スズキ ジムニー 「図らずも「おしゃれ」になった超本格軽オフローダー」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

図らずも「おしゃれ」になった超本格軽オフローダー

2021.2.23

年式

2018年7月〜モデル

総評

基本的には「超本格的な悪路走行性能を本当に必要とする人のための車」ではあります。しかしそこは過剰に気にせず、「ファッションとしてジムニーを選ぶ」というのも、決して悪い話ではありません。車に限らず「本格的なプロ向けの道具」というのは、アマチュアが使ってもやはりその品質の高さを実感できるものですし、なにより「カッコいい」ですからね！

満足している点

悪路や雪道を日常的に走るユーザーにとっては、「小さな車」のなかでは世界トップクラスといえるその走破性が大きな魅力です。また悪路はたまにしか走らず、主に市街地を走るというユーザーにとっても、先代より改善された乗り心地と、新たに採用された先進安全装備、そして何より「素晴らしいデザイン性」に満足できるはずです。

不満な点

ジムニーのことをよくわかっていない人が、おしゃれなイメージだけを目当てにこの車を買ってしまうと、一般的な軽自動車とはずいぶん違う舗装路での乗り味に「あれっ？」と感じるかもしれません。また大人気ゆえ、新車を注文しても納車までにずいぶん時間がかかってしまうのも、ある意味問題です。

デザイン

5

先代のやや丸みを帯びたフォルムから、現行型は完全に直線基調なフォルムへと大胆に変更。開発者に尋ねたところによれば「おしゃれを狙ったものではなく、あくまで機能性を追求した結果、直線基調になった」とのことですが、そのスクエアなボディ形状は結果として妙におしゃれな、都会でも大いに映えるニュアンスに。インテリアも同様に機能性をとことん追求した結果、皮肉にも「道具としての美しさ」が生まれてしまっています。

走行性能

5

悪路の走破性についてはもう言わずもがなで、これはもう5点満点。そして舗装路においても、インタークーラー付きターボエンジンは余裕あるパワーとトルクを発生します。そして最上級グレードおよび「スズキ セーフティ サポート装着車」については先進安全装備も充実しているため、安心して高速道路等を走ることができます。

乗り心地

3

悪路における走破性を最重要視したフレームおよび足まわりの構造を採用しているため、舗装路での乗り心地は「快適！」というほどではありません。しかし先代モデルまでと比べれば「まずまず快適」という乗り心地を、舗装路でも披露してくれます。

積載性

4

後席まできっちり4人が乗車するとさすがにラゲッジスペースは狭めとなり、大きな荷物を大量に積むことはできませんが、日々の買い物等には問題ありません。しかし2名乗車までであれば何ら問題はなく、ラゲッジスペース床面の「ラゲッジボックス（XC、XLのみ）」や防汚タイプのラゲッジフロア（こちらもXC、XLのみ）と併せ、使い勝手は上々です。

燃費

3

ジムニーのWLTCモード燃費はMT車が16.2km/Lで、AT車が13.2km/L。オフロード志向の設計ですので、省燃費性能を追求している一般的な軽自動車よりはどうしても悪い数字となります。しかしMT車であれば、カタログ値に比較的近い燃費をマークできるでしょう。

価格

4

売れ筋である最上級グレード「XC」の4速AT車は車両価格187万5500円と、軽自動車としては若干お高め。しかしジムニーならではの高度な諸性能から考えると「妥当なプライス」と言えます。同じXCでも4速ATではなく5MTを選ぶか、中間グレードのXLを選べば、もう少しお手頃価格でイケます。