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試乗 マツダCX-3改良型 2.0ℓ ガソリン/1.8ℓ 新ディーゼルを評価 

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試乗 マツダCX-3改良型 2.0ℓ ガソリン/1.8ℓ 新ディーゼルを評価 

※改良型のルーフの内装材に関する記述に誤りがございました。訂正してお詫びいたします。

もくじ

『試乗 マツダCX-3改良型 2.0ℓ ガソリン/1.8ℓ 新ディーゼル』すべての画像をみる

ガソリン車を試す
ー どこが新しい? 改良型CX-3
ー お尻がムニュっ シートの改良
ー ガソリン試乗 SUV的ではない(?)走り

ディーゼル車を試す
ー ディーゼル試乗 ムニュっとしないレザー
ー ディーゼル比較 改良型1.8ℓ/従来型1.5ℓ
ー 夜間も歩行者検知/クルコンも全車速追従

試乗車スペック
ー 改良型CX-3 試乗車スペック情報

どこが新しい? 改良型CX-3

2015年2月に国内発売となったマツダのコンパクト・クロスオーバーSUV、CX-3の「大幅改良」が施されて、5月31日から発売となった。その広報車の用意ができたということで、6月初旬、横浜みなとみらい地区を舞台に試乗会が開かれた。

最初に乗ったのはSKYACTIV-G 2.0(写真青)、すなわち2ℓガソリンを搭載するFWDの「20S プロアクティブSパッケージ」というグレードで、車両本体価格は243万円。価格的にも実際にも販売の中核に位置するモデルである。今回、エクステリアの変更はフロントバンパー下部にクロームが追加され、グリルやテールライトの意匠が変わった程度だけれど、全体にたたずまいがキリッとしたように思えるのは、ドアのアウターパネルの板厚が0.05mm厚くなっているという情報による先入観かもしれない。

乗車するにはドアを開けなければならない、ということはあるにしても、試乗車の目視確認のあと、3人のスタッフ全員で前後ドアを開けては閉め、閉めては開け、を繰り返したのは、この板厚増の効果を感覚的に知るためだった。今回の改良ではルーフ部分の内装材まで厚みを2mm増やしたこともあり、その音は、バフンという控えめにして安っぽくないものであった。

リアドアのガラスの厚さも0.5mmアップしているのは、室内の静粛性向上を目的とするものである。とはいえ、ボディ全体の剛性をも高めているのではないか。マツダ自身は特にそのような言及はしていないけれど、ドア開閉音とボディ剛性の関連について、およそ自動車に関心のある者であれば、経験的に何かしらの意見を持っているはずである。この経験のみにもとづくテストを、新型CX-3は好印象を与えつつクリアした。



お尻がムニュっ シートの改良

発売以来わずか3年にして4度目となる今回の改良は「執念を込めた大幅改良」(冨山道雄主査)と表現される。板厚の増加なんていかにもコストアップにつながりそうな手法は、確かに「執念」を込めないと実現できそうにない。現代の自動車づくりにとって最大のテーマはコストダウンである、とさえ言われているのだから。

着座してすぐさま気がつくのは、お尻がムニュっとすることである。フロント・シートのクッションに高減衰ウレタンが新たに採用されたからだ。フロアに振動があっても、乗員には伝えないというスグレモノで、筆者愛用のラップトップ・パソコンを守る「ゼロショック」というカバーの触り心地にも似ている。慣れるまで、座面のウレタンがまとわりつくような感触があるけれど、じきに慣れる。

インテリアではセンター・コンソールがモダンになった。パーキング・ブレーキが電動化されたことにより、手動式の大きなレバーが廃され、アームレストが新たに設けられているのだ。ダッシュボードの人工皮革の面積が微妙に増えて、質感が向上している。

走り始めると、乗り心地がソフトになっている。ダンパー、バネの改良だけではなく、マツダ独自の18インチ・タイヤを新開発してもいる。サイド・ウォールを柔らかくする一方、接地面の剛性をあげて操縦安定性と応答性を確保する、というのが基本的な考え方で、従来型と同じ215/50R18サイズながら、CX-3に特徴的だった細かい路面からの突き上げがなくなっている。小改良でタイヤを新開発するのは異例のことだそうだ。



ガソリン試乗 SUV的ではない(?)走り

ガソリン・エンジンに関しては、より熱効率の高い形状のピストンや、噴射圧力を高めたインジェクターを採用するなどの改良が施され、中低速のトルクアップと実用燃費の向上が図られている。あいにく筆者はCX-3のガソリンに試乗するのが今回初めてで、従来型との比較はできないけれど、車重1250kgのボディを軽快に走らせることができる。

2ℓ直噴ガソリンの最高出力は150ps/6000rpm、最大トルクは19.9kg-m/2800rpmで、自然吸気のナチュラルなレスポンス、トルクとパワーの出方が心地よい。

ホイールベース2570mmのクロスオーバーとしては比較的軽いのは、マツダ自慢の軽量高剛性技術の結晶たるSKYACTIV-BODYの賜物だ。

ややくぐもった排気音が惜しい。これでもうちょっと音がよければ……。というのはないものねだりかもしれない。250万円で快音を発するコンパクト・クロスオーバーSUVがこの世に存在するのか? すぐには思い浮かばない。それでも、もっとスポーティなサウンドを望んでしまうのは、運転感覚がSUVというよりはハッチバックに近いからだろう。

それでいて最低地上高が160mm確保されており、なおかつ立体駐車場に入るコンパクトSUV、というのがCX-3のウリのひとつなのである。いまさらながら。



ディーゼル試乗 ムニュっとしないレザー

次に、CX-3の、というよりはマツダのイメージ・カラー「ソウルレッドクリスタルメタリック」をまとった「XD Lパッケージ(写真赤)」に試乗する。新開発の1.8ℓディーゼルを搭載した4WDで、レザー・シートが奢られている。前述の20S プロアクティブSパッケージが7万5600円のオプション込みで車両価格250万5600円であるのに対して、こちらは同じく7万5600円のオプション込みで320万2480円。その差およそ70万円。ちなみに7万5600円のオプションは、CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナーと360°ビュー・モニター+フロントパーキングセンサーのセットである。

運転席に着座しての第一印象は、高減衰ウレタンのムニュッとした感触がないということだ。Lパッケージのレザー表皮との相性なのだろう。こちらは慣れる必要がない。

スタート・ボタンを押すとSKYACTIV-D 1.8は瞬時に目覚める。ガソリンから乗り換えても違和感はない。振動もガソリンと同程度だし、ディーゼル特有のアイドリング音を聴きとるには意識を集中する必要がある。

i-ACTIV AWDと呼ばれる電子制御の4WDシステムは、基本はほぼFWDの2駆で、各種センサーからの情報をもとに前輪がスリップすると予測すると、その予兆を打ち消すべく後輪へとトルクを配分する。というようなことは、みなとみらい周辺のドライ路面を走行している限り、まったくわからない。FWDモデルと較べると、トルクステアが皆無であるということは言える。



ディーゼル比較 改良型1.8ℓ/従来型1.5ℓ

新しい1.8ℓディーゼルは、最高出力は116ps/4000rpmと控えめながら、最大トルクは27.5kg-m/1600-2600rpmもある。加速が力強い。ディーゼルならではのブワッと一気に膨らむようなトルクはない。14.8とディーゼルとしては低圧縮というのがSKYACTIV-Dの特徴で、ガソリンに近いレスポンスとフィールを与えてくれる。

従来型の1.5ℓディーゼルは最高出力105ps/4000rpm、最大トルク27.5kg-m/1600-2500rpmで、排気量258ccの増加分ほど、カタログ数値は増えていない。最大トルクは同一で、発生回転数に違いがあるのみである。ゆとりのあるトルクをより広い範囲で得ることで、実用燃費とエミッション性能の両立を図っての排気量アップなのだ。

新型の試乗後、改良前のXD Lパッケージが用意されていたので、ビフォー・アフターの違いをくっきりと確認できた。改良前の1.5ℓディーゼル搭載の4WDは、クラシック・ミニを思わせるような、ロードノイズが大きくて、排気量が小さい分、トルクがちょっと細くて、乗り心地はタイヤからの突き上げをコツコツ感じる。その意味ではオールド・スタイルの小型車で、筆者は好ましく思った。ことファン・トゥ・ドライブという観点からすれば、旧型の方が楽しい。

ただし、これはドライバーの独善的な意見である。ドライバー以外の乗員にとって、今回の改良は大きな意味を持つ。乗り心地がよくなって室内が静かになり、前席と後席での会話が、首都高を走行中でも声のボリュームを上げることなく可能になったからだ。乗り心地なんて、ラバーコーンのクラシック・ミニから現行BMWミニになったぐらいの違いがある。ま、全体の傾向として、ですけれど。ことばを変えれば、従来型がスポーツカーだったとすれば、新型はサルーンになったのである。



夜間も歩行者検知/クルコンも全車速追従

なお、「安全性能の進化」ということで、夜間歩行者検知機能をマツダとしては初採用した。より高いモデルから、という原則にこだわらない姿勢も好感がもてる。渋滞時には解除されていたレーダー・クルーズ・コントロールは全車速追従機能付きにアップデートしてもいる。これで車両価格は旧型比2万円程度の値上げにとどまっている、とマツダのエンジニアは胸を張った。

新型CX-3の「執念を込めた大幅改良」は、この小型SUVをマツダの基幹モデルのひとつとして育てていきたいという長期計画に基づくものだろう。同時に、試乗会の冒頭で冨山主査が語ったマツダのマントラが忘れがたい。

「2012年発売のCX-5以来、マツダはマイナーチェンジのタイミングにとらわれることなく、最新技術を投入する、という方針を貫いている。クルマは単なる道具ではない。マツダはクルマをこよなく愛している。クルマという商品を通じて、お客さまに豊かで活力にあふれた人生を過ごしていただき、お客さまと強い絆で結ばれたブランドになりたい」

まことにむずかしいテーゼを掲げたものだと思うけれど、永遠に実現しない(かもしれない)理想を追い求めるからこそ、世間は尊敬の念を抱く。マツダの行く末を見守りたい。

改良型CX-3 試乗車スペック情報

20S プロアクティブSパッケージ(青・FWD)

■価格 243万円
■全長×全幅×全高 4275×1765×1550mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 –
■燃費 16.0km/ℓ(WLTCモード)
■CO2排出量 145g/km
■車両重量 1250kg
■エンジン 直列4気筒1997cc
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 150ps/6000rpm
■最大トルク 19.9kg-m/2800rpm
■ギアボックス 6速オートマティック


XD Lパッケージ(赤・AWD)

■価格 312万6880円
■全長×全幅×全高 4275×1765×1550mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 –
■燃費 19.0km/ℓ(WLTCモード)
■CO2排出量 136g/km
■車両重量 1370kg
■エンジン 直列4気筒1756ccディーゼルターボ
■使用燃料 軽油
■最高出力 116ps/4000rpm
■最大トルク 27.5kg-m/1600-2600rpm
■ギアボックス 6速オートマティック




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