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マツダMX-5(ロードスター)30thアニバーサリー 試乗 素の良さを引き出す方法

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マツダMX-5(ロードスター)30thアニバーサリー 試乗 素の良さを引き出す方法

もくじ

ー 30年に渡り100万台以上が売れたロードスター
ー 30周年を祝うには少し物足りない特別仕様
ー アルカンターラが張られ高級感が漂う車内
ー オールドスクールだからこそ夢中になれる
ー 30周年を祝う専用オプションも用意
ー 優れたMX-5を好みで仕上げる楽しさもアリ
ー マツダMX-5(ロードスター)30thアニバーサリーのスペック

画像 ND型ロードスターと初代NA型

30年に渡り100万台以上が売れたロードスター

マツダMX-5(ロードスター)に特別仕様車が追加された。これまでもロードスターは、特別仕様車が多いことで有名。先代もその前も。世界的にリリースされているものを合わせると50種類くらいはあるようで、そのすべてが限定生産というわけでもない。その中には今回の試乗車のように、記念モデルも含まれている。

英国の場合、1991年にマツダ787Bがル・マン24時間レースで優勝したことを記念し、特別塗装が施されたマツダMX-5ルマンというグレードも存在していた。その特別仕様車は、さらに別の特別仕様車へも派生した。これまで30年にわたって、100万台以上のMX-5やミアータ、ロードスターが生産され続けていることにも驚かされる。

このマツダMX-5 30thアニバーサリーで用意されるボディカラーは1色のみ。マツダがレーシング・オレンジと呼ぶ、鮮やかなカラーだ。エクステリアに合わせてインテリアにも手が加えられ、レカロ製のシートが据えられ、ダッシュボードや操作スイッチ類などは特別仕立て。

ほかにもレイズ製の鍛造アルミホイールを履き、フロントブレーキはブレンボ製のブレーキキャリパーが装着される。その色はボディと同じオレンジ色。もちろん、控えめながら30thアニバーサリーのエンブレムがボディを彩る。

30周年を祝うには少し物足りない特別仕様

一方で、メカニカルな部分では通常の2.0ℓスポーツ・グレードと大差はない。マツダオリジナルのスポーツサスペンション・スプリングにビルシュタイン製のダンパーが組み合わされ、エンジンルーム内にはストラットタワーバーが追加されている。トランスミッションは6速マニュアルで、ヘリカル・リミテッドスリップデフを装備するのは2.0ℓモデルと同じ。

低ブースト圧のターボが装備されていたりはしない。車高もそのままだし、ファイナルドライブレシオが変更されていたり、タイヤがハイグリップな銘柄に変わっているわけでもない。これだけ見ると、増加分の価格に疑問を持ってしまう読者もいるだろう。

実際、装備が充実したオレンジ色の2.0ℓのマツダMX-5ではある。例によって素晴らしいクルマだ。一方で30周年という記念すべき特別仕様車に、記念碑として特徴づけるのに充分な特徴を持たせなかったことは残念でもある。

マツダMX-5は、常にスポーツカーとしての優れた可能性を備えてきた。結果、オーナーはパワートレインやサスペンションなどのモディファイを楽しんできたし、英国の場合、エンジンを載せ替えるようなエンスージャストさえいる。クルマに隠された実力を引き出し、一般道へと開放するために。

そんな中で特別仕様車は、MX-5に興味を持っていないようなひとへも、注目を集めるキッカケにもなり得る。新しいボディ色を設定しただけでは、納得できないのはわたしだけではないだろう。誕生日プレゼントのように30thアニバーサリー・モデルを特別なクルマに仕上げる方法は、実は他にもある。しかも、マツダのショールーム内で解決できることだったりする。

アルカンターラが張られ高級感が漂う車内

4代目となるマツダMX-5(ロードスター)が2015年に英国へ上陸した時、われわれは10点満点中9点という、とても高い得点を与えた。歴代のMX-5の中でも、軽量で純粋な仕上がりは、運転を楽しめるクルマとしての基礎が整っており、2019年の今日まで改善を重ね続けている。

昨年、マツダは発表当初よりパワーで勝り、回転フィールにも優れた2.0ℓエンジンを英国でリリースしている(日本では1.5ℓのみ)。インテリアや装備の面でもアップデートされ、この30thアニバーサリーの魅力を高めることにもつながっている。オレンジ色のボディが気に入らなくても。

同じくオレンジ色のパイピングが入った、スウェード調アルカンターラ仕上げのレカロシートは素晴らしい。わたしには少々サイドサポートの幅が狭く感じられたが。アルカンターラはシフトノブのゲートカバーやハンドブレーキ、ダッシュボードにも用いられている。エントリーグレードではプラスティックが目立つ特別感のないインテリアだが、30thアニバーサリーには高級感が漂う。

2.0ℓエンジンは、低回転域ではややダルでスポーティさには欠けるが、回転フィールは良質で、4000rpmを超えた当たりから性格が変化。2速や3速では、ホットハッチ並の鋭い加速も味わうことができる。レブリミットは7500rpmに設定され、マニュアル・トランスミッションの変速フィールも心地よい。

オールドスクールだからこそ夢中になれる

力強さを増したエンジンを、ダイレクトに反応するシャシーが引き立てる。先行車両がいなくなる度に、右足に力を込める楽しさを与えてくれ、ビビッドにクルマは反応する。スポーツスプリングとダンパー、レイズ製の軽量なホイールが、小柄で軽量なスポーツカーとして優れた乗り心地とハンドリングを両立。英国の田舎道でも存分に楽しめる。

インテリアや脚まわりの装備が改められたとしても、MX-5はライバルと比較して、最も機敏なわけでもないし、サスペンションが最も硬いわけでもない。それゆえにサスペンションのトラベル量はふんだんで、大きな入力に対しても滑らかに対処してくれる。グリップ力も限界まで路面をがっちり掴み続けるというわけではなく、漸進的に力が抜けていく感じ。穏やかなボディーロールを利用して、外側のタイヤへ荷重をかけていくハンドリング特性は、クルマとの対話を楽しませてくれる。

2019年の2シーター・スポーツの基準で見れば、ドライバーは運転に集中する必要もあるし、ややスキルが求められることは確かだ。マツダMX-5のドライビングは、どちらかといえばオールドスクール。だが、運転に夢中にさせてくれるという魅力では突出している。

ブレンボ製のキャリパーの実力は郊外の開けた道で、それなりのペースで走らせなければわからないが、明確に制動力は強化されている。クルマのグリップレベルとのバランスも良く、一般道レベルのスピードで操るには、相性も良い。ペダルのレイアウトが、もう少しヒール&トウを使った変速向きならなお良いだろう。素晴らしくアナログなスポーツカーを楽しむための、儀式のひとつのようなものだと思う。

30周年を祝う専用オプションも用意

もし一度もマツダMX-5(ロードスター)を所有したことがないのなら、あるいはライバルにも目移りしつつも、30周年という記念にあやかっても良いと思うのなら、お薦めできる1台だ。MX-5のドライビングで得られる体験は、非常に素晴らしい。3万ポンド(408万円)以下で購入できるどんなクルマよりも、別次元と呼べるほどに良い。

トヨタGT86も良いクルマだが、同等の楽しさを得るには、それなりのカスタマイズ費用を要する。あるいはドライバーとの一体感という点でいえば、ケーターハムのローエンド・グレードということになってくる。

加えて、30thアニバーサリー・モデルでなくても、標準のMX-5に設定できる30周年の特別オプションが多数用意されている。恐らく、特別仕様車以下の値段で、同等のドライビングフィールを得ることはできるだろう。またマツダはアフターマーケットのパーツでモディファイを前提としているオーナーのために、ディーラー側で取り付けができるアップグレード・キットも用意している。

30thアニバーサリーに装備されているレイズ製とは別の、軽量なBBS製の17インチアルミホイールもあるし、25mmも車高を落とせるアイバッハ製のローダウン・サスペンションキットも選べる。スポーツエグゾーストを装備すれば、刺激的なサウンドが得られる。マツダのサイトでオプションリストを見て楽しんでみるのも悪くない。

優れたMX-5を好みで仕上げる楽しさもアリ

今回の30thアニバーサリー・モデルのプレス発表に合わせて、マツダはMX-5の2.0ℓモデルに、そのローダウン・サスペンションキットにスポーツエグゾースト、BBSのホイールを装備したクルマも準備していた。試乗することも叶ったのだが、明らかに標準モデルと比較して、速くエンジンの回転フィールでも勝り、正確で機敏なハンドリングを獲得していた。低速域での滑らかな乗り味は薄まっていたが、より説得力の高いスポーツカーに仕上がっていた。

車高を下げるというモディファイは、真っ先に思いつくことのひとつ。見た目だけでなく、魅力的なシャシーから一層の可能性を引き出すことになる。もしディーラーで準備しているアップグレード・キットが、ディーラー保証も得られるなら、どのオプションを選択するかは考える必要もない。オレンジ色の特別色は、恐らく最優先にはならないだろう。

マツダMX-5のオーナーズクラブのメンバーにとって、特別仕様車は特別なはず。30thアニバーサリーにアイバッハ製のローダウン・サスペンションを取り付けることもできる。特別仕様車としての価値があることも認めるが、2万8095ポンド(382万円)という金額を払うなら、別の仕上げ方も可能だと思う。

結局のところ、マツダMX-5は良いクルマには違いない。誕生日プレゼントらしく、好みに合わせて選ぶのが良い。ともあれ、30歳おめでとう。

マツダMX-5(ロードスター)30thアニバーサリーのスペック

価格:2万8095ポンド(382万円)
全長×全幅×全高:3915✕1735✕1230mm
最高速度 218km/h
0-100km/h加速:6.5秒
燃費:14.4km/ℓ
CO2排出量:-
乾燥重量:1124kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:183ps/7000rpm
最大トルク:20.8kg-m/4000rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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