新型ジープ ラングラーは軟派になった感を否めずも旧型オーナー納得の進化
掲載 更新 carview! 文:山崎 友貴/写真:FCAジャパン
掲載 更新 carview! 文:山崎 友貴/写真:FCAジャパン
オフロードでの性能については、当然申し分ありません。デフロックやスタビライザー解除機能を付加してオフロード性能に特化した「ルビコン(日本導入時期未定)」は、最低地上高を277mmまでアップし、クロールレシオを最大84:1に下げています。併せてスリーアングルや、タイヤのトラベル量を向上させるなど、ジープならではの悪路走破性の追求には余念がありません。
従来型は取り回しという点では悪く、狭い林道に入るのを多少躊躇しました。まるでレネゲードのように扱えるJL型であれば、積極的に悪路に突っ込んでいきたくなる気がします。日本ではクロスカントリー4WDに乗っていても、本格的なオフロードやコースを走る人は少ないのですが、こうした潜在能力を持ち合わせていることは、災害時や異常気象時などにおいて心強いものです。
新型ラングラーは、より幅広いユーザーへのアプローチも忘れていません。2Lダウンサイジングターボの搭載もさることながら、ラングラーでは初めてフルタイム4WDモードを備えたパワートレーン「フルタイムオンデマンド4×4システム」が採用されました。旧来からのクロスカントリー4WDユーザーの中には、その必要性を疑問視する人もいるでしょう。ですが、2WDと4WDの切り替えタイミングや、パートタイム4WDの特徴的な挙動を理解していないユーザーには、どんな路面状況でも使えるフルタイム4WDの存在はメリットが大きいはずです。
さて、ぜひお伝えしたいのが、新型ラングラーの燃費性能です。従来型の3.6L V6搭載車はJC08モード燃費で7.5km/Lでしたが、それが一気に9.5km/Lに向上。2Lターボ車にいたっては、11.5km/Lというおおよそラングラーらしくない燃費を実現しています。
旧型オーナーから見れば、軟派になった感も否めませんが、全体の質感アップ、運転しやすさの向上などを実現したJL型がさらに多くのユーザーをジープに取り込むことは間違いないでしょう。SUVのように乗れるようになったことは、決して悪いことではないと思います。またリアバックアップカメラやブラインドスポットモニターといった安全装備が付加されたことも、ラングラーに新しい価値を与え、次世代のジープはどうあるべきかの道筋を示しました。
気になるのは価格ですが、当初囁かれていた50万円アップまではいかないようです。全体の品質向上や新メカニズムの追加、低燃費化を考えれば、納得のいく範囲での値上げとなりそうです。最後になりましたが、これまでアンリミテッド(4ドアボディ)シリーズのみのラインナップでしたが、伝統の2ドアモデル(ラングラー・スポーツ)が、受注生産ながら復活したこともファンには喜ばしいトピックとして付け加えておきたいと思います。
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