日産 スカイライン 「V36はスカイラインと呼べるのか?」のユーザーレビュー

ひび ひびさん

日産 スカイライン

グレード:350GT タイプS(AT_3.5) 2006年式

乗車形式:マイカー

評価

3

走行性能
4
乗り心地
4
燃費
2
デザイン
4
積載性
4
価格
5

V36はスカイラインと呼べるのか?

2021.12.3

総評
今時V36のレビューの需要があるのか分からないけど、この11月は私の結婚15周年記念。私の結婚式翌日にデビューしたV36スカイラインも登場後15年。そんな私がV36を購入して5年で8万kmという何となく切りのイイ所で自分の愛車を語ってみようかと記念投稿w。
よくラグジュアリー方向に振ったV系はスカイラインにあらずなんて意見も聞くワケですが、スカイラインって型によって『ラグジュアリー寄り』と『スポーティ寄り』を行ったり来たりと性格的な振れはあったにせよ、素のスカイラインというクルマの根底的なコンセプトはハコスカの頃から一貫して『オッサンの為の走りの良い立派なセダン及びクーペ』というものだったように思います。

で、実際の使われ方においても、モータースポーツに憧れた若者がガチで走りを極めるというキャラクターでは無かったと思うんです。まぁハコスカ、ケンメリ、R32~R34のGT-RやR30RSやR31GTS-Rなどの役物のイメージやモータースポーツでの活躍が鮮烈過ぎて『スポーツ』というイメージが強いのは否定できませんが。

あとはスカイラインといえば『GT』というサフィックスですよね。グランドツーリング。高性能を、走るための余裕として生かし、長距離を快適に愉しむ為のドライバーズカー。歴代のスカイラインって、そういうクルマだったと思います。
そういった『役物でない素のスカイライン』という観点からみると、開発の経緯や成り立ちは兎も角として、出来上がった製品として見てみればV36ってクルマそのものは何だかんだスカイラインの定義に当てはまっているんじゃないかと私は思うんですよね。まず『オッサンの為の走りの良い立派なセダン及びクーペ』という部分はクリアしている。

でこのクルマ、1日で600km、700kmといったロングドライブをしようが、まだ運転していたいといった感覚を覚えることが結構あります。それってまさに『GT』としての真骨頂なような気がするんです。
自然な感覚のステアリングも、余裕のある動力性能も、刺激的ではないけど正確な操縦性も、きちんと決まるドラポジも、全ては『GT』として長距離を快適に愉しむ為のものなんだと思います。…まぁあくまで私見なんですけどね(笑)

そもそもが、ただハイパワーなFRセダンに乗ってみたいという理由で、あまり拘りなく繋ぎ感覚で選んだこのV36スカイラインですが、この緩急自在に走れる性格。街中から長距離まで、ぼっちドライブから家族での行楽まで、高いレベルで卒なくこなす汎用性。なおかつ現代求められる快適性は満たしつつも古き佳き時代の乗り味を微かに感じさせてくれるこのスカイラインというクルマが何だか代えがたいものになりつつあるように感じています。

但し個人的に満足度は高いものの、お勧め度と言われれば…燃費の悪さや経年時の故障も考えると☆☆☆程度でしょうか。

満足している点
しっとりとして重めで自然、なおかつ路面感覚を伝えてくる油圧パワーステアリング。
クイックに曲がりたがるタイプではないが、舵角に対して正確に反応してくれる操縦性。
低速域でも車格に対し充分なトルクを発生しながら7,500rpmのレブリミットまで、
回転数でパワーを紡ぐ楽しみを味わえる、自然吸気大排気量ポート噴射エンジン。
シンクロレブコントロールによりスポーツ走行時に手動変速を受け入れてくれるA/T。
ベストなドラポジが取りやすく長距離走行でも疲労を感じさせないシート。広くは無いが
大人4人が快適に座ることが出来、そこそこ荷物も載せられる実用的なパッケージング。
HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)がきちんと考えられている操作系。
14年10万キロ走ってもあまりヘコたれ感を感じさせない頑丈そうな車体。

不満な点
渋滞にハマると6km/ℓ前半まで落ち込む燃費はこのご時世、流石に少々後ろめたい。
内装のフィニッシュレベルはレクサスのライバルを名乗るのにはおこがましいレベル。
車両の運動性能に対しシートのホールド性がやや不足。特に上半身側。
荒れた路面で、ドスドスとばね下の重さを感じさせる感触が伝わってくる乗り心地。
電装系は壊れやすいとまでは言わないが、外車ほどではないにせよ少々弱い気がする。
前期型のナビは2015年版で地図更新が終了、道なき道を走る事が多くなってきた。

デザイン

4

【外装】



灯火類やグリルといったディテールに凝るようになった今時のクルマと比べると、明らかに一昔前のクルマと感じるようになりました。けれどもシンプルでこれはコレで個人的には良いと思っています。全長に対し全幅がやや狭い気がしますが、取回しとのトレードオフとなるので悩ましいところです。
ホイールアーチ後端からフロントドアのオープニングラインまでが長く、リヤのホイールアーチ上端にCピラーがしっかりと乗っているFRらしい伸びやかなプロポーションは大好きです。
個人的には角ばったシャープなスタイリングの車が好みなのですが、このクルマのライトからフェンダーにかけての稜線の曲面構成は見ていて飽きません。



【内装】
ぱっと見はまぁまぁ良い感じなんですが…重要度の低いパーツのコストを極端に削った印象があって、例えばダッシュボード上のサブスピーカー非装着車のメクラ蓋などはダッシュボードとは質感の違う見るからにペラペラのプラスチック蓋だったり、スノーモード切替スイッチやメーターナセルのスイッチなど重要度が低そうな部分のスイッチの触感はここまでコスト抜くかって質感だったり。このフィニッシュレベルでレクサスのライバルを名乗るのはちょっとおこがましい気がします…。

その一方で本アルミのフィニッシャーパネル貼ってみたり、メーター一体型のチルトステアリングを採用し視認性を確保したり、チタン製のパドルシフトを採用したり(但し操作感はイマイチ…)、操作系に関しては入念に練りこまれていたりと、コストが掛かっている部分とコストダウンしている部分が混在したりしているのは何かとおもろいところです。っていうかコストダウン、頑張ったんだろうな。。

ウチの個体は内装色はタイプSでは珍しいエクリュ色なんですが、個人的にはスポーティイメージの強いブラック内装の個体が欲しかったです。但し明るいエクリュ内装は家族には非常に好評です。

走行性能

4

【エンジン】
エンジン音は、日産V6独特の不機嫌そうな不況和音。高回転型のVQ35HRは相対的に低速トルク不足などと良く言われますが、車重に対して排気量の余裕がある為、トルク不足は感じません。というか直噴エンジンにありがちな硬質な燃焼音とはまた違うまったりした回転感が気持ちいいです。

尚且つ5,000回転を越した辺りから、ビリビリとした振動感が収束してレブリミット7,600rpmまでパワー感の頭打ちを感じさせず綺麗に吹けてゆく印象、ホンダVTECのようなドラマチックな炸裂感や官能性こそありませんが、高回転型NA特有の回転でパワーを紡ぎだす気持ちよさは充分堪能できます。

実馬力的には300馬力にも大きく欠けると言われるこのエンジンですが、私の素人ドライビングでも筑波2000の裏ストでメーター読み180km/h弱、実測170km/h弱まで引っ張れるだけの加速力はあるので、個人的には十分満足しています。




【トランスミッション】
設計が旧いと言われる前期型の5A/T(初出は2001年のF50シーマ)ですが、ギア比設定が5MTと同じような感覚なので、ワインディングではマニュアルモードで気持ちよく走れます。シフトダウンも素早い。枯れた設計で、過酷に使われる商用車(NV350キャラバン)等への搭載実績もあるので、耐久性も担保されているのではないでしょうか。

A/Tの欠点としてはマニュアルモードでのシフトアップはワンテンポ遅れる印象がある事、Dモードで大きくアクセルを踏んだ時に、一瞬キックダウンを躊躇する挙動が出る事、メーター読み時速50km/h弱まで3速で引っ張るセッティングの為、40km/h程度で街中をのんびり流すのが苦手な事くらいでしょうか。そのくせ5速には時速55km/h程度でシフトアップするシフトスケジュールもちょっと変です。

欲を言えば、セダン4WAS非装着+VQ35HR+6M/Tの仕様があって欲しかったですね。無いものねだりをしても仕方ないですが、やはりM/T特有の駆動力の直結感が備われば更に面白いスポーティセダンになっただろうなと考える事は良くあります。


【操縦性】
今時珍しい油圧パワステ車。重めのアシストと、路面感覚を伝えながらもしっとりとした感触はいいものです。足回りの支持剛性が高い感じがステアリングを通し感じられるのも好みな点です。

曲がりの性能に関しては、基本的に後輪はどっしりというタイプで、喜々として曲がりたがる性格では無く、重い印象は受けますが舵角には正確に反応してくれます。サーキットなどでの限界域ではジリジリとリヤが巻き込むような挙動を感じることも出来ますが、公道ではとてもじゃないけどでは怖くてそこまで踏み込めません。タイプSには標準装着のビスカスLSDがどこまで効いているのかは分かりませんが、私のヌルい走り方でトラクション不足を感じる事はあまりありません。

VDCはやや唐突に効く印象で、もうちょっと丁寧な制御をしてくれればなぁと感じることもあります。そのVDCはスイッチオフだけでは完全に解除できず最小限の介入はしてくる模様で、プロのレーサーの方に運転してもらい、筑波2000の最終コーナーでステアリングをきっかけにテールを流してみてもらいましたが、ドリフトアングルを維持できず途中で収束してしまいました。

ちなみにFR車の素の操縦性を味わいたかった為4WASは非装着仕様を選んでいます。



乗り心地

4

柔らかいか硬いかと聞かれれば硬めな印象。ただやや弾力的な感触があるのはブッシュ類の緩さゆえか車重ゆえかといった感じで、とことんソリッドな感覚というものとはちょっと違う感じです。あとリヤサスのばね下が重い印象で、不整路面などに差し掛かると揺すられ感というか、リヤサスがバタついている感触がある。この辺の出来に関しては次モデルのV37でかなり進化した感じを受けました。

良路においては比較的フラットで重厚感のある乗り心地ですがロードノイズはゴーゴーと喧しいです。これはコンフォート性能に優れているというタイヤを履いてもあまり改善されませんでした。


積載性

4

トランク容量は430ℓと、このクラスとしてはそこまで大きくはないけど、取りあえず4人家族でのキャンプ旅行する程度の荷物は積める程度の容量は確保されているので問題は感じません。

燃費

2



燃費は普段の通勤、朝の往路で8km/ℓ弱、夜の復路で9km/ℓ。通勤平均で8~8.5km/ℓ。日中の渋滞路にハマると6km/ℓ前半程度まで落ち込むこともあります。走行性能で触れた通り、メーター読み50km/h弱まで3速のまま引っ張る為、街中走っていると妙に回転数が高く街中燃費の悪さの原因の一つになっているような気がします。5A/Tのオーバーオールギアレシオの低さが禍いし高速巡行時のエンジン回転数が高く、高速燃費も11~12km/ℓ弱までしか伸びません。やはりもう1速は欲しい印象です。HVなどで20km/ℓが当たり前なご時世ともなってきますと、少々肩身が狭いのは事実ですね。

価格

5

2016年11月、9年落ちの中古車でトヨタ系列ディーラー中古車センターにて購入。都内在住ワンオーナー走行2.4万km、記録簿多数、車検残1年8か月、延長3年保証で92万円。新車価格が400万円程度したことと、履歴と程度を考慮するとリーズナブルだったかと。2016年当時は低走行1オーナーで程度良好な個体が結構選べる状態だったんですが、2021年現在はセダン/クーペ共に底値(但しクーペM/T車は高騰)になった印象はあるものの流石に程度の良いタマが激減した印象があります。後継のV37はV36のように値段落ちは早くないようです。

故障経験
エアコンコンプレッサーからのゴロゴロ音←エアコンコンプレッサー交換
タコメーターLED照明切れ←コンビネーションメーターASSY交換
ヘッドライトオートレベライザー不良←レベライザーストロークセンサー交換
ラジエターホースからのクーラント洩れ←ラジエターホースアッパー&ロア交換
ステアリングギアボックスオイル滲み←ラックギアASSY、パワステ高圧側ホース交換

何れも保証対応にて無償修理。現在の不具合は時計のLEDが一部切れているくらい。
ただ電装系が若干弱い印象があるので、これからがどうなるかは少し不安です。

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