NEW BMW ５シリーズ

Question

BMWの５シリーズのエンジンが新しくなりました。

５２３ではエンジンが２５００CCから２０００CCと小さくなったようです。
当然燃料効率は良くなったのでしょうがその他の改善点、もしくは、乗り味などで犠牲になりそうな点などの
変わった点を教えて下さい。

申し訳ありませんが、専門用語はあまり詳しくないので素人向けのご説明が有り難いです。

Answer 1

排気量の縮小だけでなく、シリンダー数が減りました。従来は６気筒エンジンでしたが新型は４気筒エンジンです。
BMWの売りの一つは、シルキー・シックス、つまり回転の滑らかな直列６気筒エンジンだったのですが、それがなくなるということです。
国産車で５シリーズのライバルと言えば、クラウン、フーガなどですが、いずれもV６エンジンを積んでいますし、１ランク格下のマークX、ティアナもＶ６です。
４気筒２Lと言えば、国産車なら、プレミオ、アリオン、シルフィなど２クラス格下のモデルに積んでいるエンジンと同格ですが、いかにターボで武装しているとはいえフィーリングががさつであることは否めません。
４気筒で十分スムーズ、という意見もありますが、現にＢＭＷの上級モデルには６気筒エンジンが積まれています。やはり高級感では６気筒に及ばないということです。

Answer 2

●ダウンサイジング・ターボ化
エンジンは過給機（ターボ・チャージャ）を付け，排気量を低減しました。これにより，出力（馬力）は先代の525iより少し低くなりましたが，トルクは10%くらい増えました。また最大トルクの発生回転数が1250rpmと低いため，トルクは20～30%アップしたような走りになります。つまり街乗りではとても走りやすくなっています。

ガソリン・エンジンでは，空気を吸うときの損失（＝細い針のついた注射器で空気を吸うときの損失と同じ）がかかります。過給機をつけると，無理矢理，空気を押し込むので，この損失が小さくなり，燃費が良くなります。その結果，従来より50%くらい，良い燃費になっています。これは驚くべきことです。

●走りは？
従来もたいへん優れた操縦安定性（走る，曲がる，止まる）でした。現行モデルは，この走りをさらに改善していますが，技術的には下記の3点が重要です。

(1) フロント・サスペンション … 従来，マクファーソン・ストラット式という方式でした。これでも問題ないのですが，タイヤが大きく上下したとき，車両前方から見たとき，タイヤは垂直状態からやや傾きます。この傾きをさらに小さくするため，ダブル・ウィッシュボーン式を採用しています

(2) 四輪操舵 … 20年くらい前に日産のHICAS（ハイキャス）という方式がありました。これはレーン･チェンジ時，後輪をわずかに左右に曲げる方式です。工場などで使うフォークリフトは，後輪が左右に曲がることで車両の方向を変えますが，これに似ています。
BMWの方式は，これよりさらに進んでいて，前輪の曲がり（操舵角）もわずかに修正します。これにより，自分で思うとおりの操縦が可能になりました。

(3) 8速AT … 小型車は4速ATあるいはCVTが多いのですが，高級車は8速ATの時代になりました。これは従来の6速ATより，変速機の最高段（8速）と最低段（1速）の変速比が15%くらい広がりました。これにより加速はさらに力強く，高速道路では，非常に低いエンジン回転数での走行が可能になりました。特に高速道では，騒音と燃費の改善ができました。

このようにBMWは，従来の高い技術に甘えず，さらに自動車技術の本質について改善しています。よく価格や希少性にBMWの価値があると考えておられる方がいますが，とんでもないことです。高い技術を次々，搭載する真剣な車づくりに魅力があるといえます。

簡単ですが，ご参考になれば幸いです。