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ピンク・ジャガーは純正色!「Eタイプ シリーズIII」がなんと約1320万円で落札! V12エンジンが再評価されています

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ピンク・ジャガーは純正色!「Eタイプ シリーズIII」がなんと約1320万円で落札! V12エンジンが再評価されています

Eタイプの市場に異変? V12モデルも高値安定中

英国グッドウッド・サーキットにて開催されるエクスクルーシヴなレースイベント「グッドウッド・メンバーズミーティング」の公式オークションとして行われた名門「ボナムズ」社のオークションでは、世界最上級のエンスー大国であるイギリス発信の国際オークションらしく、この国でしか見られないような珍車にも遭遇できることもあるいっぽう、「テッパン」ともいうべき定番英国車を手に入れる場所としても好適となるようです。今回は2024年4月14日に開催された2024年版の「グッドウッド・メンバーズミーティング・オークション」に出品されたV12時代のジャガー「Eタイプ シリーズIII」を取り上げ、そのストーリーとオークション結果についてお伝えします。

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名作ジャガーEタイプの最終進化バージョンとは?

スポーツカーの歴史に輝く名作、ジャガー「Eタイプ」は1961年のデビュー以来、とくに北米マーケットからの社会的要請のため、進化のたびに重量の増加を許してしまっていた。しかし、1971年に最終進化版となる「シリーズIII」が登場したことで、増量に伴うパフォーマンス低下が解消されることになる。

シリーズIII時代のトピックは、この時代には死滅しかかっていたV型12気筒エンジンを搭載したこと。名機「XK」型6気筒ユニットと同じく、ウォルター・ハッサンとハリー・マンディという、ヨーロッパの自動車業界ではもっとも経験豊富で尊敬を集めていた2人のエンジニアによって設計されたものである。もともとは「XJ13」と命名されたレーシングプロトタイプのために開発されたものの、耐久レースに関するFIAレギュレーション改定に伴いペンディングを余儀なくされたのち、市販スポーツカーおよびプレステージサルーンのために転用されることになった。

新型V12エンジンは、Eタイプの狭いエンジンコンパートメントに収めるべく、XJ13用のバンクあたりDOHCからSOHCへと変更されたが、排気量を5Lから5.3Lへと拡大したこともあって、英本国仕様の最高出力はシリーズI時代のXKユニットを上回る272bhpを発生。最高速度は時速140マイル(約225km/h)を超えるとともに、0-100mph(0-160km/h)の加速タイムは約16秒と、V12はEタイプ史上最速となる加速性能ももたらした。

しかも、ヘッド/ブロックともに軽合金製とすることで、鋳鉄製ブロックのXK 6気筒エンジンに比べ、重量アップはわずか80ポンド(約36kg)にとどまっていた。

さらに、4輪ディスクブレーキはフロントをベンチレーテッド式とすることで、制動力を向上。フロントサスペンションには、アンチダイブジオメトリーが採用された。

また、ルーカス社製トランジスター式イグニッションとパワーステアリングが標準装備となり、3速オートマチックトランスミッションは、スポーツカーというよりもラグジュアリーなグランドツアラーとなっていたこの時代のEタイプでは、とても人気の高いオプションのひとつとなった。

そしてエクステリアでは、フレアしたホイールアーチにグリルつきの分厚いラジエターエアインテーク、プレス鋼板製の4本出しエキゾーストシステムが、シリーズIIIに6気筒モデルとは一線を画した迫力を与えていた。

なんとピンクは純正カラーだった

V12エンジンを搭載したシリーズIIIは、カリスマ的な人気を誇るジャガーEタイプの最終モデルとなり、1975年の生産終了時までに1万5000台以上が生産されたといわれる。

このほどボナムズ「グッドウッド・メンバーズミーティング・オークション」に出品されたこのEタイプV12ロードスターは、1973年に生産された右ハンドル仕様のオートマティック車。シャシーナンバーは「1S1779BW」である。

「ヘザー(Heather)」と名づけられた、独特の渋みのあるピンクという個性的な純正ボディカラーに、マッチする赤いレザーのインテリア。グロスブラックにペイントされた、純正のハードトップも組み合わせられる。また、シリーズIII時代にはオプションとなっていたセンターロックのワイヤホイールも装備されている。

2010年3月のボナムズ「オックスフォード・セール」にて落札・販売されて以来、日々のメンテナンスは現オーナーお抱えのチームが担当し、手入れは行き届いているという。

新車として登録されたのち、走行距離はわずか2万7000マイル(約4万3000km)という、年式を考慮すればかなりのローマイレージ。2005年に施されたボディおよびペイントのレストアの恩恵を受けて、今なお非常にオリジナルなコンディションを保っていることは、ボナムズの公式ウェブカタログの写真からも判定できる。

ただし、残念なことに新車以来のヒストリーファイルは、オーナーの引っ越しの際に紛失されてしまったそうだが、少なくとも前オーナーからの書類は残っており、走行距離と所有者の記録が確認できるとのことであった。

じつをいえばこのEタイプは、2023年9月に開催されたボナムズ「グッドウッド・リヴァイヴァル・セール」でも出品され、その際にも落札されていた。ところが、そのセールの落札者は購入を完了することができなかったそうで、昨年のグッドウッドで興味を示しつつも落札できなかった多くのコレクターに新たな機会を提供するもの……とボナムズ社ではアピールしていた。

したがって、エスティメート(推定落札価格)も4万5000ポンドから5万5000ポンドという、前回と同じ金額が設定されたのだが、2024年4月14日に行われた競売では、手数料を含めればエスティメート上限を大きく超える6万3250ポンド、つまり日本円にして約1320万円で、競売人の掌中のハンマーが鳴らされることになったのだ。

今世紀初頭までの常識では、ジャガーEタイプといえば初期の6気筒こそが至高で、古ければ古いほど価値も高いとみなされていたことをご記憶の方も多いだろう。しかし、近ごろの国際クラシックカー・マーケットでは、V12モデルは6気筒モデルとは別物の魅力を持つモデルとして再評価されているようで、シリーズIIよりはシリーズIIIのほうが高値で取引される事例も多々見られる。

今回のオークション出品車のような好みの分かれるカラーの仕立てであっても、あるいはAT仕様であっても一定以上の評価が下されたのは、そんなマーケットトレンドの表れとも感じられたのである。

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