今やコンパクトカーもSUVもミニバンも……、軽自動車以外のカテゴリーの販売ナンバーワン車はトヨタのクルマばかり。しかし、ミニバンのなかでもコンパクトミニバンに限ってみると、最近はホンダのフリードがトヨタのシエンタを抑えて、より多く売れている。
また、ホンダのなかではフィット以上に売れている人気車だったりもする。
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今、トヨタの競合車以上の人気車といってもいいフリード。その売れている理由をカーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が分析する。
文/渡辺陽一郎
写真/HONDA、TOYOTA、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】手頃な価格とサイズで売れているホンダ『フリード』とその競合車種を写真でチェック!!
■シエンタの販売台数が減少したことでフリードは上昇
最近の小型/普通乗用車の販売ランキングを見ると、上位にはトヨタ車が数多く入る。直近となる2021年5月の登録台数を見ても、1位:ヤリス(ヤリス+ヤリスクロス+GRヤリス)、2位:ルーミー、3位:カローラ(ツーリング+セダン+スポーツ+継続生産型)、4位:ハリアー、5位:ライズと続く。
このトヨタ一強の状態が続くなかで、そのほかのメーカー車で意外に健闘しているのがコンパクトミニバンのホンダフリードだ。
2016年に登場した現行型の2代目『フリード』。ハイブリッドモデルは惜しくも消えゆく運命の「SPORT HYBRID i-DCD」7速DCT搭載仕様だ
2021年3~5月は、ライバル車となるトヨタシエンタを上まわる売れゆきだった。前年と比べても、シエンタの登録台数は減少しているが、フリードは3月と5月がプラスであった。
ホンダ車同士で比べると、フィットが半導体不足の影響もあって売れゆきを下げており、2021年2月から5月はフリードの登録台数が上まわった。
フリードの発売は2016年だから、2015年のシエンタに比べて設計が少し新しい。それでも2018年と2019年の登録台数はシエンタが上まわり、2020年も5月まではシエンタが好調だった。
2015年に登場した5ナンバーサイズミニバンの『シエンタ』。発売から6年が経過し、2022年中のフルモデルチェンジがうわさされている
それが2020年の6月以降はシエンタの売れゆきに陰りが見えはじめ、2020年の登録台数は僅差でフリードが上まわった。
■フリードの売れ筋グレードは「G ホンダセンシング」
フリードは2016年に発売された後、2019年にマイナーチェンジを実施している。フロントマスクを大幅に変更して、新しいバリエーションとしてはSUV風のフリードクロスターも加えた。
2019年のマイナーチェンジで追加された『クロスター』。専用グリル、エアロパーツ、ルーフレールなどを装備しクロスオーバーテイストを加えた
2020年にはエアロパーツを装着するモデューロXもマイナーチェンジしたが、大幅な販売のテコ入れにはなっていない。
そこでフリードが好調に売れる理由を販売店に尋ねると、以下のように返答された。
「フリードの販売は安定していて、時間が経過しても人気が下がらない。子育てを終えたお客様がステップワゴンから乗り替えたり、フィットのお客様が2人目の子供が生まれてフリードへ上級移行している。売れ筋グレードは、ノーマルエンジンを搭載するGホンダセンシングだ。クロスターや2列シートのフリードプラスは、それほど売れていない」。
2020年に現行型にモデルチェンジした『フィット』。子どもが増えて手狭になりフリードに乗り換えるケースが発生している
フリードの売れ筋グレードは、216万円400円(6人乗り)のGホンダセンシングとのことだから、堅実なニーズに支えられている。ステップワゴンからのダウサイジングと、フィットからのアップサイジングという2つの需要があることも強みだ。
写真は「フリード ハイブリッド G ホンダセンシング」で価格は256万1900円からと売れ筋モデルより約40万円高い
■ステップワゴンの価格上昇でフリードへ乗り換え
ステップワゴンの価格上昇も見逃せない。ステップワゴンは2017年のマイナーチェンジでハイブリッドのi-MMD(現在の名称はe:HEV)を加えて、フロントマスクも変更したが、その対象はスパーダのみであった。標準ボディは基本的に変えておらず、ハイブリッドも選べない。
2015年より販売開始した現行5代目『ステップワゴン』。写真のグレードは「ステップワゴンeHEV スパーダ G・ホンダセンシング」
安全装備の充実などによってステップワゴンの価格は高まり、現時点ではノーマルエンジン(1.5Lターボ)を搭載する売れ筋のスパーダ ホンダセンシングが292万500円だ。ハイブリッドのe:HEVスパーダ Gホンダセンシングは342万7600円に達する。
2011年には、先代ステップワゴン スパーダSが245万8000円(当時の消費税率は5%)で販売されていたから、今はステップワゴンの価格が10年前の1.2倍に高まった。そうなると現行ステップワゴンでは予算が超過して、購入車種をフリードに変更することもある。
また2021年1~5月に国内で新車として売られたホンダ車の内、N-BOXを始めとする軽自動車が57%を占めた。そこにフリードとフィットの登録台数も加えると、国内で新車販売されたホンダ車の約80%に達する。
こうなればホンダのブランドイメージも、コンパクトで価格の安いクルマに移り、ダイハツやスズキに近付いていく。ステップワゴンの価格上昇だけでなく、ホンダのブランドイメージがダウンサイジングしたこともあり、フリードの売れゆきは発売から時間を経過しても下がりにくい。
以前はホンダのミニバンといえば、オデッセイかステップワゴンだったが、今はフリードになったわけだ。
■ホンダ日本国内のブランドイメージが危機的状況に
一方、シエンタはどうなのか。販売店に尋ねると以下のように返答された。
「シエンタは2年ほど前に絶好調に売れた時期があり、欲しいお客様に行き渡った。そこで最近は売れゆきが下がり、むしろヴォクシーが好調に売れている。人気の高いアルファードを目当てに来店され、運転のしやすさや予算の関係からヴォクシーを購入するお客様も見られる」。
シエンタは前述のとおり2015年に発売され、2019年には1カ月平均で9000台以上が登録された。それが翌年の2020年には6000台少々まで下がった。2020年5月から、トヨタの全店が全車を売るようになった影響もあり、2021年以降はヴォクシーやアルファードの売れゆきがシエンタを上まわっている。
つまり小さなミニバンは、ホンダのブランドイメージが変化したこともあってフリードになり、中級サイズ以上では、トヨタのヴォクシーやアルファードが好まれている。
そして直近では、ホンダの狭山工場の閉鎖により、レジェンドやクラリティと併せてオデッセイの販売が終了することになった。ホンダのブランドイメージは、従来以上に小さなクルマのメーカーとして定着していく。
そうなるとホンダの売れ筋車種では、コンパクトミニバンのフリードとコンパクトSUVのヴェゼルが実質的な最上級車種になる。フリードの売れゆきは安定するが、今後はオデッセイのように、アコード、CR-V、インサイトといったホンダの上級車種がリストラされる危うさも感じる。
その意味で先般披露された新型シビックは、ホンダのブランドイメージが偏るのを抑えるスタビライザーの役目を果たす。大切に販売して欲しい。
2021年6月24日に発表されたホンダ新型シビック。1.5L直4ターボの純ガソリン仕様のみ今秋発売予定で、ハイブリッドモデルの「e:HEV」と「タイプR」は2022年に発売予定
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みんなのコメント
9 ヴェゼル ホンダ5,692
11 フリードホンダ5,024
16 フィットホンダ3,393
まるで軽自動車しか売れなくて
泣いてるみたいに聞こえる。