軽量なNA型のボディにNC型の2.0Lエンジンを搭載
アルミブロックのLFエンジンはBPエンジンよりも20kg軽い
「NAロードスター進化論」初代に3代目(NC型)の軽量2.0Lエンジン換装が大正解な件!
ジュピターネット・カーガレージがNA型ロードスターにNC型ロードスターのエンジンを換装するという大技を思いついたのは、これからB6/BPエンジンをベースにハイチューンのエンジンを作ろうとしても、ベースとなる程度の良いノーマルエンジンが見つからないから。
「経歴が不透明なBPエンジンで1.8L改2.0L仕様にするくらいなら、NC型のLF-VEエンジンをノーマルのままで載せた方が、ローリスクで高いパフォーマンスを引き出せるのでは?」と、柔軟に発想。しかも調べてみると、アルミブロックを採用するLFはBPよりも20kg近くも軽いことが分かり、「チューニングベースとして勝算あり」と判断したのだ。
当然ながら、ロードスター同士とはいえ、互換性は全くなくボルトオンというわけにはいかない。ステアリングシャフトとの干渉を回避するためにエキマニを製作し、メンバーと干渉するオイルパンは大幅に加工。LFユニットをコントロールするために、フルコンのアダプトロニックも導入した。
当初はNC純正ECUで動かすことも考えたが、ハーネスを解析して引き直すには膨大な時間と手間がかかる。それなら「セッティングの幅と発展性を拡充するために労力を使いたい」と、フルコンでの制御を決意。手頃な価格と拡張性に注目し、アダプトロニックをセレクト。燃調、点火、可変バルタイ、可変吸気などを緻密にコントロールする。
同時に、LFエンジンが採用する電子制御スロットルはキャンセル、昔ながらのワイヤースロットルに変更している。アダプトロニックの最新バージョンは電子スロットルの制御に対応しているが、CAN通信のシステムまで移植するとNC化が進みすぎて大掛かりになりすぎる。CAN通信システムだからこそ制限されることもあると判断したのだ。
そして、可変バルタイのセンサーの干渉を回避するためにボンネットをガレージベリーの06タイプに変更。メンバー加工なども考慮したが、車体の大幅な加工は避けたいと判断。パーツ交換で対応できるボンネットでの回避を選んだ。
一方の駆動系に関しては、ミッションケース後方をNA8純正とドッキングさせることでNC純正6速MTの換装を実現。プロペラシャフトは強度確保のためにNB8ターボ用を使うが、PPF(パワープラントフレーム)やデフはNA8を使用。ボディ加工を最小限に抑えるのが、今回の換装のテーマだ。
これまでに13Bロータリーを換装したNAには何度か遭遇し、試乗もしたこともあるが、さすがにこの組み合わせは未体験で興味津々。近くのワインディングで、インプレをさせてもらうことになった。
コクピットに収まると、伝わってくる鼓動は完全にNC。排気量は2.0Lながら、エンジン自体はノーマルなのでアイドリングにバラつきもなく安定している。ところがアクセルを踏み込めば、途端にパワーとトルクの厚みを感じる。軽いNAに軽量かつパワフルなLFを搭載していることもあり、NCよりも大排気量でパワーバンドも広いような錯覚すら感じる。
エキマニやラジエターオイルクーラーを交換しているため、エンジンルームはチューニングカーらしい仕上がりになっているが、エンジン本体はノーマル。そのため現状は180psだが、カム交換やハイコンプピストンの導入、L3へのステップアップなど、まだまだ発展する余地が残されている。
軽量なエンジンの恩恵はハンドリングにも表れていて、排気量が増えているのに、ノーマルのNA以上にキビキビと曲がる。もはや、換装によるメリットしか感じない。コスト面に関しては、変更が多岐に渡るのでBPでフルチューンエンジンを製作するのと同等の費用はかかる。それでも、一度このパフォーマンスを体験してしまったら後戻りできなくなる。それくらいに違和感のない、ベストマッチのエンジンスワップだと感じた。
●取材協力:ジュピターネット・カーガレージ 奈良県大和郡山市小泉町2763-1 TEL:0743-20-4000
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