EV & HYBRID TUNEの最前線に迫る!!
市販車用のハイブリッドシステムを活用するプリウスがベースのレースカーってどんな仕様!?
「スーパーGTのプリウスって市販車用ハイブリッドシステムを活用してるって知ってました?」孤高のHVレーサー「TOYOTA GR PRIUS PHV apr GT」の最新システムに迫る!!
今後、ストリートチューンにとってもひとつの流れになっていくであろうEV & HYBRIDのチューニング。そんな開発の最前線の模様を捕らえ、チューニングのヒントを探すために注目したのが、2019年新たに製作され先日シェイクダウンを終えた『TOYOTA GR PRIUS PHV apr GT』。スーパーGTのGT300クラスに参戦する唯一のハイブリッドレーサーだ。
このマシンは開発テストの一環として市販車用のハイブリッドシステムを改良したものが組み込まれ、レース中にプラスαの出力を得るための武器として活用される。
車両の開発を行うaprに取材を打診したところ、2台目のマシン、31号車のシェイクダウンテストへの同行を快く認めてくれたので、そこで見てきたものを報告しよう。
スーパーGTで唯一のハイブリッドマシンとなるaprのプリウス。そのルーツ(初代)は2012年にデビューした30系で、レイアウトはMR-Sでの参戦時代から続く伝統のミッドシップ、搭載エンジンはフォーミュラ・ニッポンなどにも使われていたRV8Kエンジンだった。
その基本パッケージを踏襲しながら、2016年にシェイクダウンしたマシンが、2018年まで参戦していた2世代目の50型プリウスだ。
しかし2019年からは、ベース車両とエンジン搭載位置を異にするマシンの参戦が不可というより新レギュレーションになったため、完全に新設計のマシンへと車両が変更されたというわけだ。
そして作られたマシンが『TOYOTA GR PRIUS PHV apr GT』。ベースがGRプリウスPHVに変更され、トヨタのV8/5.4Lレース用エンジン(RC-FのGT3マシンに搭載される2UR型がベースと予想される)をFRレイアウトとして搭載。もちろん機関にはハイブリッドシステムが組み入れられる。
ベースとなったGRプリウスPHVに関しては、通常モデルのハイブリッドに比べオーバーハングが延長されるなど、空力面でのアドバンテージもあり、マシンの基本性能向上に繋がっている。
プリウスの特徴とも言えるダブルバブルウインドウをレーシングカーにも採用したことで、リヤウイングも感度が非常によく、金曽監督によると「プリウス史上最高のエアロダイナミクス」ということだ。
そして本題のハイブリッドシステムに関しては、アソシエーションに認可を取っているもので、市販車に装備されているハイブリッドシステムに極めて近いもの(基本構造は同じで、レース用に耐久性を持たせるためや装着のための部品変更などが一部ある程度)。
モーター&発電システムはトランスアクスルのヒューランド製ミッションの後方に付けられた脱着式で、取り外してもセルモーターさえ装備すれば走行可能。
また蓄電に関しては、過去には市販車用(ハイブリッド用)のバッテリーを搭載していた時期もあったが、重量がかさむこと、蓄電に時間がかかること、発熱問題などデメリットもあったため、現在では極く短時間での充電、放電が可能な大型キャパシタ(これも市販車用の流用・バッテリーほどの容量はない)とコントロールユニットを助手席位置に搭載しているという。
ちなみに、蓄えた電力は無限に使えるわけではなく、サーキット1周のブレーキングによる回生発電で発生し蓄えたエネルギーを、一周のうちでもっと出力を増したい加速パートに振り分け使い切るようなイメージだという。
今年のマシンからペダルはアクセルとブレーキの2個で、クラッチ操作(ほぼスタートしか使わないが)は手元で行う。ハイブリッドのため車両への電力供給には余裕があり、いまやレーシングカーの必須となっているエアコンなどは他車よりも有効に使えるそうなので、夏場の長距離レースには優しいマシンと言えそう!?
両サイドから出されるマフラーには触媒を装備。燃料は市販のハイオクガソリンを使用するレギュレーションだ。サスペンションは前後ダブルウィッシュボーンでインボードタイプのダンパーが組み込まれる。
写真:服部真哉
ちなみに、このマシンの一番の特徴は、メーカーの市販車開発にデータが大きくフィードバックされていること。現代においては、レーシングカーと市販車は大きく異なるものとなり、また市販車の開発環境も充実しているためトップカテゴリーのレース専用車から市販車へと技術ノウハウがフィードバックされることは極めて少ない。
しかし、ハイブリッドシステムに関してはその有効な活用法や高負荷時の耐久性など研究中の要素が多く、aprのGRプリウスPHVに関してはハイブリッドシステムで得られた情報(大きな負荷に対する耐久性や回生プログラムなど)が、メーカーの開発にしっかりと戻され活用されるのだという。
最後に金曽監督に「他車にないハイブリッドシステムは、レーシングカーとして有効なアイテムですか?」と聞いてみたところ、もちろんそう思って使っているが、パワーシステムを追加しているぶん、最低重量などの規制が厳しくなるため、ステージによるところもあるとの答え。
というわけで、HV&EVファンの夢を広げるべく、『TOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GT』が快進撃の展開となることに期待したい。
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