現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 強敵トヨタ車より人気あり!? ホンダ「フリード」が売れている理由は?

ここから本文です

強敵トヨタ車より人気あり!? ホンダ「フリード」が売れている理由は?

掲載 更新 39
強敵トヨタ車より人気あり!? ホンダ「フリード」が売れている理由は?

 今やコンパクトカーもSUVもミニバンも……、軽自動車以外のカテゴリーの販売ナンバーワン車はトヨタのクルマばかり。しかし、ミニバンのなかでもコンパクトミニバンに限ってみると、最近はホンダのフリードがトヨタのシエンタを抑えて、より多く売れている。

 また、ホンダのなかではフィット以上に売れている人気車だったりもする。

新型ノートにSUV風とNISMO登場!! いっぽう名門マーチがついに…???

 今、トヨタの競合車以上の人気車といってもいいフリード。その売れている理由をカーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が分析する。

文/渡辺陽一郎
写真/HONDA、TOYOTA、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】手頃な価格とサイズで売れているホンダ『フリード』とその競合車種を写真でチェック!!

■シエンタの販売台数が減少したことでフリードは上昇

 最近の小型/普通乗用車の販売ランキングを見ると、上位にはトヨタ車が数多く入る。直近となる2021年5月の登録台数を見ても、1位:ヤリス(ヤリス+ヤリスクロス+GRヤリス)、2位:ルーミー、3位:カローラ(ツーリング+セダン+スポーツ+継続生産型)、4位:ハリアー、5位:ライズと続く。

 このトヨタ一強の状態が続くなかで、そのほかのメーカー車で意外に健闘しているのがコンパクトミニバンのホンダフリードだ。

2016年に登場した現行型の2代目『フリード』。ハイブリッドモデルは惜しくも消えゆく運命の「SPORT HYBRID i-DCD」7速DCT搭載仕様だ

 2021年3~5月は、ライバル車となるトヨタシエンタを上まわる売れゆきだった。前年と比べても、シエンタの登録台数は減少しているが、フリードは3月と5月がプラスであった。

 ホンダ車同士で比べると、フィットが半導体不足の影響もあって売れゆきを下げており、2021年2月から5月はフリードの登録台数が上まわった。

 フリードの発売は2016年だから、2015年のシエンタに比べて設計が少し新しい。それでも2018年と2019年の登録台数はシエンタが上まわり、2020年も5月まではシエンタが好調だった。

2015年に登場した5ナンバーサイズミニバンの『シエンタ』。発売から6年が経過し、2022年中のフルモデルチェンジがうわさされている

 それが2020年の6月以降はシエンタの売れゆきに陰りが見えはじめ、2020年の登録台数は僅差でフリードが上まわった。

■フリードの売れ筋グレードは「G ホンダセンシング」

 フリードは2016年に発売された後、2019年にマイナーチェンジを実施している。フロントマスクを大幅に変更して、新しいバリエーションとしてはSUV風のフリードクロスターも加えた。

2019年のマイナーチェンジで追加された『クロスター』。専用グリル、エアロパーツ、ルーフレールなどを装備しクロスオーバーテイストを加えた

 2020年にはエアロパーツを装着するモデューロXもマイナーチェンジしたが、大幅な販売のテコ入れにはなっていない。

 そこでフリードが好調に売れる理由を販売店に尋ねると、以下のように返答された。

 「フリードの販売は安定していて、時間が経過しても人気が下がらない。子育てを終えたお客様がステップワゴンから乗り替えたり、フィットのお客様が2人目の子供が生まれてフリードへ上級移行している。売れ筋グレードは、ノーマルエンジンを搭載するGホンダセンシングだ。クロスターや2列シートのフリードプラスは、それほど売れていない」。

2020年に現行型にモデルチェンジした『フィット』。子どもが増えて手狭になりフリードに乗り換えるケースが発生している

 フリードの売れ筋グレードは、216万円400円(6人乗り)のGホンダセンシングとのことだから、堅実なニーズに支えられている。ステップワゴンからのダウサイジングと、フィットからのアップサイジングという2つの需要があることも強みだ。

写真は「フリード ハイブリッド G ホンダセンシング」で価格は256万1900円からと売れ筋モデルより約40万円高い

■ステップワゴンの価格上昇でフリードへ乗り換え

 ステップワゴンの価格上昇も見逃せない。ステップワゴンは2017年のマイナーチェンジでハイブリッドのi-MMD(現在の名称はe:HEV)を加えて、フロントマスクも変更したが、その対象はスパーダのみであった。標準ボディは基本的に変えておらず、ハイブリッドも選べない。

2015年より販売開始した現行5代目『ステップワゴン』。写真のグレードは「ステップワゴンeHEV スパーダ G・ホンダセンシング」

 安全装備の充実などによってステップワゴンの価格は高まり、現時点ではノーマルエンジン(1.5Lターボ)を搭載する売れ筋のスパーダ ホンダセンシングが292万500円だ。ハイブリッドのe:HEVスパーダ Gホンダセンシングは342万7600円に達する。

 2011年には、先代ステップワゴン スパーダSが245万8000円(当時の消費税率は5%)で販売されていたから、今はステップワゴンの価格が10年前の1.2倍に高まった。そうなると現行ステップワゴンでは予算が超過して、購入車種をフリードに変更することもある。

 また2021年1~5月に国内で新車として売られたホンダ車の内、N-BOXを始めとする軽自動車が57%を占めた。そこにフリードとフィットの登録台数も加えると、国内で新車販売されたホンダ車の約80%に達する。

 こうなればホンダのブランドイメージも、コンパクトで価格の安いクルマに移り、ダイハツやスズキに近付いていく。ステップワゴンの価格上昇だけでなく、ホンダのブランドイメージがダウンサイジングしたこともあり、フリードの売れゆきは発売から時間を経過しても下がりにくい。

 以前はホンダのミニバンといえば、オデッセイかステップワゴンだったが、今はフリードになったわけだ。

■ホンダ日本国内のブランドイメージが危機的状況に

 一方、シエンタはどうなのか。販売店に尋ねると以下のように返答された。

 「シエンタは2年ほど前に絶好調に売れた時期があり、欲しいお客様に行き渡った。そこで最近は売れゆきが下がり、むしろヴォクシーが好調に売れている。人気の高いアルファードを目当てに来店され、運転のしやすさや予算の関係からヴォクシーを購入するお客様も見られる」。

 シエンタは前述のとおり2015年に発売され、2019年には1カ月平均で9000台以上が登録された。それが翌年の2020年には6000台少々まで下がった。2020年5月から、トヨタの全店が全車を売るようになった影響もあり、2021年以降はヴォクシーやアルファードの売れゆきがシエンタを上まわっている。

 つまり小さなミニバンは、ホンダのブランドイメージが変化したこともあってフリードになり、中級サイズ以上では、トヨタのヴォクシーやアルファードが好まれている。

 そして直近では、ホンダの狭山工場の閉鎖により、レジェンドやクラリティと併せてオデッセイの販売が終了することになった。ホンダのブランドイメージは、従来以上に小さなクルマのメーカーとして定着していく。

 そうなるとホンダの売れ筋車種では、コンパクトミニバンのフリードとコンパクトSUVのヴェゼルが実質的な最上級車種になる。フリードの売れゆきは安定するが、今後はオデッセイのように、アコード、CR-V、インサイトといったホンダの上級車種がリストラされる危うさも感じる。

 その意味で先般披露された新型シビックは、ホンダのブランドイメージが偏るのを抑えるスタビライザーの役目を果たす。大切に販売して欲しい。

2021年6月24日に発表されたホンダ新型シビック。1.5L直4ターボの純ガソリン仕様のみ今秋発売予定で、ハイブリッドモデルの「e:HEV」と「タイプR」は2022年に発売予定

【画像ギャラリー】手頃な価格とサイズで売れているホンダ『フリード』とその競合車種を写真でチェック!!

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【1970年代国産GTカーに思いを馳せて】光岡自動車からM55の市販バージョンが登場!
【1970年代国産GTカーに思いを馳せて】光岡自動車からM55の市販バージョンが登場!
AUTOCAR JAPAN
BMWの次世代EV「ノイエ・クラッセ」、SUV版のテスト車両を生産開始
BMWの次世代EV「ノイエ・クラッセ」、SUV版のテスト車両を生産開始
レスポンス
排気量アップで140馬力!? 軽枠超えのコペンが本気すぎ
排気量アップで140馬力!? 軽枠超えのコペンが本気すぎ
ベストカーWeb
[2000年]代[軽スポーツ]に注目!? 流通量豊富なスズキ[アルトターボRS]に中古で乗る!!
[2000年]代[軽スポーツ]に注目!? 流通量豊富なスズキ[アルトターボRS]に中古で乗る!!
ベストカーWeb
旧車ベンツW111型「220SE」をデイリーに楽しむ!「羽根ベン」と呼ばれる理由は当時の米国の流行に乗ったデザインにありました
旧車ベンツW111型「220SE」をデイリーに楽しむ!「羽根ベン」と呼ばれる理由は当時の米国の流行に乗ったデザインにありました
Auto Messe Web
交換のたびに「ちょっと余る」エンジンオイル! コツコツためて使っても問題ない?
交換のたびに「ちょっと余る」エンジンオイル! コツコツためて使っても問題ない?
WEB CARTOP
【F1メカ解説】レッドブルがラスベガスで見せた”荒療治”。大きすぎた空気抵抗に対処すべく、サーキットでリヤウイングを削る苦肉の策
【F1メカ解説】レッドブルがラスベガスで見せた”荒療治”。大きすぎた空気抵抗に対処すべく、サーキットでリヤウイングを削る苦肉の策
motorsport.com 日本版
ライダーを重視した先進装備を多数搭載。新型『トライアンフ・タイガースポーツ660』発表
ライダーを重視した先進装備を多数搭載。新型『トライアンフ・タイガースポーツ660』発表
AUTOSPORT web
F1メディア委員会、故意のフェイクニュースの監視と取り締まりを検討
F1メディア委員会、故意のフェイクニュースの監視と取り締まりを検討
AUTOSPORT web
アルパイン2025年モデル発表 車種専用モデルさらに拡充 ナビもディスプレイオーディオも充実
アルパイン2025年モデル発表 車種専用モデルさらに拡充 ナビもディスプレイオーディオも充実
AUTOCAR JAPAN
「6リッターV12エンジンで6段MT」乗れるのは2人!?  衝撃の激レア英国車デビュー!
「6リッターV12エンジンで6段MT」乗れるのは2人!? 衝撃の激レア英国車デビュー!
乗りものニュース
トヨタの「超凄いヤリス」登場! 1.6L直列3気筒ターボ搭載!? 公道でアクセル“ベタ踏み”!? 爆速で駆け抜けるRally2の現状は
トヨタの「超凄いヤリス」登場! 1.6L直列3気筒ターボ搭載!? 公道でアクセル“ベタ踏み”!? 爆速で駆け抜けるRally2の現状は
くるまのニュース
[15秒でニュース]アウディ『R8』生産終了…17年の歴史に幕を下ろす
[15秒でニュース]アウディ『R8』生産終了…17年の歴史に幕を下ろす
レスポンス
ヒョンデ、新型高級SUV「アイオニック9」でレンジローバーに対抗 過去最大のEVがデビュー
ヒョンデ、新型高級SUV「アイオニック9」でレンジローバーに対抗 過去最大のEVがデビュー
AUTOCAR JAPAN
勝田貴元選手は甘口派!! 好きなトッピングが衝撃!! モリゾウさんもカレー大好きだった件
勝田貴元選手は甘口派!! 好きなトッピングが衝撃!! モリゾウさんもカレー大好きだった件
ベストカーWeb
トヨタ新型「“4WD”スポーツカー」初公開! “現代版セリカ”な「2ドアクーペ」! 「旧車デザイン」&300馬力「ターボエンジン」採用の「GR86」米に登場
トヨタ新型「“4WD”スポーツカー」初公開! “現代版セリカ”な「2ドアクーペ」! 「旧車デザイン」&300馬力「ターボエンジン」採用の「GR86」米に登場
くるまのニュース
「金田のバイク」でおなじみのSFアニメ「AKIRA」 11月30日にトムス・エンタテインメントが無料配信
「金田のバイク」でおなじみのSFアニメ「AKIRA」 11月30日にトムス・エンタテインメントが無料配信
バイクのニュース
ジャガーが3年前に開発中止した大型SUV「Jペイス」 全長5m強のプロトタイプ、画像で明らかに
ジャガーが3年前に開発中止した大型SUV「Jペイス」 全長5m強のプロトタイプ、画像で明らかに
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

39件
  • ヴェゼル受注3万台!バカ売れ!人気爆発!


    9 ヴェゼル ホンダ5,692
    11 フリードホンダ5,024
    16 フィットホンダ3,393
  • CMで歌ってるのが、
    まるで軽自動車しか売れなくて
    泣いてるみたいに聞こえる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

250.8343.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0389.9万円

中古車を検索
フリードの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

250.8343.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0389.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村