この記事をまとめると
■新車を賢く購入するためのポイントはコロナ禍で随分変わった
たかが飲み物……ともいえない! 多様化する新車販売店の「ドリンク事情」でディーラーの立ち位置がわかる
■新車に対する大幅な値引きができなくなり納期遅延もいまだに解消していない
■働き手不足も相まって新車購入は短期決戦が好まれる傾向にある
コロナ禍が新車の購入方法を変えた
コロナ禍を経て、新車販売現場の様子も変化を見せている。とくに新車を賢く購入するためのポイントというものがずいぶん変わってきているように見える。そのいくつかをここでまとめて紹介していきたい。
1)残価設定ローンでの買い得度アップ
原材料費や人件費、燃料代の高騰など、ありとあらゆるものの価格上昇は新車価格にも大きな影響を与えている。単純な新車価格の値上げだけではなく、改良に伴う価格アップなども行われている。しかし、その値上げ幅は諸経費高騰をフォローするには十分といえるレベルではなく、ディーラー利益も圧縮を余儀なくされており、新車購入商談時の値引き拡大が思うようにできなくなっているのが現状だ。
値引きがまったくできないわけではないが、コロナ禍前のような思い切った値引き額はなかなか提示されないようになってきた。そこで、ここのところ利用頻度が高まっている残価設定ローンを利用する際に、特別低金利や残価率の引き上げなどで月々の支払い負担軽減を図る動きが目立っている。
2)限定的な低金利キャンペーン
世のなかでは利上げ気運が高まっており、オートローンの世界でも利上げ云々が直接関係しているかは別としても、金利上昇傾向が今後は目立ってくるのではないかとされている。そのなかで、車種や利用期間を限定した「特別低金利ローン」というものの設定も目立ってきている。
本稿執筆時点では、ホンダZR-Vが「予告なく終了することがある」としながら、0.9%という特別低金利の「残クレ(ホンダの残価設定ローンの名称)」が用意されている。ホンダ系ファイナンス会社の一般的な残クレの金利は4.3%なので、ウェブサイトに掲載されている60回(5年)払いでの試算比では、完済時に乗り換える場合で金利4.3%の支払い総額よりも、支払い総額は約41万円安くなっている。頭金を40万円近く入れての月々の支払額では、0.9%のほうが7500円ほど負担は軽くなる。
ホンダではZR-Vほどではなくても、N-BOXやフルモデルチェンジしたばかりのフリードなど、人気モデルでも2.5%の特別低金利ローンが用意されている。
特別低金利ローンは、販売状況がいまひとつのモデル、もしくは思い切り量販を狙いたい、強力なライバルに対抗したいといった車種に用意される傾向が強い。
いまのところホンダは特別低金利ローン設定に意欲的だが、どこまでほかのメーカーがこの傾向に追随していくのかも気になるところである。
ひと昔前の当たり前は通用しない新時代の新車購入術
3)納期差をどうするか
多くのメーカーでは、ほとんどの車種で納期については改善傾向にある。しかし、そのなかでトヨタだけが他メーカーより納期に時間を要するケースや、新規受注停止中のモデルなどが目立っている。国内トップメーカーであり販売シェアも飛びぬけて高いので、少し前に起こった半導体不足などにより世界的に深刻となった新車の納期遅延状況から脱するのに時間を要しているのではないかといわれている。
ただし、本稿執筆時点では、ホンダ・フリードが納車までおおむね1年待ちとなっている。一方で「宿敵」といってもいいトヨタ・シエンタの納期は、ガソリンのほうがやや状況はよくないようだが、ハイブリッドとともに、うまくいけば年内納車も視野に入っている。つまり、半年ほど見ておけばまずは納車されるようである。
フリードは生活の移動手段と割り切って乗っている人も多い。そのようなクラスで納車まで1年待ちは致命傷ともいえる。しかもライバルのシエンタは半年以内に納車可能となっている。いまの状況ではシエンタが相乗効果によりフリードよりも販売台数を伸ばす結果となりそうな状況となっている。
トヨタも、とくに宿敵関係の他メーカー車がモデルチェンジを行うといったタイミングでは、自社の対抗車の納期を早めて対抗するといった「調整」を細かく行っているようである。また、トヨタ車はいままでも他メーカー車よりは若干納期がかかっていたのだが、現状では新規受注停止車であっても、スポットで新規受注可能となったりすることもあり、ほとんどのトヨタ車では納期遅延を強く意識する必要はないともいえる。そのせいもあり、「納期が早いから」と他メーカー車へ流れるといった動きは不思議なほど目立っていない。
4)より短期決戦となってきている
かつて昭和のころなどは、ライバル車も含め4~5台をピックアップして、毎週末に商談を繰り返し、1カ月ほどかけて納得のいく条件の出たモデルを買うといったことが、割とポピュラーな新車の買い方であった。
しかし、すでにコロナ禍前からメーカーウェブサイトを活用した車種の絞り込みや、見積りシミュレーションによる購入予算の絞り込みをしてから、本命一本で「リアル商談」をはじめる人も増え、かつての「昭和スタイル」は少数となっていた。さらにコロナ禍を経て、新車の販売現場での働き方改革が進み、残業なども厳しく規制されるようになった。
そのなか、単に新規採用が少ないというだけではなく、働いている人が「心の病」などで病欠することも目立ち、コロナ禍前よりも働き手不足が深刻化しており、さらなる効率的な販売促進活動が個々のセールスマンに求められるようになってきている。残価設定ローンの利用を検討しているお客では、単に月々の支払額ベースでの交渉となるので、商談もよりスピーディなものとなっており、販売現場では歓迎されている。
時間をかけ、段階を踏んでいるうちに車両価格改定などが起こっても不思議ではない状況なので、「慌てず急ぐ」といった姿勢で臨むほうがおすすめともいえよう。
5)新規出店した店舗はねらい目!?
ここのところ、筆者の生活圏内ではメーカー系正規ディーラーの新規出店が目立っている。とはいっても、既存店舗をそのままに数を増やしての新規出店というわけではない。いずれも新規出店した場所はバイパスなど主要幹線道路沿い、つまり不特定多数の集客が見込める場所となっている。そして、そのうちのいくつかを訪れると「以前は近くのちょっと奥まったところに店がありました」と話してくれた。
住宅街にポツンと1軒だけディーラーがあったりするが、そのような場所はその周辺がニュータウンとして整備されたばかりのころに店を出し、1軒しか近くにないということもあって新車ニーズを「独り占め」することができた。ほかに古くから街なかに出店していたケースでは、「外まわり営業」がメインだったからそこに店を出したということもあるらしいが、いまは店頭集客して店頭商談するスタイルが基本なので、店舗も小さくいまどきの販売スタイルに対応できていないこともあるようだ。
当時はニュータウンといっても、すでに高齢化が進むニュータウンが多くなり社会問題化している。そうなれば購買力の減退は必至なのだが、幹線道路をはずれているのでフリーの来店客というものも見込めない。そのため、「既存店の引っ越し」という形で幹線道路沿いに大きなショールームを構えた店舗を新規出店しているようなのだ。
立地が代われば会社から求められる「実績」も増えてくる。店を引っ越せば「近所だから」とその店から新車を買っていた人のなかからある程度は他店へ流れてしまう。より多くの販売ボリュームが求められることになるのだから、とくにいままでつきあいのないようなフリーの来店客も大歓迎となるので、好条件も狙いやすいといえよう。生活圏内で新店舗がオープンしたら足を運んでみるのもおすすめである。
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みんなのコメント
そんな人に残クレとか頭おかしいやろ