トヨタ クラウン 「HY51フーガハイブリッドユーザーとして」のユーザーレビュー

HY51フーガハイブリッドユーザーとして

2022.7.23

総評

【クラウンに対して】
以前も同型のレビューを書きましたが、HY51フーガハイブリッドを普段使いしている私が改めてレンタカーで一日中旅行先で使用した感想を書いています。
クラウンの話に戻りますが、基本的には非常に良い車です。クラウンというよりも少し室内スペースが広くなり、静粛性を強化した日産のV37型スカイラインがイメージ的に近い気がします。高い走行性能を発揮させつつ、新しいことにチャレンジをしたかった気概は感じます。
レビューとしては厳しいことも書きますが、それはクラウンが好きだからこそです。過去に囚われることはあってはなりませんが、温故知新の精神を忘れてはならないと開発陣には今一度意識して今後に活かしてもらう事を望みます。
2022年後半に登場するであろう世界戦略車となった次期クラウンたちもどのように出来上がるのか楽しみにしています。

満足している点

・回転半径が5.3mでコンパクトカークラス
・静粛性は同価格帯で最高
・ターボによる加給が始まれば生まれる余裕のあるトルク。
・210系に囚われないエクステリアデザイン
・伸びやかなデザインのサイドビュー

不満な点

【ナビが究極的に使いにくい】
このクラウンの最悪な部分はこれに尽きます。

改善前の前期型だっただった事を差し置いても、この使用感の悪さは買う前に絶対に試乗やレンタカーで体感してから購入を検討した方が良いです。E21系カローラの方が使いやすい！！

・マップの拡大縮小操作ひとつを取っても画面フロー設計の悪さから走行中の操作には物理ボタン式ナビよりはるかに危険を伴う。
・上下に2画面あり、上の画面でナビが表示されるのにナビの操作は下の画面でナビ画面を出し直して操作が必要だった点は非常に扱い難い代物だった。
ただしタッチパネル感度は良く、反応も早いので日産系の時間差反応タッチパネルに比べると、反応の遅延に対するストレスは抑えられている。それ故にやはり画面フローの設計ミスは販売面で致命的な足枷になった可能性がある。
・トヨタの想定した購買層である40~50代には特に難解かつ不丁寧なシステム設計。乗り換え選考から除外するに十分な理由となる。

【ナビのまとめ】
ナビ機能を使用しない方はあまり害はないかも知れませんが、頻繁にナビを使って出かけるような人なら非常にストレスになると思います。

デザイン

5

【外装】




国産セダンの殻を打ち破れ！新しいクラウンを目指したデザイン。6ライトウィンドウ設計もサッシュ周りがゴチャッとしてしまった感はありますが私は割と好きです。
一点ほど難を加えるなら、車幅1800mmの制限を守らず伸びやかなワイド感のあるデザインをしてくれればどっしりとした安定感をイメージさせるのでツーリングセダンとして欧州勢にもぶつけられたのではないかと。


【内装】
・210系クラウンと比較すると材質面のコストダウンが目立ってしまいます。
・メーターは文字が浮き出ているようでカッコ良い！ナビと連動したHUDも装備しています。

・リアオートサンシェードは面白い！しかしタッチディスプレイからしか操作できない謎。

・リアセンターアームレストの厚みと、カップホルダー形状が優秀で使いやすく腕も疲れない。210系よりも進化している。日産はよく見習って欲しい。


・ドア開閉音と重みが高級車として申し分ない。
・ドアヒンジボルトの一部が無塗装かつカバーもなし。錆びませんか？
・なぜかフロアマットが安っぽい

走行性能

4

【良い点】
・軽快感やコーナリング時のロールの少なさはRS系グレードに譲るが、乗り心地面では厚みのあるタイヤの扁平率も手伝って上質であり、TNGAによる新世代ボディ剛性の高さを活かし車体を信頼して走行できる。
・最小回転半径が5.3mと他社にマネができないレベルの小回りを実現し、1.8mちょうどのコンパクトなボディ幅も手伝い、路地での取り回しはかなり良い。注意点としてボディ全長は5mもあり長いため、直角に曲がる際の巻き込みの危険は220系以前のクラウンの中で特に高い。不安な時に迷わず360°ビューを駆使して安全を確認する癖付けが大切。

・ACCは2022年に登場しているものの中では優秀でレーンキープアシストと併用する事で手を軽く添えているだけで高速道路やバイパスのカーブを含めて楽々走行可能。（うまくトレース出来ないと、フラフラ走る事があるのでちゃんとハンドルは保持しましょうね）走行中にACCからマニュアルに制御を返す際に唐突にアクセルを抜いたようなエンジンブレーキが掛かる点は慣れが必要。
・タービンが過給し始めてからのトルク感は3LのNAエンジンに迫る力強さ。ただしカタログ値の245ps/35.7kg・mの出力が発揮されている体感は無いのでスポーティーさを求める方向とは異なる。穏やかな加減速を常々されるドライバーと相性が良いと思います。
・高速安定性はホイールベースの恩恵で高い性能を発揮。フラつかない。

【イマイチ】
・ニュルブルクリンクで鍛え上げた走行性能は210系よりそんなに向上したのか？ユーザーの体感としては得られなかった。
・加速時のターボと電子制御により加速開始までラグあり。高速の合流で40km/hから一気に加速したい時は事前にパドルシフトなどでギアを一段下げてあらかじめ回転数を上げてから挑まないと走行モードに関係なく加速開始まで1.5秒以上かかります。
2Lターボグレードは210系の時と同じ課題を抱えていますが、ハイブリッド車ではこの加速ラグとはほぼ無縁です。好きなタイミングで踏みましょう。
・カタログ値のスペックは2.5L NAよりも高いが、V36スカイラインの2.5Lに比べるとレスポンス、加速「感」も足りない。
・アイドリングストップ機能は単純に走行の邪魔。再始動するたびにマァマァ車体が振動するのでブッシュにも乗り心地的にもマイナス。愛車にするならキャンセラーが欲しくなりますね。

乗り心地

4

【良い点】
・210系と比較するとアスリートグレードに近い乗り心地。船のような昔のクラウンとは趣が異なる。
・ロードノイズ、エンジンノイズの遮断が上手く静粛性の高い走行が可能。タイヤがフロント２本ネクストリー、リア２本がエナセーブという高級車としてあるまじきチャンポン仕様でこの静かさなのでレグノを履いた220系もぜひ試したい。
・車外の不快な音の遮断性が高い。法定速度下の順行や喧騒であふれた市街地で静粛性は際立つ。
・足元スペースは十分！


・乗り降りしやすい座席とドアの配置。高齢の親などが乗り降りする場合はとても良い。


【イマイチ】
●シートについて●
・一向に拡大されないシート。座面長と全体的に幅が足りていない。背中をぴったりシートにつけると太もも8cmくらい、肩もショルダーサポートからはみ出し気味。
長時間の運転をする場合は疲れる。横Gの掛かる運転では肩部と腰部のホールド性のフラットさが悪い方向に働き、体がズレる。乗り降りはしやすいメリットはある。


・身長170cmくらいの方からリアシートの居住性に難あり。内側に倒れ込むCピラー形状とクーペ風ルーフ形状のため、頭上空間が狭く私が背中をリアシートにピッタリつけて座ると髪の毛が天井に接触するので気になって仕方がない。それが嫌でおしりを前に少しずらすと短いシート座面が災いし足がすぐに疲れる。
・185cmの人は少し内側に頭を傾けねば乗れない。クーペならわかりますが、この車はセダンは5mクラスのセダンです。ちなみに日本人男性の平均身長は171~173cmくらいなので半数以上の人にとって頭上空間の狭い後部座席になります。

積載性

5

リアトランクはセダンとしてはかなり広大で見た目以上の容積を誇る。中型キャディバック4個を入れた上でさらにボストンバッグ2個を積み込むこともできる。ただし、高さはそれほど無い点は注意。

燃費

5

郊外走行をメインに使用し、11km/L程度です。
1650kgクラスの2Lターボとして考えればよく頑張っていると思います。
ハイオク車ですが税金も安いからその差額以上にお得。

価格

-

2Lターボ Sグレードに関してです。
新車購入おススメ度は微妙な所です。
走行性能で言えばE21系カローラハイブリッドがかなり良い線を行って居て、内装の豪華さや静粛性を多少目をつむることが出来れば、積載量、使い勝手、維持費に加えてはるかに安い乗り出し価格で手に入ります。
中古にしてもクラウンは10年落ちになっても価格が落ちにくい傾向にあり、お買い得感という意味ではあまりウマ味がないかも知れません。

【静粛性】と【クラウンブランド】にお金をかけられる人には価値あり！

故障経験

①走行中に着席者のいないリアセンターシートのシートベルト警告が消えなくなりアラームが鳴り続けた。
特に荷物も乗せていない状態であったがシステム再起動やシートベルトの確認を行っても結局直らず、そのままレンタカー店に返却した。

②オーディオの音が悪すぎたので故障の可能性あり。
標準のスピーカーの音質がクラウンとしては良くなかった。10スピーカーのはずだがサラウンド感はまるで無く、フロント小径スピーカーからの鳴りがよく聞こえる。グラフィックイコライザーなどで調整しても中低音があまり鳴らなかったので不具合を抱えている個体だった可能性がある。
別で試乗した複数の220系クラウンはオーディオが非常に良かったので今回のレンタカーではちょっとびっくりしました。

③メーターパネル周辺からのキシミ音
故障じゃないですが…こういう音を嫌がるユーザーが多いであろう車種なの記載です。
速度域に限らず走行中の微細な振動の周期とマッチしてしまったときにメーターパネル右側付近から「ジジジジ…」みたいな振動音がします。DIYで何かを挟み込んだりすることで対処できるレベルだとは思います。