■新型フィットの「心地よさ」ってどんなもの?
ついに登場した4代目となるホンダ新型「フィット」のPRとして、「心地よさ」というキーワードをよく耳にします。
歴代モデルが築き上げた優れた性能・機能をベースとし、数値で表せない価値として「心地よさ」を提案する新型フィットですが、それはどのようなことなのでしょうか。
新型フィットの心地よさには、燃費を1km/L削ることにこだわるよりも、パワーを1馬力あげることよりも、乗る人が心地よいと思えるクルマにしたい、そんな思いが込められています。
長年メーカー同士が熾烈な戦いを繰り広げる要因となっていた「スペック至上主義」と決別して、新しいクルマづくりの哲学やノウハウが新型フィットに注がれたということでしょう。
ただ、心地よさというのは、人それぞれ感じ方が違うので、とても難しい課題ともいえます。そんな難しさを、どのような技術や工夫で新型フィットに反映しているのか、徹底チェックしてきました。
なるほどと思ったのは、「ベーシック」「ホーム」「ネス」「クロスター」「リュクス」という、キャラクターの異なるバリエーションを5つ設定して、ライフスタイルや好みによって、いちばん心地よいと感じる新型フィットが選べるようになっていることです。
従来のように「グレード」でヒエラルキーをつけていないので、無理をしてトップグレードを買うような殺伐とした気持ちにならないところが、まず肩の力が抜けて心地よいのではないかと思いました。
試乗車である「ホーム」のドアを開けようとグリップを握ると、手のひらに自然に添うような心地よさを感じました。聞けば、ドアハンドルにも工夫を凝らし、手がかかる部分に膨らみをもたせて、やさしい握り心地にこだわったのだそうです。
手を入れたら自動でロック解除するのも、とてもスマート。さらに、ドアが閉まる音も耳ざわりの良いものにこだわった結果、ドアシール断面を改良するなどで軽量化も両立するドア構造としたとのことです。
乗り降りするたびに、多ければ1日に何度も触れる部分だけに、こんなところからすでに心地よさの秘密があるのだと驚きました。
シートに座ってみるとまず、目の前に広がるパノラマ視界に圧倒されます。従来モデルの左右視野角が69度だったのに対して、新型フィットは90度。従来モデルは116mmあったフロントピラーを、安全性を確保しながら55mmにまで極細化したことで、コーナーでもしっかり見やすい視界となっています。
実際に走り出してみると、本当に左右の死角が小さく、感覚的には道路に手が届くのではないか思えるほどの見えやすさです。
交差点を曲がるときにも、横断歩道の端から端まで一瞬で確認できて、これなら突然飛び出してくる歩行者や自転車に冷や汗をかいたりすることもなさそうだと、安心感で満たされました。
また、近ごろは燃費対策やデザイン優先などのために、リアガラスを絞って小さくしてしまうクルマも多いのですが、新型フィットは後方視界も抜群です。
リアワイパーのさらに下までえぐれてガラスになっているので、ワイパーが見えてしまうのが気になる人もいるかもしれませんが、いざというときにサッと後方確認ができるのも、リラックスして運転できる要素だといえます。
■シートの素材だけでなく、構造にもこだわって「心地よさ」を演出
2モーターハイブリッドシステム「e:HEV(イーエイチイーブイ)」搭載車は、ハイブリッドの滑らかな走行性能を持ちます。それと相まって、心地よい乗り味を生み出している要因のひとつとして、こだわりのシートがあげられます。
シート表面の素材そのものも、西陣織で有名な織物メーカーに依頼したり、ふっくらとした肌触りで気持ちいいのですが、内部構造の改良もかなりのもの。
従来は線で支えるバネ構造だったのが、新型では面で支えるMAT構造を採用したことで、たわみ感や疲れにくさ、安定性が向上。クッションの厚さは30mm、パッドは24mmアップして高密度クッションを使い、上級セダンの「アコード」並みの座り心地を実現しています。
市街地を走っているときは、ゴツゴツとした路面でも身体に感じる振動はごくソフトになっており、カーブでは身体の安定感、高速道路では包み込まれるような安心感と、身体をしっかり支えてくれる張りも感じ、これならロングドライブでも心地よいだろうなと感じました。
後席にも座って試乗してみると、前席よりはやや風切り音などが大きくはなるものの、コンパクトカーとしてはかなり優秀な静かさで、シートの座り心地にも安心感が感じられます。これは、背もたれの角度や座面の厚みなどにもこだわった成果とのこと。
また新型フィットにも、フィット伝統の後席座面跳ね上げ機構が継承されており、使い勝手の良さを犠牲にすることなく、こうした快適性を実現していることに感心しました。
開発責任者の田中建樹さんに話を伺うと、それぞれのバリエーションに応じて、世界観を追求して細かなところまでこだわっているそうです。
例えば「リュクス」のレザーシートは、肌に触れる部分に上質な本革を使っていたり、「ネス」や「クロスター」ではアクティブな使用を考慮して撥水加工シートを採用したり、とことんまで使う人の心地よさを考えたといいます。
また、「デザインモチーフが柴犬だと聞きましたが?」との問いには、「デザインモチーフというよりは、いつもそばにいてくれる相棒ということで、柴犬のような存在をイメージしたということです。ライトの形に立体感を出したり、無機質ではなく有機的な表情を加えて、そうしたイメージに近づけました」と答えてくれました。
※ ※ ※
見るほどに親しみを感じるデザインと、触れるほどに身体に馴染んでいくようなインテリアや乗り心地。新型フィットの心地よさは、様々な技術と工夫でできており、多くの人に響くだろうと確信したのでした。
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みんなのコメント
きたホンダが、より実燃費に近い新モード燃費に変わった途端、カタログ燃費を
否定するような事を言い出すとはチャンチャラ可笑しくなりますね。
いい加減なカタログスペック表示が許されている方が、ホンダや御用メディアに
とっては都合が良かったという事なのでしょう。