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インタビュー 「のるか、そるか」 80歳、ダラーラ創設者の「決意」

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インタビュー 「のるか、そるか」 80歳、ダラーラ創設者の「決意」

もくじ

ー フェラーリ/ランボルギーニを渡り歩く
ー 「大企業と競争しようとは思いません」
ー ダラーラ・ストラダーレ、誕生
ー ダラーラを語るうえで欠かせない3台

ダラーラ・ストラダーレ発表 約2000万円~ 初年度分は完売

フェラーリ/ランボルギーニを渡り歩く

最近行われたダラーラ・ストラダーレの除幕式は、81歳になるジャン・パオロ・ダラーラにとって誇り高き瞬間だった。

彼の名を冠するモータースポーツのエンジニアリング会社は、世界で600人の社員を抱える最大のレーシング・シャシー・メーカーだ。

この会社の最初の公道モデルであるストラダーレは待望のクルマであり、1時間に及ぶインタビューの中で彼は、その着想は若いころの経験から得たものだと語ってくれた。

ダラーラの経歴を見てみよう。

彼は大学で航空工学を修めた後、エンツォ・フェラーリに採用され、マラネロの最初の風洞を完成させた。しかし彼はレースをやりたかったので、モータースポーツ部門で働ける約束でマセラティに移ったのだが、その後会社が予算を大きく削減したため彼の計画はとん挫しそうになった。

そこで今度はランボルギーニの技術部長になり、こんにちのスーパーカーの原型になった最初のミドエンジン・スーパーカー、ミウラの主要な開発メンバーのひとりになった。

そしてミウラの仕事をやり終えると、彼は40歳を前にして自分の会社を立ち上げた。

彼が個人的に崇拝するエンジニアはエンツォ・フェラーリでもフェルッチオ・ランボルギーニでも、彼らのもとで働くイタリア人スターでもなく、コリン・チャップマンだという。

「大企業と競争しようとは思いません」

彼の工場兼オフィスで行った今回のインタビューのハイライトは、1966年のイタリアGPで当時できたばかりのミウラを彼がジム・クラークとチャップマンに紹介している白黒写真だ。

「チャップマンが見せてくれとやってきたので、彼に一通り説明したんです」とダラーラは言う。「彼は気に入ってくれました。同じようなものを作りたかったんだと思います」

ダラーラは最も影響を受けたスポーツカーとして、以前勤めた会社のエキゾチックカーではなく、チャップマンのロータス・セブンを引き合いに出す。なので、ストラダーレでも同じやり方をしようとするのは、考えてみれば当然のことだ。

「公道を走るクルマの生産は、これからもわれわれの本業ではありません」とダラーラは言う。「GTを作っているような大きな自動車会社と競争しようとは思いません。別世界の会社です。フェラーリに行けば、フェラーリになろうなんてことは絶対無理だとわかりますよ」

「わたしは軽くてシンプルなクルマを作りたいといつも思っていました。花の香りを嗅いだだけで空気の流れを感じるような」

ストラダーレ・プロジェクトの前身は19年前に始まったが、何度も中断された。

「いつも優先すべき仕事があったんです」とダラーラは言う。「でも3、4年前に気づいたんです。今やらなければ永遠にできないとね。わたしも80歳間近だったし、もうそんなに時間はないと」

ダラーラ・ストラダーレ、誕生

プロジェクトはすぐに弾みがつき、完成したストラダーレはダラーラの81歳の誕生日にスペシャル・イベントでお披露目された。

ストラダーレはロードカーに彼の名前を冠するという長年の夢を実現しただけではなく、会社の技術力もアピールしている。

会社はすでに、将来のプロジェクトに関する可能性をいろいろと検討している。

「世界の変化はとても速い」とダラーラは言う。「このクルマの経験によって、未来のモビリティについて冒険してみようという気になっているんです。このクルマのもっとも大きな成果は、おそらくこれですね」

どうやらダラーラは80代になっても技術の将来性にとても興味がある様子だ。

「わたしはもう仕事をしていないでしょう」と彼は言う。

「一方で会社はとても強い状況にあるので、今後とも存続しているはずです。社員の大半は若くてとても賢明で、大きな夢があります」

ダラーラは、最近初めて個人的にミウラを買った。

「ランボルギーニで働いていたころは、とても買えませんでした」と彼は言う。

ミウラは、ランボルギーニ自身のポロ・ストリコ工場のレストア部門でリビルトされている最中で、首を長くして待っているところだ。

クルマのエンジニアリングにおいて最も長くて著名なキャリアの両端を、ミウラとストラダーレという素晴らしいブックエンドが挟むことになる。

ダラーラを語るうえで欠かせない3台

ランボルギーニ・ミウラ(1966年)

1963年から69年にかけてランボルギーニで働いていたダラーラは、パオロ・スタンツァーニ、デザイナーのマルチェロ・ガンディーニとともに、ミウラとその革新的なミドエンジン・レイアウト開発の立役者になった。

「ある意味、それは簡単な選択でした」と彼は言う。

「なぜなら、レーシングカーではエンジン位置はもはやフロントではなくリアだったからです。フォードはすでにGT40を走らせていて、そのポテンシャルの高さは明らかでした。そして、ランボルギーニは常にフェラーリより進んだクルマを欲しがっていたのです」

ダラーラF393 フォーミュラ3 レーシングカー(1993年)

多数の超一流のレーシング・プロジェクトにかかわってきたにも拘らず、ジャン・パオロ・ダラーラはもっとも満足できるのは地味なF3シャシーだという。

各国の選手権ではほぼ独占状態になっているが、1993年のF393 が突破口だった。

「当時、イタリアとフランスでは優勝していましたが、英国ではまだでした」と彼は言う。「でもこのクルマで勝ち続けていけるようになり、いいクルマを作れたという自信を持つことができたんです」

ダラーラ・ストラダーレ(2017年)

自動車会社ダラーラの幹部は、もし600台のストラダーレが全部売れたとしても、収支はようやくトントンだと認めている。これは金を稼ぐためのクルマではなく、会社のプライドと技術力をアピールするためのクルマなのだ。

「ほかのクルマとの比較でわれわれのクルマを評価したりすることはあまりないのですが」とダラーラは言う。「空力特性はとてもいいし公道での振る舞いも最高です。運転しやすいし、挙動も予測しやすい。このクルマと開発チームは、わたしの誇りです」

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