マクラーレン アルトゥーラ 「繊細にも大胆にも楽しめるスーパーカー」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

5

デザイン
5
走行性能
5
乗り心地
5
積載性
2
燃費
3
価格
3

繊細にも大胆にも楽しめるスーパーカー

2024.9.25

年式
2021年4月〜モデル
総評
試乗した2025年モデルは従来から大幅アップデートを果たし、新設計のパワートレイン・マウントによって俊敏性や精度が向上したほか、プロアクティブ・ダンピング・コントロール・サスペンション・システムの応答速度が最大90%向上するなど、走りのきめ細やかな部分が煮詰められている印象。電動ハードトップを備えたスパイダーも登場し、クーペはキビキビと攻めた走りに没頭でき、スパイダーは上質なクルージングが魅力的です。
満足している点
こういうクルマに乗る人は運転に自信がある人が多いとは思いますが、それでも夜間に知らない場所へ行った時や、周囲が見えにくい場所での車庫入れなどは難儀する可能性が高いですよね。そんな時に、HDタッチスクリーン・インフォテインメントシステムがセンターパネルに備わり、360度カメラ搭載でクッキリと周囲を映し出してくれるのはどんなに助かることか。試乗中も、ちょうど死角に入ってしまった低い縁石を確認することができ、安心しました。
不満な点
クーペもスパイダーも採用する、上に開くディヘドラルドア。開け閉めする時にカッコよく、映えるところは魅力的ですね。マクラーレンの他のモデルよりも、開けた時にサイドへの張り出しが小さくなっているのもトピックですが、運転席に座り、閉めようとするとなかなかに重いです。スマートに閉めるには、腕力を鍛えておく必要があるかも……。
デザイン

5

クーペモデルもモダンでかっこいいですが、スパイダーは試乗車がカーボンパーツ満載だったこともあり、迫力があってスーパーカー感もアップしていて、とくに目を惹きました。電動ハードトップはわずか11秒という早技ながら、スーッと的確に開閉するのがさすが。インテリアにゴテゴテした装飾がなく、ドライビングに集中できる空間に仕上げられているところも好感が持てます。最近はステアリングにたくさんのスイッチを配置しがちですが、何もないシンプルなステアリングがかえって新鮮でした。
走行性能

5

「エレクトリック」「コンフォート」「スポーツ」「トラック」の4つのドライブモードがあり、「エレクトリック」と「コンフォート」はバッテリー残量が一定以上であれば積極的にEV走行をしてくれます。けれど、それがいかにもな電気の制御を感じさせない、とてもスマートで快適な走り。「スポーツ」にすると、エンジンが存在感をあらわにして心地よい音も聴こえてきます。どちらも楽しめるのが嬉しいところ。
乗り心地

5

パワートレーンやアップデートした技術はほとんど変わらないはずですが、クーペよりもスパイダーの方が上質感のある乗り心地で、GTに近い快適性を感じました。クーペが悪いわけではないのですが、どちらかというとワインディングなどを攻めて走りたくなるような、ひらりひらりとした感覚がクーペの方は強く感じます。同乗者とともにロングドライブを楽しみたい人にはスパイダーをオススメします。
積載性

2

マクラーレンGTのようにゴルフバッグが積めるようなスペースはなく、収納はフロントにあるのみ。大きめのボストンバッグが入るくらいの容量はありますが、ゴルフバッグは先に配送しておく必要がありそうです。室内もドリンクホルダーがあるくらいなので、あまり荷物を持ち込まない方がよいでしょう。
燃費

3

普通充電が可能で、満充電から最大で33kmのEV走行が可能。2024年モデルの31kmから約6%伸びました。また、積極的に発電して走行しながらバッテリーに貯めることも可能で、その場合は「トラック」モードにすると早く貯めることができます。試乗中、1時間ほどトラックモードで走行したら、43%から60%までバッテリー残量が増えました。
価格

3

価格はスパイダーで3650万円。フェラーリのPHEVに比べると少しリーズナブル!? というところですが、F1でも強さを増してブランド力がアップしているマクラーレンだけに、注目する人は多いと思います。また、PHEVということでこれまでマクラーレンを所有したことのない人からの購入希望も増えているとか。新感覚でスーパーカーに乗る人たちに価値ある1台です。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
マクラーレン アルトゥーラ 新型・現行モデル

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