初頭)とのこと。どのような経緯で日本市場へ導入することになったのでしょうか。

2023年7月26日、三菱自動車の世界戦略車である新型トライトンが9年ぶりにフルモデルチェンジを実施。2024年初頭には(9年ぶりとなる)同車の日本導入も明言された

加藤隆雄社長/かつてトライトンは一度日本市場に挑戦して(2006~2011年)、その時は台数を絞って「これくらい」という感じだったんですが、その頃(12年前)と比べて近年は日本のお客さまもかなり嗜好が変わってきて、たとえばアウトドアにはもっとお金をかけていいんじゃないかというユーザーが増えてきております。それに合わせて販売店のほうから「もっとアウトドアカラーの強いクルマを」という声もあり、それなら新型トライトンがいいんじゃないか、ということで日本市場への導入を前向きに検討するようになりました。

――新型トライトン(タイ仕様)には3つのボディ(シングルキャブ、ダブルキャブ、クラブキャブ)と、3つのディーゼルエンジン仕様(ハイパワー版、中間版、通常版)があります。これ、常識的に考えると、日本で売れるとするならダブルキャブのハイパワー版かな、とは思うのですが、日本市場ではどんな仕様が用意されるか、伺える範囲で伺えますでしょうか。

中村達夫副社長/ええと…それではぜひベストカーさんのアドバイスに従ってそれで…(笑)。というのは冗談で、実際に「この仕様で日本に」というのは、まだ検討中の部分もあり、今秋のジャパンモビリティショーあたりで発表させていただければと思っております。

新型トライトンは「ダブルキャブ」「シングルキャブ」「クラブキャブ(シングルキャブのややキャビンが長い版)」の3種類のボディが用意されている

加藤社長/もちろん日本のお客様が「こういう仕様がほしい」という希望があると思うんですが、そのいっぽうで、この新型トライトンは「三菱自動車」というブランドイメージを引っ張ってもらいたいと思っています。そうなると高いブランド価値を感じていただきたいということになり、ハイエンドなグレードで、ということは考えております。

■新型トライトンで「電動化」に挑戦は?

――今回発表された新型トライトンはディーゼルエンジン仕様のみでした。このご時世、電動化を考えていかねばならないと思うのですが、「この車種」について、そちらの方向の開発は進んでおりますでしょうか。

長岡宏副社長/はい、なんらかの電動化については、いずれにしてもやらなければいけないと考えています。先行研究の段階ですが、新型トライトンでも、BEVはどうか、PHEVだったらどうか、という検討はしておりまして、とはいえどの時点でどの仕組みがいいか、ということを考えていかなければならないなと。

新型トライトンには新開発2.4Lディーゼルターボエンジンが搭載される。とはいえこのエンジン仕様のみでずっと販売していく…とは三菱側も考えていないもよう

加藤社長/やはりそうはいっても、地域ごとに事情や規制のレギュレーション、方針が違っていたりして、こういうグローバルでやっていくクルマは難しいですよね。(電動化は)この商売をやっていくうえでは必ずどこかで必要になってくるとは思うのですが、しかし現時点ではバッテリーをたくさん積むと車重が重くなってしまうし、そのバッテリー製造コストで結局CO2の排出量は増えてしまった、なんていうこともある。そうなるとバイオフューエルのほうが可能性があるのではないか、ということも考えてゆく必要がある。それらも含めて、他社さんに負けないようしっかりやっていきたいと思います。

――日本市場では「三菱自動車=PHEVが得意」というイメージが強くなってきました。新型トライトンの場合、PHEV化は難しいのでしょうか?

加藤社長/非常にありがたいことに、そういうイメージが根付いてきましたよね。ただこのクルマ(新型トライトン)の場合、バッテリーの搭載位置がなかなか難しい…ということは聞いております。なので、あのクルマの場合はHVのほうがやりやすいんじゃないかな。

今回インタビューに答えていただいた、三菱自動車加藤隆雄社長(写真中)、長岡宏副社長(写真右/開発・商品戦略・TCS・デザイン担当)、中村達夫副社長(写真左/営業担当)

――日産とのアライアンスを考えると「e-POWER搭載」なんていう可能性もあるのでは?

長岡副社長/わたくしは日産出身ということで、その可能性(新型トライトンにe-POWER搭載)についてお答えしますと、e-POWERという仕組みはいいところとあまりよくないところ、向いているモデルとそうでないモデルがあると捉えております。一般的にいって街中づかい、小さいクルマで近所のお買い物に、という用途には大変向いているのですが、こういう(新型トライトンのような)クルマには、あまり向いているとは言えないだろうなと。なので、もしHV仕様を用意するのであれば、直結モードのような、エンジンで走ることもできる仕様を用意する必要があるだろうなと思っております。たとえば我々がいま持っているPHEVの仕組みの、バッテリーだけ変えて、というような。

■「次はパジェロも復活を」

――御社は2021年に現行型のアウトランダーPHEVが出て、2022年にeKクロスEVが出て、今年に入ってデリカMINIが出て、そして新型トライトンが出て、来年(2024年)早々に日本市場へ投入されます。「三菱らしさ」を急速に取り戻しているように見えるのですが、そういった商品ラインナップの拡充の最大の要因はなんだと思いますか?

加藤社長/そうですね…うーん……、我々の中にももちろん「三菱自動車らしさ」みたいな遺伝子のような意識はあるんですが、ただそれがお客様の間でマイナスに捉えられる時期もあったものですから、一時期「そういうものを薄めていこう」というようなタイミングがあったんですね。

――ふむふむ。

加藤社長/それもあって、たとえば日産さんと一緒にクルマを作ることで、いくつかのモデルは(単独で開発するよりも)非常に安くできたわけです。ただ、じゃあそのクルマの販売が我々の期待どおりだったかというと、ま、ちょっとやっぱり、そうでないところもあった。お客様から「どうせ日産のクルマなんでしょう」と言われるわけです。「三菱のお客様に選んでいただく理由」にはならなかった。そういう意味で、社内で、まあ社長を筆頭にですね、いろいろと喧々諤々の議論をして、やっぱり「三菱自動車らしさ」がないとダメなんじゃないか、じゃあ「三菱自動車らしさ」ってなんなんだ、と話し合って、それがたとえばデリカMINIのようなかたちになったわけです。軽スーパーハイトワゴンというジャンルは、他社さんからも強力なモデルがたくさんあって、その中で「三菱のクルマを」と選ぶ理由はあるか? あるとしたらどんな「もの」が必要なんだ、と。それで車高を上げたりタイヤを大きくしたりフロントマスクを変えたりすると、「おお、三菱らしい」と言っていただけるようになった。

――なるほど、そういう議論の延長線上に、この新型トライトンもあるわけですね。

加藤社長/そうです。このトライトンは、電子コンポーネントなど共有している部品はたくさんあるんですが、それでも心臓部であるフレームやエンジン、パワートレインは我々がやっています。もちろん日産さん、ルノーさん、それぞれ得意なところがあって、それぞれの領分で補い合っていければいいなと思うわけです。これは今後も、こういうやり方でやっていければいいなあと。

――では調子に乗って、次はパジェロ復活も。

加藤社長/そういう声はたくさんいただくんですよねー(笑)。いや、あの、そちらはもうちょっと儲かってから、ということで(笑)。

■「これで次期デリカも作れるんじゃないかと」

――今回の新型トライトンでは、シャシーを刷新して、エンジンも新開発して、パワートレインも新型となりました。そうなると、今後このプラットフォームを使って、何か派生車種が登場すると期待してもよいのでしょうか?

長岡副社長/これまでのトライトンのシャシーを使ってさまざまな車種、たとえばパジェロスポーツのようなモデルも出てきたわけですから、もちろん、ピックアップトラックだけでなく、ここから派生する乗用モデルにご期待いただきたいと考えています。

先代型トライトンと同一フレームを使って東南アジアで販売されている「パジェロスポーツ」。2021年9月にはラリーアート仕様の特別仕様車も発売しているぞ!

――たとえばデリカD:5とか、そろそろモデルも古くなってきて、次期型を開発しているタイミングだと思うのですが、どうでしょう、この新型トライトンのシャシー、エンジン、パワートレーンが使えるのではないでしょうか?

長岡副社長/いやあ、実は「この(トライトンの)フレームをベースにしてデリカを作れるんじゃないかと試したことがあるんですが、このフレームにあの背の高いボディを載せると、前後に動いちゃってちょっとこれは無理だな、という結論になりました。なのでデリカについては別の方法を一所懸命考えています。

――おお、そ、そうなんですか。ありがとうございます。

 短い時間(30分程度)であったが、非常に濃厚なコメントをいただきました。三菱自動車の新型トライトンは、7月26日にタイで発売開始となり、2024年初頭に日本でも発売されると明言されました。また2023年10月下旬開催のジャパンモビリティショーでの出展も明かされましたので、一般の方はそこで「生」の新型トライトンを目にすることができるはず。新型トライトン、「本物」はガチでカッコいいです! 期待大!!

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  • 三菱は、ディーゼルエンジンの新規開発は行わないと表明していたが、トライトン用の新型クリーンディーゼルエンジンを開発。従来、デリカD5に搭載していたものではヘビー級の車体のトライトンでは役不足なのだろう。いっそ、このエンジンをアウトランダーにも搭載したらどうかと思う。PHEVだけじゃ販売増は望めないと思うから。
  • カッコいいけどサイズが。。ハイラックスでさえ邪魔なのに。日本の狭い住宅街で乗り回すのは本当に迷惑です。田舎の広い庭がある家庭だけにして欲しい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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