商品やサービスは成功例があると「その成功に続け」とばかりに、同業他社から二匹目のドジョウ的を狙った類似したものが素早く登場するものである。それはクルマも同じで、この手法は特にトヨタが得意としている。
そういったクルマは後出しジャンケンなぶんパイオニアを上回っていることが多く、商業的には後出しのほうが成功を収めることも珍しくない。
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当記事では永田恵一氏が二匹目のドジョウを狙ったクルマの成功例を振り返り、成功した理由などを考察する。
文:永田恵一/写真:SUZUKI、DAIHATSU、HONDA、TOYOTA、SUBARU
初代スズキワゴンRに対する初代ダイハツムーブ
スズキワゴンR(初代)/販売期間:1993~1998年 背の高いハイト系軽自動車のジャンルのパイオニアで初代から現行モデルまで超人気モデルに君臨しているモンスター
ダイハツムーヴ(初代)/販売期間:1995~1998年 ワゴンRイーターとして登場しただけでなく、エアロを装着したスポーティ仕様という軽自動車の新潮流を構築
初代ワゴンRは「サイズが限られた軽自動車のスペースを広くするには全高を高くするしかない」というコンセプトで、1993年に登場。当初は実験車的な部分があり、販売目標台数も控えめだった。
しかし初代ワゴンRは頭上スペースに余裕があることにより広さをはじめとした高い実用性だけでなく、全高の高さを生かした見晴らしのよさや道具っぽい雰囲気がクラスレスな魅力となり、大ヒット作となった。
初代ワゴンRに続いたのが初代ムーヴである。
初代ムーヴは初代ワゴンRに影響され大慌てで開発されたことが、着座位置がベースとなったミラと大差ない点などから見受けられ、初代ワゴンRに対し大きなアドバンテージは特に感じられなかった。
しかしダイハツの軽自動車の母体台数の多さや初代ワゴンRしかライバルがなかったこともあり、初代ムーヴも成功を納めた。
また初代ムーヴは当時「裏ムーヴ」と呼ばれたカスタムをマイナーチェンジで追加しており、今では軽自動車においてカスタム系がほとんどのモデルに設定されているのは初代ムーヴが残した功績と言えるだろう。
なお初代ワゴンRが開拓した軽ハイトワゴンはホンダや三菱も追従する大きなジャンルに成長し、依然として軽自動車全体の大きな柱となっている。
初代ホンダストリームに対する初代トヨタウィッシュ
ホンダストリーム(初代)/販売期間:2000~2006年 絶大人気のオデッセイの弟的乗用タイプミニバンとして登場。取り回し性、ハンドリングとも評価が高く大ヒット
トヨタウィッシュ(初代)/販売期間:2003~2009年 ボディサイズはストリームとまったく同じながら、各所に改良を加えるというトヨタの露骨なやり方が物議を醸した
2000年10月に登場した初代ストリームは当時のシビックをベースにしたヒンジドアを持つ乗用車に限りなく近い5ナンバーサイズのミニバンである。
初代ストリームは約1600mmの全高ながらサードシートもシッカリ使える広さを持ち、走りも乗用車と遜色なく、価格もリーズナブルと、多く人が「これは売れるだろう」と感じるクルマで、月販1万台ペースの人気を集めた。
初代ストリームから約2年後の2003年1月に登場した初代ウィッシュはストリームと全長、全幅、全高まで同じという完全な後追いコンセプトで登場。
初代ウィッシュは初代ストリームと遜色ないスペースを持ち、後出しだけにシビックベースの初代ストリームに対しベースに1クラス上のプレミオ&アリオンを使い、量販グレードのエンジンはストリームの1.7Lに対し1.8Lとするなど、トヨタが昔から得意とする「ライバルを少しずつ上回る」という手法で高い総合力を持ち、このジャンルの需要を初代ストリームからゴッソリ奪い取った。
ストリームは2006年登場の2代目モデルで先出しながら2009年登場の2代目ウィッシュを上回る性能を備えたものの、2代目ウィッシュは価格の安さというアドバンテージを持ち、残念ながらストリームは再浮上することなく絶版となった。
しかしウィッシュも5ナンバーミニバンの主流がスライドドアを持つハイト系に移ったこともあり絶版となり、ストリームには直接的ではなく、低空飛行が続いているにせよ、ジェイドという後継車的なモデルがあるのはパイオニアの意地だろうか。
スバルヴィヴィオビストロに対するレトロ系軽自動車
スバルヴィヴィオビストロ/販売期間:1995~1998年 大型のグリル、ミラー類などメッキパーツを多用したレトロな雰囲気が大ヒットし、一大ムーブメントとなった
スズキセルボC/販売期間:1995~1998年 スズキはビストロのデビュー後すかさずセルボCを追加。ただ急造した感じは否めず、ビストロほどの人気は出なかった
ヴィヴィオビストロは、スバルの軽1BOXバンであるサンバーに長崎県のハウステンボス向けにレトロなスタイルを持つ仕様としてあったクラッシクが市販化され、その成功に乗って同様のコンセプトで1995年に登場。
ヴィヴィオビストロはスタイルに加えインテリアも木目パネルなどが付きラグジュアリーな雰囲気だったこともあり、ヴィヴィオのモデルサイクル後半では小さくない比率を占めるほどの成功を納めた。
ヴィヴィオビストロの影響は大きく、スズキは4代目セルボCとその実質的な後継となる5代目アルトC、ダイハツはミラクラシックからミラジーノ、三菱もミニカアンティを登場させ、どのクルマもそれなりの成功を納めた。
また本家のスバルはヴィヴィオの後継車となったプレオにレトロ系のネスタ、可愛い系のニコットを設定し、こちらもまずまずの人気となった。
しかし衝突安全や歩行者保護といった法規が厳しくなり、それに伴う実験も必要な時代になるとレトロ系のスタイルを比較的手軽に設定することは難しくなり、現在は絶滅状態となっている。
なおヴィヴィオビストロは軽だけでなく90年代後半のスターレットカラット、マーチボレロ&ルンバ、ミラージュモダークとコンパクトカーでもレトロ系が登場したことでも、予想外に自動車業界に大きな影響力を与えていた。
初代スズキエスクードに対する初代トヨタRAV4、初代ホンダCR-V
スズキエスクード(初代)/販売期間:1988~1997年 エスクードがヒットした最大の要因は扱いやすい5ナンバーサイズにあった。当時シティクロカンという新ジャンルを構築
トヨタRAV4(初代)/販売期間:1994~2000年 スポーティなデザインと走破性を両立してエスクードが構築したシティクロカンマーケットで荒稼ぎ
初代エスクードは日本ではSUVという言葉がなく、現在の本格SUVがクロスカントリー4WDと呼ばれていた1988年に3ドアモデルが登場。
当時のクロスカントリー4WDは、小さいほうはスパルタンなジムニー、その上はパジェロ以上という両極端なものしかなかった。
初代エスクードはラダーフレーム構造や副変速機付きパートタイム4WDという本格クロカンのような機能を持ちながら、サイズは現在のコンパクトカー並みでスタイリッシュ、価格は200万円以下というコンセプトで、後に5ドアのノマドも加わり成功を納めた。
エスクードの成功に刺激され登場したのが初代RAV4(1994年)、初代CR-Vである。初代RAV4は現在のSUVの主流に通じる乗用車ベースでエスクードよりライトな性格を持ち、初代CR-Vは2台より大きなボディサイズでステーションワゴン的な要素も備えていた。
両車は初代エスクード以上の成功を納め、国際戦略車に成長。特に初代CR-Vは当時ピンチだったホンダの立て直しに大きく貢献するほどの人気車となった。
エスクードは両車の登場後古さが目立つようになった挙句、1997年登場の2代目モデルもパッとせず、現在も埋もれた状況が続いている。
いっぽうRAV4とCR-Vも2代目以降日本では不振が続き、日本で販売されない時期もあったが、現在は両車日本で復活。
CR-Vは価格の高さが指摘され、RAV4は新しい4WDシステムが注目されるなど、三車三様の現在となっている。
ホンダCR-V(初代)/販売期間:1995~2001年 ホンダが初めて市販したクロカンタイプということで爆発的ヒット。オンロードでの快適性を特に重視して成功
スズキ3代目ソリオ(現行)に対するダイハツトール四兄弟
スズキソリオ(3代目)/販売期間:2015年~ ワゴンRワイド→ワゴンR+→ワゴンRソリオ→ソリオと車名変更し、現行がソリオの3代目で安定した人気を得ている
ダイハツトール/販売期間:2016年~ COO/bBの後継的モデルだが、トヨタ、スバルと4兄弟攻勢でソリオを狙い撃ち。特にトヨタタンク、ルーミーの販売台数は超絶
もともとワゴンRのボディサイズとエンジンを拡大した軽ベースのコンパクトカーだったソリオは、2010年登場の2代目モデルで軽スーパーハイトワゴンをコンパクトカーにしたような狭い全幅と高い全高にスライドドアを持つモデルに移行。
使いやすいクルマでライバルがなかったこともあり堅調に売れ、2015年に同じコンセプトでフルモデルチェンジされた現行モデルが登場した。
このコンセプトに遅ればせながら追従したのが2016年登場のトヨタタンク&ルーミー、ダイハツトール、スバルジャスティの四兄弟である。パッソ&ブーンがベースのこの四兄弟はソリオとまったく同じコンセプトで、後出しながら全幅が広いぶんリアシートの幅が大きいくらいしかソリオに対するアドバンテージが浮かばないクルマたちである。
しかし販売台数ではタンク&ルーミーがソリオを圧勝しているだけでなく、小型車のイメージが薄いダイハツで販売されるトールも好調に売れている。
このことを見ると、この種のプチバンが大きなマーケットを持っていること以上にトヨタの販売力の強さを痛感する。
★ ★ ★
二匹目のドジョウ的なクルマたちはオリジナリティという面で賛否はあるにせよ、ライバルが登場することでマーケットが拡大しジャンルが活性化する効果があるのは事実である。
それだけに市場が小さいだけに難しいにせよ、スポーツカーでもトヨタ86&スバルBRZやマツダロードスターに対する直接的なライバルが登場してスポーツカーのジャンルを活性化してほしいところだ。
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