日産のフラッグシップミニバンのエルグランドについては、現行モデルを改良して当面は販売を続けるが次期モデルは存在しない、という情報が出回り始めている。
日産は本当にLクラスミニバンのパイオニアであるエルグランドを消滅させてしまうのか? ライバルに惨敗したままマーケットから手を引くことはあり得るのか?
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販売面で苦戦しているとはいえ、エルグランドには根強くファンが存在し次期エルグランドを切望している人も多い。そんな声を日産が無視するとは思えない……。
次期エルグランドはあるのか、ないのか? それについては、ユーザーの声が届くことで次期モデルの開発スピードは格段に上がるはず。販社の声を交えながら次期エルグランドについて考察する。
文:遠藤徹/写真:NISSAN、TOYOTA、HONDA、MITSUBISHI、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】エルグランドとライバルたち(2019年販売台数付き)
エルグランドの販売台数はアルファードの約10分の1
エルグランドは日産のフラッグシップミニバンながらエクステリアの大幅変更は5年前の2014年が最後。刷新されるライバルに対しこれでは競争力も期待できない
現行エルグランドは2010年8月に登場、直近では2018年12月に安全装備の充実などの一部改良を敢行。エクステリアの大幅な変更が行われたのは、2014年1月までさかのぼらなければいけい。新鮮味に欠けている感は否めない。
最近までの登録推移は1~8月で4784台、月平均598台にとどまっている。全国にある日産系の店舗数は現在約2000店ある。したがってエルグランドは月に1台も売っていない店舗が40%もある計算になる。
「フルモデルチェンジして次世代モデルを開発投入すれば、人気は復活するはず。このままだとライバルとの競争に勝てず消滅の道を辿ってしまう」と首都圏にある日産の営業担当者は頭を抱えている。
エルグランドはLクラスミニバンとして快適性にあふれるラグジュアリーなインテリアを持っているが、クルマ自体に新鮮味がなくなっているのがもったいない
こうした声はメーカーの日産首脳陣には届いている。まだ確実な情報にはなっていないが、次期エルグランドが開発途上にあるのは間違いないだろう。
ライバルであるトヨタアルファード/ヴェルファイア、三菱デリカD:5、ホンダオデッセイなどが比較的好調に売れている現状からするとモデルを廃止するという選択肢はないはずである。
日産としては人気ミニバンのセレナのオーナーが上級移行しようと考えてもエルグランドに食指が動かないのが問題で、次期モデルで解決すべき点だ
人気モデルであるセレナの上級シフトユーザーの受け皿としても必要であろう。
次期型のコンセプトとして採用されそうなのはセレナのボディシェルに似せたラグジュアリーバージョンである。ハイウェイスターと標準タイプの両仕様に構成は引き継がれるに違いない。
Lクラスミニバンの先鞭をつけたのは初代エルグランド
1997年にデビューした初代エルグランドは大人気となり新たなマーケットを構築。トヨタはグランビア、グランドハイエースで追撃を狙ったが寄せ付けなかった
アルファード/ヴェルファイアはなぜ成功しているか。
もともとこの両側スライドを持つボックス型のラグジュアリーミニバンのパイオニアは初代エルグランドだった。
それがアルファード/ヴェルファイア姉妹の登場によって主役の座を奪えたのは、より押し出しの強いフロントマスクを中心としたエクステリアデザイン、室内のハイクオリティな造り、豪華な装備、ハンドリング、走行性のよさなどだった。
当初はアルファードがおとなしめの質感のよさ、ヴェルファイアは若者を意識した派手目のマスクなどの個性があり、両モデルで幅広いユーザー層に浸透していった。
2代目アルファード(左)の姉妹車として追加された初代ヴェルファイア(右)はワイルドな雰囲気のフロントマスクで若者に大人気。ユーザー層の拡大に貢献
環境対応への遅れが致命的
対するエルグランドはどうであったか。10年近くも世代交代せずマイナーチェンジ、一部改良、特別仕様車の設定など小手先の改良で対応して来たため、販売を回復させることができていない。
低燃費、環境志向の強まりのなかでアルファード/ヴェルファイアは2.5Lハイブリッドモデルの投入でアピールしているが、エルグランドはノーマルのガソリンでしか対応できていない。
三菱デリカD:5はエルグランドよりも古い2007年デビューだが、ほかにない魅力を備えている点、環境対応、デザインの大幅刷新などにより堅調に販売
こうした技術開発の遅れもエルグランド凋落の大きな要因のひとつになっている。アルファード/ヴェルファイアは2.5フルハイブリッド、オデッセイは2Lフルハイブリッド、デリカD:5は2.3Lクリーンディーゼルターボと環境対応ユニットを搭載することで、エルグランドを上回る販売を維持している。
次期型はハイブリッドで攻勢をかける
次期エルグランドの予想CG。日産のアイデンティティであるVモーショングリルとシャープで複雑な造形のLEDヘッドライトにより存在感抜群
次期型の登場は必ずあるとの販売店筋の見方は強い。
日産首脳も最近のコメントで、「エルグランドは現在のままではマーケットで戦えないのでなんとかしてほしいとの販社からの声は届いている」と打ち明けている。
想定する次期型のコンセプトは、「アルファード/ヴェルファイアに匹敵するないしは超えるハイクオリティ、より押し出しの強いエクステリアデザイン、使い勝手、走行性を盛り込んだ仕立てとする」ことは間違いない。
パワーソースは標準タイプがモーターアシストの2.5Lマイルドハイブリッド、これに3.5L+モーターの2クラッチのフルハイブリッド、1.2Lのe-POWERが予想される。
新型エルグランドに人気のe-POWERは必須で、搭載されることは間違いない。そのほかハイブリッドにより復権を目指す。Lクラスミニバンの新時代を先取りする
e-POWERは日産が「2022年までに5車種の商品ラインアップを整える」ことを明らかにしている。現在、ノート、セレナに搭載しているのであと3車種存在する。
新型ジュークへの搭載がほぼ決まりであと2車種が残っている。次期型エクストレイルとエルグランドが有力になっている。
エクストレイルは2Lフルハイブリッドを搭載、今後PHEVの搭載を予定しているのでe-POWERはないのではないかとの情報もある。となると次期型エルグランドがより可能性大となる。
同ユニットは今後、専用エンジンやモーター、バッテリーの改良が行われるので、エルグランド用は新開発ユニットの搭載も期待できる。
国産車として初めて手放し運転が認可されたスカイラインに搭載されているプロパイロット2の搭載はエルグランド復権への絶好のアイテムとなるはずだ
証言/首都圏日産店営業担当者
エルグランドのニーズは現行モデルでもかなりあると認識している。
現行アルファード/ヴェルファイアはどぎついマスクが売りになっている。若者や男性ユーザーには人気が高いいっぽう、女性ユーザーには毛嫌いされ、エルグランドを購入するユーザーが多い。
つまりアンチトヨタユーザー向けを意識したエルグランドの次期型を開発し投入すれば復活できるはずである。
パワーユニットは2.5Lハイブリッドに加えてe-POWERの搭載、最新の安全対策、自動運転支援デバイスの「プロパイロット」の標準装備を期待している。
エルグランドの次期モデルは2020年か2021年の発売の可能性が強い。
1997年に初代、2002年に2代目、2010年に3代目の現行がそれぞれデビューしているが、現行のエクステリアデザインの評価は低くない
★ ★ ★
消滅の噂の絶えないエルグランドだが、 販売会社の証言からも次期モデルは確実に存在する。しかも現行モデルの失敗を教訓に環境対応、質感の向上のほか今のクルマでは必須の先進安全装備を充実させて登場することは間違いない。
堕ちたパイオニアがどのように復権するのか楽しみだ。
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