現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 池沢早人師に訊くスーパーカーブームのウラ側「第10回 特別対談:“潮来のオックス”と新旧ポルシェを語る」

ここから本文です

池沢早人師に訊くスーパーカーブームのウラ側「第10回 特別対談:“潮来のオックス”と新旧ポルシェを語る」

掲載 更新
池沢早人師に訊くスーパーカーブームのウラ側「第10回 特別対談:“潮来のオックス”と新旧ポルシェを語る」

池沢早人師 × 関根英輔

ポルシェはどの時代でもポルシェである!

池沢早人師に訊くスーパーカーブームのウラ側「第11回 特別対談2:“潮来のオックス”と新旧フェラーリを語る」

池沢早人師先生と約半世紀に渡って交流を続ける関根英輔さん。“潮来のオックス”として『サーキットの狼』作中にも登場する関根さんは、日本屈指のスーパーカーコレクターとしても名を馳せる。

共にスーパーカーを愛し、スーパーカーと過ごしてきたふたりは、この約半世紀に触れてきた膨大な数のスーパーカーについてどのような想いを抱いているのか?

今回から、スーパーカー界2大レジェンドの特別対談を3回にわけてお届けする。第1回はふたりが愛してやまないポルシェについて。過去から現在までスーパーカーの中心的な存在として活躍する「新旧ポルシェ」に対する熱い想いを語っていただく。

ふたりの慣れ染めはポルシェ911から始まった

池沢先生と関根さんの出逢いは、44年前開催の富士スピードウェイ走行会へと遡る。

池沢早人師(以下、池沢):関根さんと初めて会ったのは1975年の富士スピードウェイだったよね。『サーキットの狼』の連載が始まってすぐの頃。その時ボクはディーノ246GTが壊れちゃって、マツダ・サバンナGTで参加していたんだ。

関根英輔(以下、関根):漫画家の人だとは知っていたけど、走行会中に話はしなかった。でも、そのあと仲間たちとの打ち上げで御殿場のドライブインに行ったとき、偶然にも隣に座ったんだよね。そこで意気投合して遊ぶようになった(笑)。

池沢:その時の走行会で関根さんはRSR仕様にした緑のポルシェ911カレラに乗っていたのを今でも覚えている。関根さんは『サーキットの狼』作中では“潮来のオックス”として登場しているからランボルギーニのイメージが強いけど、本当は熱狂的なポルシェフリーク(笑)。

関根:ポルシェはスタイルも個性的だけど性能も素晴らしい。フェラーリやランボルギーニと争えるのに実用性が高いからね。池沢君もすぐにポルシェ930ターボに乗り換えたよね?

池沢:そう、1975年のモーターショーに出ていた930ターボにひと目惚れして、その翌年には愛車になっていた。でも、当時の930ターボは絵にかいたような「ドッカンターボ」でね(笑)

関根:そうそう。立ち上がりは悪いけどそこからの迫力はあったね。独特のハンドリングだったけど、それが「ポルシェ930ターボ」だと思わせる魂があった。

池沢:それに爆発的に加速するのにブレーキが弱い(笑)。今でこそ「ポルシェ=ブレーキが効く」が常識になっているけど、当時のポルシェはエンジン性能にブレーキが追いついていなかった。

関根:当時のポルシェには時代を変えていこうとするチャレンジ精神が感じられたよね。発展途上だったことは間違いないけど、その熱意がハンドルから伝わってきた。

池沢:ボクの930ターボは4速MTで0-100km/h加速は5秒台。でも止まらないクルマ。今だから言えるんだけど、ギヤがワイドレンジだから気持ちよく2速で加速していたら、信号で止まれなくてオカマを掘った(笑)。軽いやつだけど3回も!(笑)

関根:今では考えられない(笑)。でも、ポルシェは空冷エンジンと水冷エンジンで世代を分けることが多いけど、ボクのなかではブレーキで世代が分かれる気がする。

池沢:同感。ポルシ930ターボの後に85yと88yの911カレラを手に入れたんだけど、この辺から少しずつマシになり、タイプ964からブレーキが急激に良くなって安心して止まれるようになったと思う。ここからポルシェのブレーキ神話が始まったんだと思うし、サーキット走行でもエンジンの実力をブレーキが受け止められるようになった。

関根:走りに対してブレーキが伴ったタイプ964からポルシェは新しい時代になったんじゃないかな? どんなに速いクルマでもブレーキ性能が弱いと走っていて楽しくないしね(笑)。

水冷へのスイッチは正常進化。ポルシェが魂を売ったワケではない!

タイプ993を最後に空冷エンジンを捨てたポルシェに当時はバッシングもあったが、おふたりは水冷へと移行した新たな時代をどう受け止めているのだろうか?

関根:決して空冷を古いとは思わない。それがその時代ではベストであった選択だし、時代に合わせて水冷というシステムを取り入れただけ。ポルシェはどの時代でもポルシェであり時代の頂点を走り続けているんだと思う。ポルシェと言う個性は空冷エンジンだけじゃないからね。

池沢:水冷になってもポルシェはポルシェであり続けている。確かに996から大きく変わったとは思うけど、違うクルマになったという印象は全くない。

関根:個人的にはこの911 GT3 RSが気に入っている。排気音は大きいけど乗りやすいよね。誰でも乗れるって感じ。でも初期の930ターボみたいに「自分だけが乗れる」という特別感が無いのは寂しいかな。カレラGTは今でも乗る人を選ぶけど(笑)。

池沢:ボクは996のGT3に乗っていたとき、水冷という違和感を全く感じなかった。逆に水冷になったからこそ、高回転域での太い音の魅力が大きくなったんだと思う。

関根:今のポルシェはエンジンよりもブレーキ性能が素晴らしい。このGT3 RSのカーボンブレーキは冷間時でもバシッと止まる。これぞポルシェのテクノロジー(笑)。

池沢:ポルシェはNAでもターボでも走りが楽しめる。ユーザーの好みでチョイスできるふたつの選択肢はどっちもアリだからね。昔のように「ターボが欲しいけど、諦めてNAに乗る」って感じではないからね。

関根:ナローポルシェの時代は200km/h前後がシビアで直進安定性は最悪だった。でも、今のポルシェはアクセルに軽く足を乗せていると気づかない間に200km/hを超えちゃってるからね。これが一般道なら一発で免許取り消し。

池沢:今のポルシェは誰でも簡単に運転できる。しかも素のままサーキットで楽しめるところは昔も今もポルシェの美点であるよね。ポルシェらしさが健在なのは素晴らしいこと。最近は新しいタイプ992にも興味が湧いてきて、先日のアンベール(編注:国内発表会)は関根さんと覗いて来た(笑)。

関根:池沢君はかなり興味津々だったけど、買っちゃうんでしょ?

池沢:今、タイプ991のカレラSで自己最長所有記録の7年を達成しているんだけど、992にGTSが出たら・・・我慢できないかも(笑)。ポルシェはスーパースポーツでありながらも、リヤシートにゴルフバッグを積んで遊びに行ける実用性もあるしねぇ。

関根:ポルシェはいつの時代も同じ匂いがする。フェラーリやランボルギーニは時代によって大きく変化するけど、ポルシェは普遍だからね。そのイメージが硬派であり、パラノイアと呼ばれるマニアが消えない理由なんだと思う。

池沢:近代ポルシェは空冷からの「変化」ではなく「進化」。フェルディナント・ポルシェ博士の「哲学」と「魂」は今でも変わらない。ポルシェは簡単に魂を売るようなメーカーじゃないからね。

TEXT/並木政孝(Masataka NAMIKI)

PHOTO/降旗俊明(Toshiaki FURIHATA)

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

フェラーリはレッドブルに近づいた? ルクレール、マイアミGPのスプリントレースで確信
フェラーリはレッドブルに近づいた? ルクレール、マイアミGPのスプリントレースで確信
motorsport.com 日本版
ブリッツがOBDモニターシリーズ製品各種で、スープラなど3車種の適合と表示内容を確認
ブリッツがOBDモニターシリーズ製品各種で、スープラなど3車種の適合と表示内容を確認
レスポンス
〝世界一美しいクルマ〟に選ばれた「DS4」の独創的なデザインと滑らかな走り
〝世界一美しいクルマ〟に選ばれた「DS4」の独創的なデザインと滑らかな走り
@DIME
「あれ、使われてるの?」 山道に現れる「緊急退避所」は昭和の遺物なのか そもそもどんな仕組み?
「あれ、使われてるの?」 山道に現れる「緊急退避所」は昭和の遺物なのか そもそもどんな仕組み?
乗りものニュース
F1マイアミGPのタイヤ選択は保守的すぎ? フェルスタッペンやサインツJr.不満
F1マイアミGPのタイヤ選択は保守的すぎ? フェルスタッペンやサインツJr.不満
motorsport.com 日本版
「自動車税」そろそろ来た? “恐怖の手紙”「納税通知書」の季節… もし支払わないとどうなる? 早めに処理したい理由とは
「自動車税」そろそろ来た? “恐怖の手紙”「納税通知書」の季節… もし支払わないとどうなる? 早めに処理したい理由とは
くるまのニュース
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年4月28日~5月4日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年4月28日~5月4日)
Webモーターマガジン
【SUPER GT Round2 FUJI GT 3Hours RACE】3号車Niterra MOTUL Zが好スタートから逃げ切り優勝!300クラスは88号車JLOC Lamborghini GT3がポールトゥウィン
【SUPER GT Round2 FUJI GT 3Hours RACE】3号車Niterra MOTUL Zが好スタートから逃げ切り優勝!300クラスは88号車JLOC Lamborghini GT3がポールトゥウィン
Webモーターマガジン
シビック・タイプR-GT、初ポール獲得も優勝はお預けに。想定以上の速さ見せる中、悔やまれるトラブルとあと一歩だったロングラン
シビック・タイプR-GT、初ポール獲得も優勝はお預けに。想定以上の速さ見せる中、悔やまれるトラブルとあと一歩だったロングラン
motorsport.com 日本版
スマホは磁石でくっつける! コンパクト&簡単脱着「マグネットホルダー」3選!【特選カーアクセサリー名鑑】
スマホは磁石でくっつける! コンパクト&簡単脱着「マグネットホルダー」3選!【特選カーアクセサリー名鑑】
レスポンス
『西部警察』仕様になる前のお姿、アオシマ製「R30スカイライン」前期型!名作キット列伝・第2回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
『西部警察』仕様になる前のお姿、アオシマ製「R30スカイライン」前期型!名作キット列伝・第2回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
LE VOLANT CARSMEET WEB
【角田裕毅F1第6戦展望】高速区間でのアップデート効果に期待も、“少し自信を持ちすぎた”SQ2は15番手に終わる
【角田裕毅F1第6戦展望】高速区間でのアップデート効果に期待も、“少し自信を持ちすぎた”SQ2は15番手に終わる
AUTOSPORT web
【途中経過】2024年スーパーGT第2戦富士 決勝1時間半後
【途中経過】2024年スーパーGT第2戦富士 決勝1時間半後
AUTOSPORT web
【MotoGP】劇的勝利の後の苦戦ビニャーレス&アプリリア、その原因がテストで判明。セカンドバイクの“品質管理”問題と示唆
【MotoGP】劇的勝利の後の苦戦ビニャーレス&アプリリア、その原因がテストで判明。セカンドバイクの“品質管理”問題と示唆
motorsport.com 日本版
50歳以上の“サーキットの狼“世代には懐かしい!? 伝説のイタリアンスーパーカー「デ・トマソ パンテーラ」ってどんなクルマだった?
50歳以上の“サーキットの狼“世代には懐かしい!? 伝説のイタリアンスーパーカー「デ・トマソ パンテーラ」ってどんなクルマだった?
VAGUE
三菱「パジェロ復活!?」のウワサ… どんな人が気にしてる? 本格四駆を熱望!? 販売店に寄せられる声とは
三菱「パジェロ復活!?」のウワサ… どんな人が気にしてる? 本格四駆を熱望!? 販売店に寄せられる声とは
くるまのニュース
廃部寸前だった東京農工大学自動車部が不死鳥のごとく復活! 耐久レースに初参戦にもかかわらず見事初優勝を飾りました
廃部寸前だった東京農工大学自動車部が不死鳥のごとく復活! 耐久レースに初参戦にもかかわらず見事初優勝を飾りました
Auto Messe Web
エンジン始動後2秒で起動!KEIYOから録画機能のないシンプルなデジタルバックミラー「AN-DM001」が登場
エンジン始動後2秒で起動!KEIYOから録画機能のないシンプルなデジタルバックミラー「AN-DM001」が登場
@DIME

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

707.41100.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

24.8634.5万円

中古車を検索
レジェンドの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

707.41100.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

24.8634.5万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村