「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、BMW アクティブハイブリッド5だ。
BMW アクティブハイブリッド5(2012年:車種追加)
昨年(編集部註:2011年)の東京モーターショーでワールドプレミア(世界初公開)を果たしたBMW 5シリーズのハイブリッドカーが「アクティブハイブリッド5」だ。日本デビューは今春(編集部註:2012年)の予定だが、まずはポルトガルで行われた国際試乗会のレポートをお届けする。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
BMWのハイブリッドカーは、今までに2009年の7シリーズと翌2010年のX6が登場しており、いずれも日本で市販されている。そして第3弾が、2012年春にデビューする「アクティブハイブリッド5」だ。
パワーユニットは、これまでの2車とは異なる。BMWが得意としているストレート6をベースにハイブリッドシステムを構築した。3Lの直6+ターボエンジンは、最高出力306psと最大トルク400Nmを発生。これに55psと210Nmを発生する電気モーターを組み合わせ、システム総合出力では340psと450Nmを得ている。組み合わされるトランスミッションは8速ATで、駆動方式はコンベンショナルなFR。4kmのEV走行が可能とされている。
ガソリン仕様との外観の違いは、まずCピラーとドアシルに装着された「ActiveHybrid5」のエンブレム。また、キドニーグリルはクロームメッキ、マフラーはマットクロームにされている。さらに、外板色もブルーウオーター メタリックを特別に設定している。さらに、見ただけでは分からないが、軽量化のためにエンジンフードやフロントフェンダーをはじめ、ドアパネルなどもアルミ製とされている。
アクセルをOFFにすればコースティングモードに
ポルトガルのリスボンで行われたプレス試乗会で、まずは旧市街地でのEV走行を試す。発進時からエンジンは稼働せずにモーターで駆動する。旧市街の石畳の道を走るハイブリッド車は、石畳からのタイヤ音しか聞こえてこない。上下動もうまく抑えられている。
エンジンが稼働し始めたのは、市街地から高速道路に入ってから。アクセルを踏み込んでいくと、直6エンジンは6500rpmまでスムーズに回転を上げる。カタログ上の最高速度は250km/h。ゼロ発進から100km/hまでは、わずか5.9秒で加速する。
また、160km/h以下ならアクセルペダルをオフにするたびにエンジンがストップしてコースティングモードになる。アイドリングストップだけでなく、走行中も燃費を稼いでいるわけだ。EUモードで公表されている燃費は、14.3~15.6km/L。高速道路で100km/h巡航すると、エンジン回転数はDレンジで1500rpm。エコ性能もスポーツ性能も、どちらもハイレベルで両立させているのは、さすがにBMWだと感心してしまった。
ただし、トランクは少し狭い。トランクとリアシートの間に96個のバッテリーセルを持つリチウムイオン バッテリーが搭載されているので、奥行きが720mmしかない。ガソリン仕様の5シリーズでは、トランクの奥行きは1150mmある。その差は430mmもあるから、実用面ではまだ改良の余地はありそうだ。
日本仕様は2012年春ごろに導入予定で、その頃にはレクサス GS450hもデビューするはずだ。果たして、日独のミドルクラス ハイブリッド車バトルはどちらに軍配が上がるのか。いまから楽しみだ。
BMW アクティブハイブリッド5(日本仕様) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4910×1860×1475mm
●ホイールベース:2970mm
●車両重量:1960kg
●エンジン:直6 DOHCターボ+モーター
●総排気量:2979cc
●最高出力:225kW(306ps)/5800rpm
●最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1200ー5000rpm
●モーター最高出力:40kW(55ps)
●モーター最大トルク:210Nm(21.4kgm)
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・69L
●JC08モード燃費:13.6km/L
●タイヤサイズ:245/45R18
●当時の車両価格(税込):850万円
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