スズキ ジムニー 「ラダーフレーム採用の本格クロカン」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

ラダーフレーム採用の本格クロカン

2023.11.26

年式

2018年7月〜モデル

総評

ラダー（格子型）フレームによってキャビンと車体下部を分離することで、軽自動車規格の中ではトップランクに位置する悪路での走破性能を誇る。機械式副変速機を用い、ボディが小さく軽く、スムーズに動く足回りを持っていることから、標準装着タイヤのままでも泥濘地や雪道も突き進む。悪路での走破性能を第一に考えたモデルなので、用途を考え購入頂きたい。

満足している点

悪路における走破性能の高さにつきる。パートタイム式4WDによる高い信頼性と、3リンクリジットアクスル式の前後のサスペンションは、路面状況がシビアになればなるほど真価を発揮する。ラダーフレーム中央にはX字構造のメンバーを、前後にはメンバーを追加して万全の構えだ。歴代、軽自動車としてラインアップしている点も高く評価できる。

不満な点

悪路での高い走破性能と引きかえに、舗装路での走行性能のうち、乗り心地など快適性についてはあまり高くない。舗装路ではしっとりとした乗り味だが、小さな段差でも上下動を身体に伝えてくるし、大きな段差では振れ幅が大きい。またホイールベースが短めの設定であることから、高速域でのカーブ走行では侵入前にしっかり減速する必要がある。

デザイン

5

まさしくプロの道具感に満ちているエクステリア。スクエアなボディ形状なのでポップなカラーリングも似合うし、前後バンパーにはボディカラー塗装がなされず素材の地色をそのまま活用したことで引き締め効果が高められた。内装は水平基調のデザインとして悪路での車両感覚が把握しやすい。小物入れやメーター各部のデザインも凝っている。

走行性能

5

搭載エンジンはターボのみで、規制値上限の64PSを発生する。ロングストローク型らしく実用域のトルク（最大値98N・m）が豊か。市街地走行も得意だ。5MT／4ATともに副変速機付きパートタイム4WDで、ブレーキLSD機能とステアリングダンパーを備える。これに軽いボディと良く動く前後サスが組み合わされ悪路では本当に心強い。

乗り心地

2

厳しい採点だが、これは舗装路での値。悪路では最高値の5点。とはいえ悪路になると途端に乗り心地が良くなるのではなく、路面の状況をつぶさに伝えてくれるため、心の余裕を保って岩場やガレ場などの走行ができるという意味から。一方で車内はにぎやかだ。乗用の軽自動車と比較するとエンジンは高回転域を多用しがちで、これが大きな要因に。

積載性

3

ボディサイズに制約があることや、ラダーフレーム構造となり、床面が高めであることなどからラゲッジルームの積載能力には限りがある（それでも最大幅は1300mmと十分）。ただ、横開きドアはアウトドア用途では使いやすいし、狭いとはいえフロアはフラットだ。また、ルーフにはドリップレールを採用し、従来型のジムニーよりもルーフキャリアでの積載幅が増えた。

燃費

2

WLTC値で5MTが16.2km/L、4ATが13.2km/Lだから正直申し上げて良くはない。燃費数値は良いに越したことはないが、ジムニーは悪路の走破性能に特化したモデルだ。よって、限られたエンジンパワーを最大限、走行性能に振り分けたとすれば、十分、納得の値だと筆者は考える。高速巡航では実測値で16km/L程度まで伸びた。

価格

5

155万5400円〜190万3000円と、世界に誇る悪路での走破性能を持っていることを考えればとても良心的な価格設定だ。1970年の初代誕生から2018年3月時点の累計で285万台を販売した。販売エリアは194の国と地域に及ぶというが、いずれの地域でも価格と性能とのバランスがとても良いと評価を受けている。よって納期も長期化した状態が続く。